A. | ※この記事は「韓国の芸能人がなぜ芸名を使うのか、芸名を使うことになったきっかけなどを教えてください。(6)」の続きです。 トッコ(独孤)氏は韓国では珍しい姓氏です。満州の鮮卑族に由来する姓氏で、中国南北朝の時代には北側の支配層だったそうです。1930年の国勢調査ではほとんどのトッコ氏が平安北道に居住しているとなっており、2000年の人口総調査では257世帯の807人と集計されました。 韓国全域で1000人に満たないのですから、珍しい方です。このような家門から、それなりに知名度の高い俳優が登場しました。主に、悪役を引き受けていた俳優のトッコ・ソンです。当然、トッコ氏の集まりに招待されました。トッコ・ソンは集まりに参加し、その場にいた大人たちに挨拶をしました。とても歓迎されました。家門を輝かせてくれてありがとうと。 ところが、実はトッコ・ソンの本名はチョン・ウォンユンでした。トッコという姓氏とはまったく関係がなかったのです。「ひとりで江湖を歩く」という意味に惹かれてつけた芸名なのかもしれません。実はトッコ氏は武俠小説に強い高段者として登場します。 「剣摩 独孤求敗」誰も自分には勝てないため、負けることを望んでいると孤独に生きる武林の至尊。素敵ではないですか。だからなのか、トッコ・ソンの息子も父親にならってトッコ・ヨンジェという芸名にし、孫の代になってもトッコ・ジュンとして活躍しています。芸名が代々引き継がれているということです。チョン氏の家門からすると、多少悔しいかもしれませんね。 だからといって、チョン氏が損ばかりしているのではありません。彼らよりも有名なスター、チョン・ジヒョン(本名:王智賢 / ワン・ジヒョン)とグループ神話のチョンジン(本名:朴忠栽 / イム・チュンジェ)、ベテラン俳優のチョン・ヤンジャ(本名:キム・ギョンスク)などが新しくチョン氏の家門に合流したのですから、損より得が多いでしょう。 芸名として別の姓氏を選択した芸能人は珍しいほうに属します。普通は姓氏を抜いて、名前だけで活動する芸能人が多いからです。人々を笑わせることが職業のコメディアンのうちには、珍しい名前をつけるためにチョンブミ(政府米 / 本名:ヤン・ヨンナム)、チュンデジャン(中隊長 / 本名:キム・ジェヨン)などを芸名にする場合がありますが、彼らが他の姓氏を借りてきたと見ることはできません。ポッピンの大家であるナム・ヒョンジュンが芸名をポッピン・ヒョンジュンにしたからと、ポッピン氏だとは言えないのと同じことです。 芸名をつける理由はいろいろありますが、大衆に自分自身を簡単に知らせることが目的であることが多くあります。素敵な名前を選ぼうとすると、仕方なくかぶることも少なくありません。 「ミナ」という名前ひとつをとっても、ガールズグループAOAのミナ(クォン・ミナ)、Girl's Dayのミナ(パン・ミナ)がいます。「ソジン」という名前も、Girl's Dayのソジン(パク・ソジン)、Nine Musesのソジン(チョ・ソジン)、KARAプロジェクトのソジン(アン・ソジン)がいます。ユリも少女時代のユリ(チョン・ユリ)の他にもCOOLのユリ(チャ・ヒョンオク)とR&B歌手のユリ(チョン・ユリ)がいます。 男性歌手のほうも同じです。ヨンジェという名前の場合は、4人組R&Bグループ4MENのメンバーだったヨンジェ(キム・ヨンジェ)、6人組ボーイズグループB.A.Pのヨンジェ(ユ・ヨンジェ)、7人組グループGOT7のメインボーカルのヨンジェ(チェ・ヨンジェ)まで、誰が最高のヨンジェなのか競っています。 歌手チェヨン(本名:李蔡姸 / イ・チェヨン / 日本での活動名はジニー・リー)は去る2014年に結婚するという噂が流れたのですが、事実無根であることが明らかになりました。実は俳優のチェリム(パク・チェリム)が結婚するときに、名前が似ていることから誤解されたのです。チェヨンの本名はイ・ジンスクだったのですが、チェヨンという芸名で人気を得てからは、イ・チェヨンに改名したそうです。 俳優のハ・ジウォンが芸名を持つことになった由来は少し独特です。彼女のマネージャーの忘れることのできない初恋の女性がハ・ジウォンだったそうです。自分の叶わなかった恋を俳優の名前としてでも使いたい熱望から勧めたのですが、名前の響きもよく、堂々としたイメージがあり、迷わずOKしたということです。 食べたり飲む演技が好評のハ・ジョンウ(河正宇 / 本名:金聖勳 / キム・ソンフン)の父親は名門大学の医大を卒業したタレントキム・ヨンゴン(金容建)です。父親の後光により売れたと言われたくなくて、芸能界に進出しながら芸名を作ったのですが、親子でひざを突き合わせて相当研究したそうです。父親が勧めてくれた芸名は、名前はそのままに姓氏だけ変えるクム・ソンフン、息子は父親が勧めてくれた芸名が気に入らず、ハ・ジョンウに決めてしまいました。今では「キム・ヨンゴンの息子ハ・ジョンウ」ではなく、「ハ・ジョンウの父親キム・ヨンゴン」と呼ばれるほどに状況が変わりました。 ハ・ジョンウの場合とは違い、仕方なく本名を捨てて芸名を使う芸能人もいます。韓進グループの創業主であるチョ・ジュンフンと名前が同一で芸名を作ったチョPDや、デビュー間もないころにマネージャーから詐欺に遭い、稼いだお金のほとんどを横取りされたホン・スア(ホン・グニョン)も同じです。ムン・グニョンがあまりにも有名なので、名前を変えたのでしょう。 |