【韓国コラム】「イカゲーム」の「悪法も法なり」


「悪法も法なり」

ギリシャの賢人ソクラテスの言った言葉と取り違える人もいるが、古代ローマの法律である「Duralex, sedlex(法は厳しいがそれでも法)」を由来とする言葉だ。

日本の法哲学者、尾高朝雄が「ソクラテスが毒杯を挙げたのは実定法を尊重したからであり、悪法も法だから、これを守らなければならない」と強調したことからソクラテスの言葉と誤伝された。

ソクラテスが実定法を尊重したから、毅然として毒杯を飲んだのだろうか。

プラトンは著書『パイドン』で「おい、クリトン、アスクレピオス(医の神)に鶏を一羽、お供えしなければならなかった。忘れずにやってくれ」という遺言を残していたと伝えられていることから、生と死を超然とした姿を垣間見ることができる。

「悪法も法なり」という法言を重視する人々は実定法が崩れる場合、社会組織の根幹が揺さぶられることを懸念する。法治主義国家で法に疑問を抱くなら社会を支える力は消えるだろう。

しかし、悪法が法として機能するためには少なくとも「法の前では誰でも平等」という原則が守られなければならない。現代の法体系はもちろん法典の一節は、凡人が見るには難しすぎる。弁護士と呼ばれる専門家の助けを借りなくては自分がどんな過ちを犯したのか、どんな法で救済を受けられるのかさえ分からない場合が多い。

法が複雑になればなるほど権力者と金持ちに有利なゲームになるしかない構造だ。

そこまではそれでも耐えられる。問題は、韓国社会の法が強者には寛大で弱者には苛酷だという点だ。

世論調査会社のトレンドモニターが成人男女1000人を対象に行ったアンケート調査で、回答者10人中7人(76%)が韓国社会は依然として「有銭無罪・無銭有罪」で回っていることに共感を示している。回答者の半分以上(55.5%)が「法より拳やお金の力が強い」という評価を下したりもした。

だから「法に則って生きると損」(62.7%)という認識が強くなる。

権力者は実定法がその機能を果たすよう「悪法も法なり」を強調するが、韓国人の大多数(81.1%)は権力者が法を守らないと感じている。「権力者たちの順法意識が強いと感じる人」(5.3%)は極めて少数だ。

法の執行が公平ではないと感じるので「悪法も法なり」に疑問を抱くようになる。韓国の第16代大統領のノ・ムヒョン大統領は弁護士時代、現代重工業のストライキ現場で「法が正当でない時、守らなくてもいい」と両手をぎゅっと握っていた。

ドラマ『イカゲーム』に多くの人が熱狂する理由は、残酷なゲームであるとしても厳格なルールが参加者全員に公平に適用されているという点もあるだろう。

参加者たちの遺体から臓器を取り出して販売した悪徳医師が処罰される理由も、ルールを破ったからだ。


「君はゲームの平等を破った…」
「外であらゆる処罰を受ける人たちが、この中では同じ規則と同じルールで公平にゲームをしている」
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-10-23 00:00:00