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匿名コミュニケーションツール「Blind」のムン・ソンウク代表


  • 匿名コミュニケーションツール「Blind」のムン・ソンウク代表
  • ムン・ソンウク代表


「転職する前にブラインド(Blind)から情報を得なければ狂っている」

このごろ米国シリコンバレーの離職市場では、このような言葉が出回っているという。世界のテック企業の教本になるシリコンバレーで離職する際は、ブラインドで企業の給与と福祉、各種の文化と関連した情報を必ず確認してから動くべきだというものだ。

社員コミュニティのスタートアップ「ブラインド」のムン・ソンウク代表は最近、毎日経済とのインタビューで「マイクロソフト(MS)全体の従業員の90%を、Facebookやアマゾンに勤務する従業員の70%を超えるメンバーがブラインドを利用する」とし、「GoogleやUber(ウーバー(、Airbnb、Lyft(リフト)のようなシリコンバレーのすべての主要企業が利用するサービスとして定着した」と会社の位相を説明した。

2013年に「ブラインド」アプリをリリースして、2014年に本社を米国に設立してから8年ぶりに成し遂げた快挙だ。ムン代表は「米国のテック企業で働いている人だけでも1200万人で、韓国全体の事務職労働者よりも多い」とし、「米国テック業界ではブラインドを利用しなければ損だという認識が広がっている」と紹介した。

匿名を基本にしたコミュニティであるブラインドは会社員たちの「テナムスプ(竹の森)/匿名掲示板」と呼ばれ、うわさや口コミなどもなく会員を増やしてきた。現在の累積会員は韓国370万人と米国の150万人をはじめ、計520万人以上だ。最近の月間の訪問ユーザー数(MAU)は370万人の水準だ。安定した成長をもとに、最近は3700万ドル(約422億ウォン)のシリーズCの投資誘致も仕上げた。累積金額だけで670億ウォンを軽く超えるのに、2025年には株式市場に上場することが目標だ。

ブラインドは「疎通の問題」のために企画された。ムン代表は「企業の構成員が100人ほどのときはコミュニケーションはうまくいくが、1000人を超えると企業努力の如何にかかわらず、コミュニケーションの一部が妨げられる」とし、「匿名でコミュニケーションするチャンネルでは、実際に顔をつき合わせてプロジェクトを進めるよりもはるかに共感や刺激が活発に起こった」と説明した。

社員の勤務トレンドが変わったことも、ブラインドの成長に一役買った。ムン代表は「以前は企業が社員を選択する時代だったとしたら、いまは社員が企業を選択する時代」だとし、「米国で自発的な退職率が64%に増加し、国内でも入社1年以内の退社率が15%水準から28%まで増加した」と語る。

個人のビジョンと自己実現が互いに融合されるようにする企業が良い企業になる時代が到来したという話だ。ムン代表は「良い企業を作る最良の方法は、社員を理解すること」だとし、「社員はコーヒーを飲んだりタバコを吸うときはいつも会社の話をするが、企業はこのような情報を総合し、企業の発展のために利用できなければならない」と語った。

人々が話すようにするには、何よりも「匿名性」に基盤しなければならないという。ムン代表は「匿名性が私たちの社の最初の優先順位だ。それでこそ話を始めるだろう」とし、「二つ目は人々の話に基づいて企業がそれをよく理解して、正確に認知できるようにしなければならず、最終的には企業が変わらなければならない」と強調した。

同氏は特に「ブラインドの匿名投稿は、アップロードされた瞬間に誰が書いたのか絶対確認できない、ブラインドだけの暗号化方式を使う。流出するデータがないと見てもさしつかえないし、匿名が割れないことがブラインドの存在理由」だと付け加えた。

最近ではブラインドに上がってくる情報にもとづいて、社内提案を確認し、文化を変えようとする企業も増えている。コスダック1位企業の韓セルトリオン社の徐廷珍(ソ・ヂョンヂン)名誉会長は毎朝ブラインドアプリに接続し、社内の問題を把握することから仕事を始める。ソ名誉会長は会社のシステムの件やプロジェクトの予算が不足している話、エアコンやトイレなどの器物が故障したという情報提供までくまなく眼を通すと伝えられた。

このように国内企業は企業の内部システムや文化を変えるためのツールとして、ブラインドを活用するべきだと強調した。ムン代表は「最近のネイバーの労使間問題などはブラインドがなければ公論化はすばやく行われなかったかもしれない」とし、「企業の立場ではブラインドを公共の敵と考えることもできるが、ブラインドの情報を迅速に把握して、すばやい意思決定を下すことが企業の成長に大きな助けになるだろう」と語った。

世界有数のビッグテック企業の何社かは、そのチャンネルに上がってきた内容でブラインド側にコンサルティングを依頼した。ムン代表は「ブラインドがなくても、いつでもどこでも会社の話を交わす社員の文化は消えない」とし、「企業の問題を水面に盛り上げてこそ問題は解決される」と強調した。

究極的には世界のすべての組織文化を変えていくのが目標だ。ムン代表は「米国ハイテク企業の社員は全世界に広がっており、カナダ、英国、ドイツ、インドからもトラフィックが出てくる、今後はそれらの国にサービスを拡大していくつもり」だとし、「企業をこえて組織形態を持つすべての集団、例えば宗教団体や学校にも健康なコミュニケーション文化を定着させたい」と抱負を明らかにした。
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  • ブラインドの概要

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  • 毎日経済 | ホン・ソンヨン記者/ウ・スミン記者/写真=パク・ヒョンギ記者
  • 入力 2021-07-21 21:48:01




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