A. | (※この記事は「韓国で人気のロングランミュージカルを教えてください。(1)」の続きです。) 韓国でそれなりに人気を集めた作品だったとしても、人々の記憶から消えてしまったミュージカルを紹介するのであれば意味がないでしょう。 だから、2015年8月末を基準にして上演中の作品を調べてみました。前売り順位が最も高い作品は『ラ・マンチャの男(Man of La Mancha)』ですね。韓国では2005年に初めて舞台に上がったので、もう10年間、公演を続けている作品です。 もちろんその時から休むことなくずっと舞台で上演されていた作品ではありませんが、それでも結構寿命が長い方に属する作品です。どのような内容かというと、セルバンテスの小説ドンキホーテをご存知でしょうか。それを脚色した作品です。 ただし原作とは内容が少し違います。セルバンテスは教会に税金を追徴する張り紙を貼り付けて、神聖冒涜の疑いで起訴されて刑務所で裁判を待ちながら、囚人を感化させる高潔な人物として描かれます。最近、韓国社会で問題になっている話題の一つである聖職者たちへの所得税納付を少し風刺するような感じもします。 前売り順位で上位にランクされた作品を見ると、翻案ミュージカルやオリジナルチームの来韓公演が目につきます。もちろん、韓国の作家たちが台本を書いて作曲した創作劇も多いです。20年連続で観客たちの愛を受ける『明成皇后』も上位にランクされています。 現在公演中の創作作品を中心にロングランミュージカルのいくつかをご紹介いたします。 ▶ 兄弟は勇敢だった(형제는 용감했다) 長男イ・ソクボン役にはチョン・ジュナ、ユン・ヒソク、チェ・ジェウンが出演して、次男イ・ジュボン役を引き受けた俳優はキム・ドンウク、チョン・ウクジン、ドンヒョンなどだ。コメディアンのチョン・ジュナの実力が他の俳優たちに引けを取らないと観客が驚いたという反応も聞こえる。 ▶ 明成皇后(명성황후) 当時は韓国にミュージカルを専門とする指揮者や監督がいなかったため、大学でチェロ、大学院で国楽を専攻した後、演劇界で働いていた若い監督である、パク・カーリンが合流した。パク・カーリンは、その後、『オペラ座の怪人』、『レント』などの作品を引き受けてミュージカル専門の音楽監督の道を歩むことになる。 初演当時、韓国ミュージカルの環境が劣悪だったにも関わらず、エイコムが12億ウォンを投資しており、ユン・ソクファ(ユン・ソッカ、現トルコッカンパニー代表)、ホン・ギョンインなどが出演して話題を集め、韓国ミュージカルの代表作としての地位を固める。 海外公演も三回行い、ロンドンのウエストエンドとニューヨークのブロードウェイで10日ほど公演したが、制作会社は借金だけたくさん背負うことになった。特に韓国から現地に向かった俳優60人余りと制作陣40人余りがすべてノーギャラで公演に参加したにもかかわらず、借金だけをすることになったため、相当な作品でないかぎり、今後、海外公演を甘受することは難しそうだ。これは、明成皇后の作品性はともかく、ストーリー自体が愛国主義を浮き彫りにしているせいで、他の国の情緒と合わず、共感を呼ぶには不適切な側面があるからだという評価が支配的だ。 ▶ 女神様が見ている(여신님이 보고 계셔)
あらすじは、韓国戦争当時、北朝鮮軍の捕虜を輸送していた船が難破して、無人島に隔離された兵士たちの話だ。国軍大尉のハン・ヨンボムが捕虜収容所へと北朝鮮軍捕虜を移送してたときに、捕虜たちが暴動を起こし、気象悪化で船が故障して兵士たちが無人島に隔離される。唯一船を修理する技術を持つ北朝鮮軍捕虜のスンホは戦争後遺症で精神状態が不安定で、兵士たちは生存本能だけが残った野蛮な状態に変わっていく。 ヨンボムは悪夢に悩まされているスンホに女神の話を作って聞かせて、スンホが船を修理するように誘導するために、無人島に閉じ込められた兵士たちは、スンホを変化させるための「女神様がみてる」作戦を行う。 (※この記事は「韓国で人気のロングランミュージカルを教えてください。(3)」へ続きます。) |