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【韓国コラム】寝室に忍び込むリアルドール


このごろ韓国で税関と輸入業者の間で妙な神経戦が繰り広げられている。

税関は訴えられると翻然と負けることを知りながら通関を拒否している。

訴訟費用まで払いながらだ。

すでに敗訴した訴訟だけでも10件を超える。

輸入業者は行政訴訟で勝ったと喜ぶ暇もない。税関は控訴をして結局最高裁判所まで行くだろう。 最高裁判所の判事たちが輸入業者の肩を持つだろうが、訴訟のために持ち込んだ品物を売る時は、すでに気が抜けた状態になるだろう。

これぐらいになると、国庫を浪費していると厳しく叱責されかねないが、国政監査に乗り出した国会議員たちも与野党を問わず税関をかばうことになる。

どんな品物を税関が通関を拒否するのだろうか。

女性全身人形、リアルドールだ。

女性団体が女性を性的対象とし女性嫌悪主義を煽るとしてリアルドールに反対しているために起きているのだ。税関は国庫の無駄使いよりは女性団体の反発をもっと心配するようだ。

「物品が非常に低俗だが人間の尊厳と価値を毀損及び歪曲したとは考えられない」という理由で、リアルドール輸入業者の手を取る判決を下し、セックスショップやオンライン上で密かに取引されていたリアルドール問題が公論化された。

新型コロナウイルスで観客を受け入れられなくなると、がらんとした観客席にマスクをした女性の人形を準備した主催側が厳しく非難されたことがある。

国会議員の一人は女性支持者の心をつかむために、国政監査場にリアルドールの証人を座らせたりもした。

そのうちセックスロボットも登場するそうだが、韓国では人形をめぐって男女が激突しているところだ。

韓国ではリアルドールに向けられた視線は男女間でとても差がある。

2019年にエムブレイントレンドモニターが19~44歳の男女1000人を対象に実施したアンケート調査で、男性の大部分(72.2%)がリアルドールに賛成した反面、女性の賛成率は32.6%で半分に満たなかった。

女性はリアルドールを所有する男性を変態、潜在的な性暴力者だと見ることが多い。女性を性欲解消の道具にする道具だと思うのだ。

男性たちは女性のそうした偏見を恐れて実際の女性より人形を選んだと反論する。寂しいから抱きしめて寝るために、小言を言う妻の代わりになる一人の伴侶だと対抗する。

税関が輸入業者を阻む間、リアルドールを生産する韓国企業が好況を享受している。仁川(インチョン)の会社は作ると、すぐに売れていくそうだ。

収入がいいと知られたらリアルドールを作る工場がもっと増えるだろう。

一人暮らしの男性が家にリアルドールを買っておいて、日課が終わった後、女性とのデートの約束をせずに家で待っているリアルドールの元へ行くために急いで帰る。そんな世の中になるかもしれないという気がする。

政治圏や女性団体がリアルドールの流通をどう食い止めるかアイデアを絞り出すために没頭している間にリアルドールは進化している。

この分野の先駆者であるアメリカのアビスクリエーション社は表情が自由自在に変わり対話も可能になる製品まで出した。寂しい男性が増える世の中、需要はいくらでもあるだろう。

恋愛の代わりに結婚の代わりに人形を選ぶ男性が増えれば…。

想像するだけでもぞっとする。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-04-10 00:00:00




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