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【韓国コラム】大同江(テドンガン)の水と透明な彫刻像


先日、イタリアで変な彫刻像がオークションに出され2000万ウォンで落札された。画家であり視覚芸術家や彫刻家としても活動するサルヴァトーレ・ガラウ(Salvatore Garau)の作品は、人の目だけでなく最先端の光学機器を用いても鑑賞することができない。

がらんとした空間があるだけだ。落札した人が手にしたのは、「Lo Soni(I am)」の本物であることを保証する証書だけだ。サルヴァトーレ・ガラウは作品(?)を購入した顧客に150メートル×150メートル以上の空間に保管するよう頼んだそうだ。落札した人がこれを展示するにはかなり広いリビングが必要になりそうだ。

王に透明な服を着せ裸にした度胸のいい裁断師が思い浮かぶ。(「はだかの王様」)

このニュースを伝えた韓国メディアは一様に「イタリアの鳳利金先達(ポンイ、キム・ソンダル)」と書いた。「ポンイ」というニックネーム自体が、鶏商人を相手に詐欺劇を起こしたことから名付けられたためだ。希代の詐欺師という意味が込められている。

市場に行って鶏商人の前で純粋な田舎もののフリをした。店でひときわ大きな鶏を見ては「もしかしてあれが伝説の鳳じゃないか?」と驚いたフリをした。そんなキム・ソンダルを見て、鶏商人は騙して金を取れるチャンスだと考える。

鶏商人は「そうです。鳳ですよ」と言って1両の鶏を10両で売った。鶏を買ったキム・ソンダルは村の村長の所へ行き、貴重な鳳を手に入れたため捧げに来たと伝える。「鳳」という言葉に喜んでいた村長は、ただの雄鶏だと知り火がついたように怒った。キム・ソンダルは官吏を欺いたという罪で棒叩きの刑を受けることになるが、叩かれれながら「鶏商人のせいで私は死ぬんだ」と大声で叫んた。しばらく棒叩きの刑を止めさせ一部始終を聞いた村長は純粋で村長を敬う気持ちもある民を鶏商人が騙したと判断する。そして鶏商人を捕まえてきて棒で打ち、キム・ソンダルにしっかり賠償をするように命じる。

「鳳利金善達」の最高の武勇談は、大同江(テドンガン)の水を売り飛ばした事件だ。平壌(ピョンヤン)の中心部を流れる大同江は誰かの専有物にはならない。キム・ソンダルは大同江の水が自分のものだと主張しながら偽の客を雇って水を汲んでいく度に、自分にお金を渡す光景を演出する。何日もこの様子を見守ってきた漢陽(ハニャン)の商人たちが接近してくると、大金を受け取って川の水を売り渡した。商人たちは翌日から川辺に座って水を汲みに来る人からお金をもらおうとするが、それを聞いて怒った人たちに袋叩きにされて逃げることになる。

普通の人々はこんな話を聞いてもただの他人事だと思うようになる。

大同江の水で詐欺劇を繰り広げたキム・ソンダルも透明な彫刻像を製作(?)した彫刻家も、お金のない庶民を対象にしているわけではないからだ。お金のない人たちは最初から考慮する対象に含まれないから幸いと考えるべきだろうか。

透明な彫刻像の落札の知らせを聞いて、ふと仮想通貨が思い浮かぶ。手で触ることもできないビットコインは価値操作、損傷、盗難から自由だという長所があるが、将来どうなるか誰にも分からない状態だ。

世界第3位の富豪、イーロン・マスク(Elon Musk)の冗談一言で、価格が乱高下する状況になったりもする。数人の金持ちが協力(?)すれば、仮想通貨投資に必死になっている若者たちの暮らしはどうなるのか…。金持ちを相手にした詐欺、金持ちのお金遊びではないから少し心配になったりもする。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-06-12 00:00:00




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