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韓国電力技術、原子炉設計組織の解体を全面中断


原子力設計の専門企業である韓国電力技術(以下、韓電技術)は、原子炉設計の専任組織の解体を骨子として検討してきた組織改編案を全面撤回することにした。

最高水準の原子炉設計技術を保有した原子炉設計開発団の専門人材を4つの事業所に分け、原子力総括事業本部の傘下組織に分散再配置する案を検討したが、関連の計画はすべて白紙化された。開発団を関連研究団地が密集した大田市から、韓電技術の本社がある慶尚北道の金泉(きむちょん)に移動させることもなかったことになった。

韓電技術は週末の21日夜遅く、報道資料を通じて「一連の状況を収拾するために、現在進行中の組織体系の改善などを全面中止することにした」と明らかにした。去る19日、毎日経済新聞が韓電技術の原子炉設計開発団の解体検討事実を報道してから2日ぶりだ。

韓電技術は去る7月、持続可能企業のための経営システム革新推進タスクフォースを構成し、組織改編作業に着手した。今年5月のキム・ソンアム社長の就任後、本格的な議論が始まった。 タスクフォースでの議論を経て去る9月28日に開かれた第10回理事会では、組織改編の目的と方向性、推進スケジュールなどの第1次報告が行われた。続いて11月初めに有力な2つの案をめぐって最終的な内部報告がなされた。

核心は現在、社長直属の単一組織として運営されている原子炉設計開発団を、原子力総括事業本部の傘下組織に分散配置することだった。特に中心人材が布陣した設計部門を、稼働原発事業所・熱電素子事業所・原子力融合技術所・原子力事業技術所など4つの分野の事業所に分け、原子力総括事業本部の傘下に再配置する方案が有力に検討された。

しかしこのような検討の事実が伝えられて、韓電技術の内外では「脱原発へのとどめ」という批判の声が出てきた。韓国の原子力技術を世界最高水準に上げた核心研究組織を事業組織の傘下に分散配置すれば、研究・技術の力量が散在する可能性があるという指摘が出た。一つだった組織を分離する過程で、研究プロセスに関連したノウハウが失われる可能性があるという懸念も大きかった。特に専門人材の技術専修と熟練人材の確保は難しく、機密技術が流出する可能性が大きくなるという懸念が提起された。

原子炉設計開発団でも反発する気配が感知された。これに先立ち、韓電技術は「核心組織の解体ではなく、管理体系の一元化」だとし、「小型モジュール型原子炉(SMR)などの将来の事業力量を強化し、原発輸出を支援する組織改編を検討している」と解明した。

これに対し、開発団の一部では「現在の組織が非効率的だという根拠から明らかにしなければならない」という指摘が出た。特に会社側が業務重複分野としてあげたSMRについては、「設計を確定する設計開発団業務と、これを実現するために必要な補助系統と構造物配置などの設計業務は完全に別の業務」だとし、「輸出戦略の側面で組織改編の効果が何かを詳細に明らかにしなければならない」と反論した。

韓電技術が現在経験している経営難は、根本的に政府のエネルギー転換政策に起因するという解釈が出ている。毎日経済新聞が入手した韓電技術の経営システム革新TFの最終報告資料も、エネルギー転換後の売上げが継続して減少し、2010年以降は最大の経営危機を迎えたと分析した。組織改編の方向については、エネルギー転換政策以前にあった大型原子力・火力発電の国策事業中心の事業構造と組織体系を変えなければならないという点に力点をふった。その過程で原子炉設計開発団の分散・再配置問題が浮上した。

専門家らは組織改編が取り消されたことを幸いだと評価しながら、このようなことが繰り返されてはならないと助言した。脱原発・新再生エネルギー基調にさらされて、原子力技術の競争力を落とすことは留意すべきだということだ。

チョン・ボムジン慶熙大学原子力工学科教授は、「収益創出が難しい状況で多様な方案を悩むことはできるが、国家的な根本技術力は守らなければならない」とし、「原発輸出を公言しただけに、わが国の技術と人材が維持されるようにSMRやAPR1400以後の輸出用大型原発のデザインを研究し続ける仕事を政府が作らなければならない」と語った。
  • 毎日経済 | ペク・サンギョン記者
  • 入力 2021-11-22 19:39:44




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