Q.男女の会話の仕方が違うのは先天的ですか？（下）
| A. | 共感能力において男女の差を強調する極端な言葉があります。 「男性は正しい言葉も言いがかりを付けて、女性は間違った言葉にも共感からする」 この言葉に共感しますか？ 共感が先天的かどうかを知るには共感が何かから知るのが順序でしょう。共感は、同情心（sympathy）とは異なります。同情心、隱隠之心（他人に対する憐れみの心）、さらに易地思之（立場を変えて考える）はすべて自分の立場で自分の価値観に基づいて状況を判断します。 共感は悲しいことであれ嬉しいことであれ相手の感情や意見を共にすることです。自分と意見が違うとしてもです。自分と同じ立場であり、考えが同じ人にだけ通じるなら味方になるだけでしょう。 反社会性パーソナリティ障害（ASPD）やサイコパスは共感能力そのものがないと言いますが、共感能力が低いからといって、サイコパスと断定しても困ります。冷徹な判断と優れた自己統制が足りない共感能力をカバーしてくれるからです。 学校でいじめの加害者に共感能力が足りないと共感能力を強化する教育をし、加害生徒がさらに悪辣に被害者を苦しめる状況になったことがしばしば発見されます。 実際、ソ連連邦時代、KGBは拷問技術者を選抜する際に共感能力を評価基準にしたそうです。優しくて拷問を受ける人と深い共感を分かち合ってこそ拷問を通じて相手を崩したり懐柔することができるということです。共感能力が優れているからといって善良な人だと断定するな、という意味です。 個人的な差はありますが、概して女性の方が感性的なので男性より共感能力が優れているというのが定説とされています。 他人が泣くからといって泣くことを共感とは言えませんが、進化論と脳科学の専門家たちも女性の共感能力が男性より優れているということに同調します。共感能力に欠ける自閉性障害も男性が女性より多いそうです。 一部の学者は共感能力も知能だと見ます。共感能力が低いのは頭が悪いからだというのです。実際に共感能力に優れた人は人間関係の根本と言われる洞察力が優れています。「あの人は一体、なぜそうなんだろう？」と皆が避けていく人の境遇を分析し軽蔑を切なさとして、処罰ではなく教化の対象と理解します。 我々の脳には視覚と記憶力をつかさどる部位があるように共感能力をつかさどる特定の部位があります。 アメリカの国立保健院の研究チームが男女の脳の違いを解剖学的に分析した結果、男性の脳は視覚と記憶力をつかさどる後頭葉と海馬が女性より大きいことが分かりました。女性は意思決定と味覚、自己調節などをつかさどる前頭葉の皮質と島皮質が男性に比べて相対的に発達していました。 余談ですが、母親のお腹の中にいる時から男性はコミュニケーションを行う脳の部位が小さい状態で生まれるという主張まであります。 しかし、また他の研究は男女間の共感能力の差がそれほど大きくないことを知らせてくれます。 アメリカのアイオワ州立大学のズラタン・クリージョン教授のチームが1200万人以上のデータを基盤に研究した結果、男性がより攻撃的な性格を、女性は同僚や家族との愛着を重視する性格を見せたものの、性による違いと見ることはできないと結論付けました。学習効果の可能性もあるという説明です。 もちろん脳の大きさが影響を与えるのは事実です。EBSが男の子と女の子の違いを知るために行った実験でも違いは発見されました。ドキュメンタリー企画チームは母親にハンマーで手を怪我したふりをして演技させましたが、これを見た24か月の女の子はすぐに泣き出した反面、男の子は血が出るという話にもかかわらず、別に反応を見せませんでした。双子を対象に行った実験もありますが、男の子はやはり反応がない反面、双子の女の子は簡単に共感しました。 子どもたちに耳の両方から他の単語を聞かせる実験もしましたが、女の子たちは両方の単語を当てた反面、男の子たちは難しがりました。女性の脳は両方の連結がより緊密だというのが研究陣の説明でした。 このような実験は学習効果以前に脳の差が共感能力を左右することを知らせてくれます。しかし成長するにつれて脳の大きさよりも脳の柔軟さの方が重要になります。ロンドンの複雑な道を全部覚えなければ免許を取ることができないタクシーの運転手は、記憶力を担当する海馬がよく発達するように、脳のよく使う部位が活性化するという話です。 ただでさえ、共感能力を持っている上に女性は女性らしく、男性は男性らしくという教育を受けて生きてきた歳月が、共感能力の差をさらに広げていくのではないかと思います。 |
- Lim, Chul
- 入力 2022-03-03 00:00:00
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