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韓バッテリー産業、原材料の「中国依存」に危機感


  • 韓バッテリー産業、原材料の「中国依存」に危機感

  • 韓国の次世代有望事業として脚光を浴びている自動車バッテリー生産に必要な原材料も中国への依存度が高く、いつでも第2の「尿素水事態」が起きうるという懸念が高まっている。 9日、仁川港第3埠頭に輸入された尿素とマグネシウムや塩化カリウムなどの原材料が積み上げられている。 [キム・ホヨン記者]



「尿素水事態」を契機ににして、中国への輸入比重の高い原材料に対する供給支障の懸念が高まっている。特に韓国産業の「未来有望事業」にあげられる二次電池(電気自動車要バッテリー)の対中原材料依存度が高く、「Kバッテリー」分野で「第2の尿素水事態」が発生する可能性があるという警告音が出ている。

2019年に日本の対韓輸出規制で半導体産業が大きな危機を迎えたにもかかわらず、特定国に依存した供給網問題が再び提起されたという点で、政府の「ソブジャン(素部装:素材・部品・装置)」に対する政策は、けっきょく「脱日本」にとどまっただけではないかという指摘も出ている。

9日、韓国貿易協会が今年1~9月の品目別の中国輸入依存度を調査した結果、産業用に使用される主要原材料の相当数が中国発のリスクに脆弱であることが確認された。品目別の中国輸入依存度は、△マンガン製品(99%)、△アルミニウムケーブル(97.4%)、△マグネシウム塊及びスクラップ(94.5%)、△亜鉛鋼板(93.8%)、△黒鉛(87.7%)、△電気鋼板(82.0%)、△個別素子半導体部品(76.9%)の順で高かった。

これらの中でもマンガン製品と黒鉛は、二次電池を構成する核心原材料だ。マンガンは二次電池を構成する素材である陽極材として使用される。南アフリカ共和国とブラジルや豪州など、世界的にひろく埋蔵されているが、生産量は中国が圧倒的だ。韓国資源情報サービスによると、中国の昨年のマンガン生産量は約3167万トンに達する。 2位の南アフリカ(1602万トン)の2倍だ。特に米テスラや独フォルクスワーゲンなど世界的な完成車(電気自動車)メーカーは最近、陽極材に使われるコバルトの代替材としてマンガンに注目している。コバルトの価格が陽極材の主要原材料の中では最も高価だからだ。コバルトの価格は1トン当たり5万9200ドルだ。 1年前と比べると価格は82.3%も急騰した。

二次電池の充電速度を向上させる陰極材の主原料である黒鉛も、中国の輸入比率は相当なものだ。

中国は昨年、世界で最も多い65万トンの黒鉛を生産した。世界生産量の60%に相当する。この他にも水酸化リチウムと水酸化コバルトや硫酸コバルトなど、二次電池の原材料の中国依存度は80%台に達する。

中国が二次電池素材の供給網を独占しているのは、安価な人件費と原材料を加工できるインフラが充実しているからだ。環境規制が少ないという点も一役買っている。

二次電池メーカーの関係者は「中国は二次電池だけでなく、四次産業革命時代に必要な主要原材料を事実上は独占している」とし、「ジョー・バイデン行政部の発足以後も米・中貿易紛争は解消されていないが、もし中国が二次電池のバリューチェーンに触れることになると韓国はもちろん、米国まで大きな打撃を受けることになるだろう」とした。

また別の業界関係者は、「中国が世界の電気自動車市場の50%を占めており、主要なバッテリー生産施設は韓・中・日に集まっており、バリューチェーンの面では中国の影響力が絶対的」だとし、「バッテリー素材の需給に支障が生じた場合、自動車業界も電気自動車の生産に困難をきたす可能性がある」と説明した。

米・中の葛藤で西方先進国と中国間のグローバル供給網(GVC)の分断可能性がずっと提起されてきたが、中国依存度の高い汎用原材料に対する別途の代替案はなかった。政府は昨年7月に発表した「ソブジャン2.0戦略」を通じて、素材・部品・装置の供給網管理対象を対日本100大品目から世界を対象に338品目に拡大し、国内の備蓄と国産化技術の開発などを支援した。希土類などの希少金属35種も管理している。しかし尿素のように必要でありながらも汎用輸入品目に分類される原材料は、ここに含まれていない。

「コロナ19事態」を経て世界供給網のパラダイムは、注文から直ちに生産・供給する「JIT(ジャストインタイム)」から、もしもの状況に備えて在庫・資源を確保する「JIC(ジャストインケース)」に変化している。 100%近くを海外に依存する原材料・資源に対しては産業「安保財」に設定し、最小限の管理に乗り出さなければならないという主張が出ている。原油や食料の在庫を管理するように、4次産業革命に関連する主要原材料は備蓄戦略を体系的に組むべきだということだ。

東徳女子大学のワン・ユンジョン教授は「最近の米国が発表する産業政策を見ると、ほとんどが供給網政策」だとし、「韓国も供給網管理のために、政府は企業とともに主要品目に対する備蓄戦略を立てなければならない」と語った。
  • 韓バッテリー産業、原材料の「中国依存」に危機感
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  • 毎日経済 | ソン・グァンソプ記者/ペク・サンギョン記者/パク・ユング記者
  • 入力 2021-11-10 07:11:17




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