Q.映画の『犯罪都市』は実話ですか?

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A. 韓国で暗躍する外国人組織暴力団のうち半分以上は朝鮮族を主軸とする中国出身です。中国本土でも有名な「黒社会」のメンバーが韓国に入ってきていくつかの組織に分かれましたが、その中で代表的な組織が「延辺黒社派」、「黒龍江派」、「ヘビ派」、「カボチャ派」でした。このうち、悪名高かった延辺黒社派が『犯罪都市』のモチーフになりました。

延辺黒社派は、黒社会の行動隊長出身のヤン氏が釜山港を通じて密入国したことから始まったといいます。2005年、朝鮮族31人を集めて「延辺黒社派」を結成して加里峰洞(カリボンドン)チャイナタウンの掌握に乗り出しました。

ナイフと斧を持ってチャイナタウンを荒らしました。風俗店のオーナーや女性従業員の弱点につけこんで、ただで酒を飲んで金を奪うのは、日常茶飯事でした。中国からゲーム機を密輸し、違法賭博で収益を上げて、たまたま金を取った人も脅迫して横取りすることもよくありました。

被害者たちは報復を恐れて通報は思いもよらなかったです。カラオケ店のオーナーが暴力団が振り回した刃物で刺され腸が外に出たにもかかわらず、通報せずにそのまま見過ごされたこともあるそうです。犯罪者の烙印を押されて中国に追放されても戸籍を書き換えて再入国したら、通報しても無駄だという嘆きが漏れました。チャイナタウンだけでなく、加里峰洞付近のオーナーの多くが、防剣服を着て営業していたほどです。

残忍さを武器にした延辺黒社派に、群小組織は全て跪きます。そして加里峰洞のリーダーだった黒龍江派を倒してチャイナタウンを掌握しました。ここで止まらず、首都圏と地方にまで領域を拡大しました。

だからといって、黒龍江派が素直に白旗を掲げたのではありません。組織員がビヤホールで延辺黒社派の幹部級組織員の腹を刺しました。反撃に出た延辺黒社派は、黒龍江派の行動隊長を誘拐し、足首を折って不具者にしましたが、金を受け取って解放したそうです。

映画『犯罪都市』でも出てくる話ですが、延辺黒社波は金になることなら何でもします。 腕の切断250万ウォン、脚の切断500万ウォン、殺人1000万ウォンなど請負暴力まで公然と行なったので、本当に法を恐れない無頼漢たちでした。

彼らは、チャイナタウンの占領に満足せず、選りすぐりのソウル江南(カンナム)の風俗街に進出しようとして、ひどい目に遭いました。2007年4月、ソウル警察庁広域捜査隊が直接乗り出して大々的な作戦に突入、ボス、ヤン氏など32人が検挙され、延辺黒社派は解体されました。

『犯罪都市』は2007年の検挙作戦とこれに先立って行われた2004年5月の「ワンゴニ派」疎通作戦を混ぜて脚色した映画です。実話に基づいていますが、詳しい内容は異なりますので、「ファクション(faction)」という方がいいでしょう。

映画に登場する場面もぞっとしますが、実話の事件ははるかに残酷だったそうです。映画の序盤、組織暴力団の一味が居酒屋で腕を切断する場面がありますが、モチーフになった実際の事件は女性従業員の首を切って殺した後、店を血の海にしており、ベテラン捜査官たちも現場への出入りを避けたそうです。

映画の舞台は加里峰洞や住民の協力が得られず、実際の撮影は新吉洞(シンギルドン)再開発地域などで行いました。

余談ですが2007年に検挙作戦を指揮した広域捜査隊チャン・ヨングォン班長(当時)の姿が犯罪都市の主人公マ・ドンソクとかなり似ています。

柔道選手出身のチャン班長は100キロが超える巨体に腕の太さも普通の人の2倍以上だったそうです。それに加里峰洞に長く居住して中国の組織暴力団の実情を誰よりもよく知っていたというから、映画の主人公とのシンクロ率がかなり高いです。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-02-27 00:00:00

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