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【韓国コラム】0.2%


「災害支援金って、それは本当に貧しい人たちにだけ与えるべきではないですか」

渋滞が解消され道路をスムーズに走れるようになると、タクシーの運転手が口を開いた。

開いた車の窓から入ってくる漢江(ハンガン)の風がかなり涼しくて返事をするのを忘れた。

「裕福に暮らす人たちには、どうしてあげるんだよ。彼らにあげても端金なだけだ…」
「あげても、もらわなければいいと思います」
「いや、どうしてもらわないんだ、タダなのに…」

第4次災害支援金の支給をめぐり、ありとあらゆる言葉が飛び交っている。

言いたいこと、言えないこと、言ってはいけないことが溢れている。

「お客さまなら、もらわないですか?」

1次災害支援金を支給する時、関心を持たず申請もしなかったが、タクシーの運転手に言うべき言葉ではないだろう。

「ほら、世の中にタダを嫌う人がいるんですか!」

「朝8時に営業を開始し午後3時までの7時間働いたのにわずか5万ウォンしか稼げなかった」と嘆くタクシーの運転手が哀れに見える。新型コロナウイルスでタクシーのお客さんが途切れ、会社に振り込まないといけないお金も間に合わないという顔をしてるからだ。

タクシーの運転手、その中でも会社に所属しているタクシーの運転手は災害支援金の支給対象に含まれている。低所得層の露天商や介護サービス従事者、大学生、フリーランサーなどが災害支援金の支給対象に追加で組み込まれた。すると、個人タクシーやバスの運転手たちが「我々にはなぜくれないのか」と持ちかけ、税金すら払わない露天商たちに対し支援金を払うなんてとんでもないという非難が殺到し状況は複雑になっている。

無料なら洗濯用の苛性ソーダも飲む。

政府から提供される「タダのお金」に対して「選挙を控えて金をばらまく」、「国のありさまがひどい」、「子孫に多額の借金だけを残す悪い政府だ」と批判しながらも、タダのお金が私の懐にも流れ込むことを望んでいる。

災害支援金を貧富、職業などを問わずに与えるのが正しいのか、新型コロナウイルスで苦しむ人にだけ与えるのが正しいのか、正解を見分けるのは容易でないことだ。新型コロナウイルスで打撃を受ける業種でも、商売がうまくいっているところもあるだろうし、影響を受けない業種でも廃業寸前に置かれているところもあるだろうし…。本人が仕事もせず博打に陥って暮らしにくくなったのに、国がお金を配るというのもおかしいし…。細かく計算してみるとあらゆる意見を一致させるのは不可能に近い。

そのため、国民すべてに支給することを原則としているが、支援金が必要でない人は受領をしないか、寄付をすることが正解に近いだろう。

しかし、これが世の中のことを知らない純粋な希望だという批判に直面しているのが問題だ。少なくとも国を経営している人なら、そんな希望を抱いてはいけないということだ。

1次災害支援金を支給する際に申請した世帯は2216万世帯。申請していない世帯は58万世帯だ。2.5%に過ぎない。

災害支援金を申請していない世帯の中には10代の世帯主が2万人もいる。

支援金を自発的に寄付した金額は282億ウォン、全受領金額13兆5908ウォンの0.2%に過ぎなかった。

10~20%は寄付するという期待が見事に外れたのだ。

災害支援金を申請するクレジットカード会社が寄付を誘導すると悪口をいっぱい言われたりもした。

悪口を言う人たちもタダで配ったお金を受領しただろう。

家族が普段楽しむカルビパーティーをするにも足りないお金だが「無料だね!」と喜んで受け取っただろう。

21世紀の韓国人の暮らしぶりがこうだ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-03-21 00:00:00




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