中国に抜かれた韓ディスプレイ企業…技術超格差で挽回か


■ 韓政府、ディスプレイ産業の超格差維持に乗り出す

昨年、韓国の輸出でディスプレイ産業が占める割合は、統計庁と韓国貿易協会(KITA)資料によると約3.5%(180億ドル/約21兆2000億ウォン)に達した。 2019年の時点で、韓国のディスプレイパネルメーカーと素材・機器メーカーなどの生産額(財とサービスの価値)の合計は約67兆7780億ウォンだ。韓国の国内総生産(GDP)の4.4%に相当する。同年のディスプレイ産業の雇用は8万8000人だった。大半の製造業が欧州と米国そして中国などの海外需要先に工場を移転しているが、ディスプレイメーカーはまだ国内の生産基盤を維持している。

こうしたなかで、政府はディスプレイ産業の発展戦略を整えて、核心人材を積極的に育成することにした。ここ数年のあいだ守ってきたディスプレイ市場シェア世界1位を中国に差し出した状況を、技術の超格差で再び覆すという目標だ。

ムン・スンウク産業通商資源部長官は去る16日、ソウル市鍾路区の韓国貿易保険公社で経済研究機関長との懇談会を開いてこのように明らかにした。政府は超格差で競争力を維持するための「ディスプレイ戦略」を整え、国会と「国家核心戦略産業特別法」をまもなくに発議する予定だ。ムン長官は「世界の供給網が再編されている中で攻勢的に産業と技術の主導権を確保し、炭素中立(カーボンニュートラル)とデジタル化を機会に先導型産業構造への転換を急ぐ」とし、「社会的価値と良質の雇用を導く包容的産業転換も実現する。現問題に対する対応は、30年後にわが国の経済と社会の未来を左右するという責任感を持って政策に臨む」と述べた。

■ 停滞する韓ディスプレイ産業
  • ディスプレイ生産の韓・中逆転現象


ディスプレイ産業の現在の状況は尋常でない。毎日経済新聞が最近、市場調査機関のオームディアが集計した売上高基準のディスプレイ市場占有率のデータを業界と共同で分析した結果、今年の第1四半期の液晶表示装置(LCD)と有機発光ダイオード(OLED)を含む全体の売上高シェアでは中国が40%を記録し、韓国(33%)を抜いて世界1位に上がった。両国間のシェア格差は2019年まで11%ポイントに達したが、コロナ19の拡散でテレビやノートPCなどのディスプレイ機器の需要が急増し、このことから中国が市場を掌握しているLCDパネルの価格が急騰してシェアが逆転した。

■ 厚い支援を受ける中国企業

中国のディスプレイ業界は、「傾いた運動場」を基盤に急成長している。中国は企業がディスプレイ工場を建てるとき、地方政府が投資額の相当部分を分担し、残りは投資ファンドや政府が保証した銀行融資で大部分を埋める。企業が実際に投入する資本は少ない。さらに中国政府は企業が製品を製造するときに追加で補助金を与え、企業の財務諸表を「健全に」変えてやる。

中BOE社が安徽省合肥市に建てた最初の10.5世代LCDラインであるB9がその代表的な事例だ。この工場の投資額は総460億元(8兆1700億ウォン)だ。このうちBOE社自体の資金は6.5%である30億元(5300億ウォン)に過ぎない。合肥市傘下の公企業が210億元(3兆7300億ウォン)を担い、現地の公共投資ファンドが60億元を、残りの160億元など総220億元(3兆9100億ウォン)を担当した。

  • 韓・中の原価競争力の比較


福建省福州市にBOEが建設した中・小型OLED工場(B15)も同じだ。総投資額465億元のうちでBOEの負担額は113億元であり、福州市とプチン市政府が147億元を分担した。 205億元は政府が保証した銀行融資だ。 2位の中CSOTが投資した武漢の中小型OLEDライン(T4)も、総投資額342億元のうちでCSOTが負担した額は100億元で30%にもならない。すべての投資金を自分で充当する韓国のディスプレイ企業とスタートラインから過度に不平等なわけだ。

