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【韓国コラム】「被告人たちは名誉が重要な人たちなので…」


「できるだけ年内に(裁判を)終えるよう努力する。被告人たちの場合、名誉が非常に重要な人なので裁判所に出すぎて露出しすぎることも望ましくないかもしれない」

今年8月13日、特定犯罪加重処罰などに関する法律違反(報復、脅迫)容疑で起訴されたYGエンターテインメントの元総括プロデューサー、ヤン・ヒョンソクの公判で判事が口にした言葉だ。

YGの名誉?

「バーニングサン事件」を記憶する人としては「通り過ぎる犬も笑う」に値する言葉だ。

YGの名誉ははるか昔に、どん底に落ちたと言ってもいいだろう。

ヤン・ヒョンソクの裁判に先立って行われた軍事裁判を受けたV.Iは外国人投資家に売春を斡旋し20億ウォン台の海外遠征賭博をした疑いなどがすべて認められ懲役3年、追徴金約11億5000万ウォンの量刑が言い渡された。V.Iは、その後すぐに法廷拘束された。

このような状況で行われた裁判で判事が言った言葉だ。

  • 【韓国コラム】「被告人たちは名誉が重要な人たちなので…」
ヤン・ヒョンソクは現在、芸能人志望のA氏がグループiKONのメンバーB.I(キム・ハンビン)の麻薬投薬事件を通報したことに対し報復や脅迫をした疑いが持たれている。

情報提供者のA氏は麻薬投薬の疑いで警察に逮捕され取り調べを受ける過程でB.Iに麻薬を渡したという供述をした。

この事実について報告を受けたヤン・ヒョンソクはA氏に会って「あなたは芸能界や華流界にいそうな人だが、あなた1人を殺すのは何でもない」と脅迫して証言を覆させようとしたそうだ。麻薬投与、購買の疑惑が浮き彫りになった後、B.IはYGとの専属契約を解約しチームを脱退した。そのためB.Iが麻薬を購入して投与した疑いが強くなった。警察の調べに対し以前の主張を覆したA氏は「ヤン・ヒョンソクの介入と脅迫が問題の核心だ」というコメントをSNSに掲載した。

その後、行われた警察の取調べでB.Iが麻薬服用容疑を認め警察はB.Iとヤン・ヒョンソクを起訴を求める意見を付けて検察に送致した。
ここまでは検察の主張だ。

ヤン・ヒョンソクの弁護人は「A氏に会って話をしたのは事実だが、虚偽の陳述をするよう脅迫したり強要した事実はない」と検察の公訴事実のすべてを否認している。

誰の言葉が真実なのか、まだ分からない。

だからこそ、裁判所は一層慎重を期すべき時なのだ。米国のように陪審員なしに判事の判断だけで有罪無罪が分かれる状況なので裁判所の価値中立はさらに必要だ。

ただでさえYGは一般常識から外れているほど警察や検察から強力な庇護を受けていると議論が持ち上がっている。さらにYGの名誉を云々した裁判長の発言は一般人に「力のある者は裁判まで買収するんだな」という認識を植え付けるかもしれない。

裁判長が一歩遅れて気づいたのか「言うべきことではないが…」と付け足したものの、すでに発言した言葉を収拾するには遅かった。

韓国の法廷が真実を探る所だと信じられるだろうか。

こんな問いを投げる事件が、どうか数件にならないことを願うばかりだ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-08-14 00:00:00




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