賢明な消費者対処法「論理」を捨てろ!

消費者は徐々にさらに賢明になり、その分さらに磐石不動 

最近、TV芸能プログラムを覗いて見ると一言で「リアリティ熱風」だ。野生の中の生存の話であれ、父親と子どもたちの旅行記であれ、究極の目的地が感動であれ治癒であれ、リアル(Real)という新芸能コードが視聴者をとりこにしている。これらプログラムは、人為的設定を最小化し、台本と関係なしに起こりうる加工されない生の状況を視聴者が見守るようにする。ドキュメンタリーと観察の調合だ。父親が観るプログラムだとされていたドキュメンタリープログラムの形式を借用した「観察型芸能」がトレンドとして位置づいた秘訣は何だろうか。これは自然さの中で真正性を伝達し、人の共感と呼応を引き出したためだ。「自然さ」と「真正性」という芸能の秘策は、ビジネスと広告界でも示唆するところがとても大きい。

人々が作り出した「企業」という「話者」は絶えず自身のメッセージを伝えようとする。しかし「消費者」という「聴者」はそのメッセージに耳を傾けようとしない。なおさら消費者がメッセージを受け入れ、それに応じて動くようにすることはさらに難しいことだ。このようなアイロニーを克服するため、数多くのマーケターと広告人は恵沢というにんじんを与えもし、自身の言葉を受け入れなければ消費者が損をすると威嚇もしてみる。しかし、消費者は徐々にさらに賢くなろうと、その分さらにゆるぎないものになる。そうすると企業はなぜ自分の言葉を聞き取れないのかというように強大な物量でより一層緻密に、論理的に自身のメッセージを伝えようとする。失敗を繰り返すほどさらに徹底して注入し、教育しようとすることが普通の企業であり、広告だ。

ノーベル賞受賞者の経済学者であり心理学者のダニエル・カーネマンは、自身の著書「思考に対する思考(Thingking, Fast and Slow)」で、人が考える方式は2つの思考体系(Two systems)から出ると話す。私たちの脳内ではこの2つの思考体系が相互作用して周辺の刺激に反応し、あれこれ感情と欲望を持つようになり、これにともない行動するということだ。2つの思考体系のうち1つは「速い思考」と呼ばれ、もう1つは「遅い思考」と命名する。「速い思考」は本能的な反応に近い、習慣的、直感的、衝動的な体系で、「遅い思考」は意識的な努力を通じて複雑で複合的な対象に対する比較、分析をする体系だ。易しくいうと自動的、直感的思考体系である「速い思考」体系はこれといった努力を必要としないということで、「遅い思考」体系は稼働するには特別な精神的努力が必要で、このような努力にはさらに多くのエネルギーが必要であるため、継続して稼働するのが難しいということだ。

人々のふたつの思考体系の中で、どんなものに訴えることが容易に反応し、早く行動を変化させるのだろうか。

人間の本能を利用し、教えなくても自発的に消費者の変化を誘導した代表的な事例がある。あまりにも有名なフォルクスワーゲンの「Fun Theory」キャンペーンだ。親環境エンジン技術を保有していたフォルクスワーゲンは、2010年から親環境政策を繰り広げており、これを通じ「世界を有利にしよう」という企業の価値を人々に知らせようとした。彼らは比較、分析的に環境問題と自身の努力を消費者に教育するかわり、人間の本性、ファン(Fun)に集中する。

ストックホルムのある階段をピアノのようにつくり、歩くたびにピアノの音が出るようにした。人々はエスカレーターのかわりに好んで階段を利用し、楽しく世界を変化させるうきうきする体験を持つようになった。フォルクスワーゲンのFun Theory映像は、ユーチューブで2000万照会をはじめ、消費者に広く知られ、自身の親環境メッセージを易しく速く伝播した。ナイキもまた道端でバスケットボールのゴール台模様のごみ箱を設置し、道端のごみ回収率を高めたことがある。 私たちの日常でスポーツとナイキが常に共存しているというメッセージを、青少年が自ら伝達し、ナイキに対する好意的なイメージを形成したものだ。企業の真正性と努力がこのように広告コンテひとつなしに消費者へ自然な方式で浸透させ、自発的に広まった事例だ。

このような「自然さ」と「真正性」の力を知っている広告も多い。そのような広告の特徴のうち一つが、製品を強調しないということだ。製品が何で作られたのか、競争社製品よりどのような点が優秀なのか、どこで買えるのか注入するよりは、消費者の姿を自然に描き出し、これを見る消費者が淡々と受け入れるようにする。最近、TVで放映されている東遠(トンウォン)シーチキン広告もまた、製品が主人公でなく消費者が主人公の広告だ。病気の妻に粥をゆがいてやり、大切な心を伝える夫の姿、忙しく疲れた母のためぎこちなく直接作った料理で心を伝える子どもの姿に消費者は広告の中の話に共感し、自分も知らずに一度くらいは心を表現してみたいと考えただろう。

不況期に企業が問題を解決し、高い成果を見せるためにはさらに甘いにんじんで消費者を誘惑し、さらに科学的な論理で武装することも必要だが、新しい観点で消費者の行動誘発のための動機を探していくことがさらに望ましいともいえる。消費者の行動はとても論理的で理性的なようだが、彼らは本性に忠実な存在だ。製品の特徴点を比較、分析する頑固な理性よりは、不知不識のうちに形成された直感の力がさらに深く、さらに速く作用する。

消費者は企業がメッセージを注入させ変化させなければならない対象ではなく、自己主導的に判断し動く対象だ。彼らを眺めてみよう。観念から抜け出し、彼らを観察してみると彼らの内在的な欲求も、ビジネスの出口も見えるだろうと考える。企業の、製品の真正性が耐えていなければならないのは当然だ。
  • 毎日経済_パク・エリ HSアド ブランドソリューショングループ長 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2013-06-10 12:00:00