中国企業は莫大な政府補助金も受けている。 DB金融投資分析によると、2010年から10年間にBOEは中国政府から直接受け取った補助金のみで2兆ウォンを超える。これは、同じ期間におけるBOEの累積純利益の59%に達し、補助金を除けばBOEが利益を出した年は10年のうちで半分にしかならない。

DB金融投資によると、BOEとCSOT、Visionox(ビジョンオックス)、Tianma(ティアンマ)などの中国4大ディスプレイ企業は、2012年から8年間に獲得した政府補助金の総額は5兆5000億ウォンだ。同じ期間におけるサムスンディスプレイとLGディスプレイの純利益を合算した額(20兆ウォン)の25%以上だ。 DB金融投資は「政府の補助金がなければ中国企業はディスプレイ事業を継続することも難しい」と分析した。

  • 昨年末に稼働を中断したサムスンディスプレイ中国蘇州液晶表示装置(LCD)工場の全景。昨年、サムスンディスプレイはこの工場を中国企業CSOTに売却しており、今年4月に関連手続きを完了した。写真提供=サムスンディスプレイ



中国政府は天文学的な補助金のほかに、インフラや税制優遇で企業を助ける。まず土地と建物に水、そして電気などのインフラが無償で支援される。生産(収率)が上がれば激励金が支給される。また中国はディスプレイを含む尖端産業の法人税を25%から13%に削減し、海外からの輸入機器と材料は無関税特典も提供する。このような支援のおかげで、中国企業の生産コストは韓国に比べて71%に過ぎない。

中国に比べれば韓国政府のディスプレイ産業への支援は、事実上は無いと見なければならない。投資額の最大6%を税額控除することを除けば、インフラと輸入機器・素材に対する無関税特典を一部提供する程度だ。新成長設備投資については3%の税額控除を提供しているが、売上高のうちで研究開発(R&D)の費用が2%以上であり、開発費のうちで新成長技術の割合が50%以上でなければならないなどの条件は難しい。

すでに中国は世界のLCDパネル市場の60.7%を占め、韓国と台湾を圧倒している。問題は韓国が最後の砦としたOLEDだ。 BOEとCSOTやビジョンオックスそしてティアンマは今年、中小型OLEDの新増設投資を本格化することにした。今年は中国内の主要ディスプレイ企業が計画していた増設投資を終えると、第6世代のOLEDパネルを基準にして月間数十万枚を追加で生産できるようになる。

オムディアはスマートフォン用OLED市場で、中国企業のシェアは今年の15%から来年は27%まで上昇するだろうと予想した。国内市場調査機関であるユービリサーチ(UBI RESEARCH)は、現在はスマートフォンOLED市場の80%を掌握したサムスンディスプレイのシェアは、来年には60%台に低下するかもしれないと予想した。ソウル大学電気・情報工学部のイ・シンドゥ教授は「中国には世界3位のテレビメーカーであるTCLをはじめとする最終製品メーカーが多く、粗い品質のディスプレイパネルも消化が可能なほど内需が大きく多様」だとし、「政府支援と国内市場をなどを背に受けて恐ろしく成長している」と語った。


国内ディスプレイ業界の「素材・部品・装置」企業の生態系も崩れている。 2017年から昨年までの3年間でサムスンとLGのディスプレイ分野の設備投資が3分の1の水準に減り、装置企業の上位20社の営業利益も半分になったと把握された。毎日経済新聞が国内のディスプレイ装置企業の売上げを調査した結果、上位20社の昨年の合計成績は5兆2100億ウォンと集計された。同じ期間の営業利益の合計は、8140億ウォンから4010億ウォンに51%も減少した。

韓国のディスプレイ産業界は中国の追撃を締め出すために、政府の破格の支援が切実だ。業界ではいったん現行の租税特例制限法上の核心戦略技術にOLEDとQD-LED(量子ドットLED/QLED)技術を含んで欲しいと提案した。核心戦略技術に含まれる場合、研究開発投資の30~50%の税額控除を受ける。施設投資は6~16%までが税額控除の対象だ。業界はまた、政府がQDディスプレイと親環境超現実ディスプレイ技術の開発に先導して乗り出すことを要請している。 QDディスプレイとナノプロセス技術に特化した修士・博士級の専門人材の養成も業界の要求だ。
  • 毎日経済 | イ・ジョンヒョク記者
  • 入力 2021-09-18 11:19:08