A. | 訓練を終えて自隊に配置されたキム二等兵には悩みができました。 生活可館での日常が大変なのはありません。性格がおっとりしていて初めて会った人とも仲良くできるので、同期はもちろん先任兵とも円満な関係を結んでいました。 しかし、もうすぐ転役する兵長が独り言のようにつぶやいた愚痴を聞いて眠れない夜を過ごすようになりました。 「この女、ひどい目に遭わせてやる」 兵長が口に出した言葉はこれだけでした。しかし、同じ部屋の兵士たちはそれが何を意味しているのかを知っています。 少し前まで面会に来ていたガールフレンドが「ゴム靴を反対に履いた」(浮気をした)のです。その言葉はキム二等兵の脳の中にも地震を引き起こしました。 ただただ休暇をもらって恋人に会いたいという気持ちばかりでした。脱走をしようかと考えたほどなので仲間たちの目にも彼の焦りが歴然としていたのでしょう。 「休暇に行きたいのか?」 先任兵がそれとなく尋ねます。 「特別休暇に行きたいなら、特級兵士になれ」 特級兵士になると賞として休暇を得ることができるという言葉に勇気をもらいました。問題は体力の弱さでした。しかし、恋人に会うためになら、どうして汗をかかないでしょうか。 訓練や勤務をするときにはできませんでしたが、昼夜を問わず走って運動しました。そして2カ月後、嘘のように彼は特級兵士になりました。
そして精神戦力と射撃が追加されます。精神戦力はまあ「私は共産党が嫌い」くらいで十分で、射撃は部隊ごとに選抜基準の差があるといいます。厳しい基準を突きつける部隊では20発の射撃で満点を得なくてはいけません。1~2発程度は外れても認めてくれる部隊もあるんですよ。 特級戦士が受ける恩恵は実はあまりありません。キム二等兵が得ようとしていた褒賞休暇が最大で6泊7日(通常は4泊5日)与えられ、同期より1カ月ほど早く進級することができます。毎月行われる体力測定対象からも抜けられる、まあこの程度です。 韓国の軍人であれば誰でも特級戦士に挑戦することができます。訓練を終えたばかりの二等兵から将校も対象になります。 特級戦士になるために最も困難なことはなんでしょうか。 射撃です。駆け足や腕立て伏せ、腹筋は誰でも努力をすればできるものです。最初は不可能に見えるような人でも1日に1回ずつ増やしていくだけでも、早ければ1カ月、遅くとも4~5カ月後にはこなすことができるようになります。 しかし、射撃はなかなか思い通りにいきません。多少は才能が必要です。もちろん射撃も練習を通じて実力を身につけることができますが、軍隊が1日中射撃練習することを許すはずもありません。 射撃は100メートル、200メートル、2500メートルの距離でそれぞれ8発、8発、4発ずつ撃ちますが、射撃の達人ではないかぎりは容易ではないでしょう。
特級戦士は兵科にかかわらず誰でも挑戦することができます。行政兵、運転兵、PXでお菓子を売る兵士、炊事兵も特級戦士になることができます。特級戦士になった炊事兵は除隊するまで料理をするだけです。 |