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【韓国コラム】ワクチン未接種者の防疫パス


数日前、ステキなレストランで夕食をすることになった。約束の日が近づいてるが、ときめきよりは心配でいっぱいだった。

まだワクチン接種を終えてないからだった。当時は、参加者のうち1人までは接種を終えなくても問題なかったが、政府の「社会的距離の確保」や「防疫パス」の方針が変わるかもしれないという不安を抱えたのだ。せっかくの夕食の約束が、私のせいで台無しになるのではないか…。

悩んだ末、約束の前日未明から大学病院のPCRの検査場に並んだ。1時間あまり寒さに震えながら検査を受けた。そして4時間ぐらい経ってから病院から「陰性」というメールが届いた。

どれほど自分が誇らしく堂々とした気分だったか、まるで死後の法廷で無罪判決を受けた気分だった。PCR検査を受けるために支払ったお金も惜しくなかった。

今はどこでも堂々と歩けるという自由さ、解放感。歩き回る場所も特になく、その日の夕方以外は約束もなかったが「誰も私の行く道を塞げない」という気分から生まれる余裕は、1人でいるオフィスにも漂っていた。

しかし、そこまでだ。18日からは接種を終えないと、大勢で集まってご飯も食べられない。恋人と2人で時間を過ごすこともできないだろう。

だから一緒に食事をするためには少なくとも2日前に会う時間を決めてPCR検査を通じて陰性であることを立証しなければならない。陰性確認の有効期間は48時間、長くても60時間を超えないため会社に通っているワクチン未接種者は、いじめに遭うのに適した状況に置かれているわけだ。

韓国では1日に新型コロナウイルスの感染者が7000人以上も確認されているので、政府のこのような防疫対策に納得がいくのは事実だ。新型コロナウイルスと共に生きるしかない世の中なのでワクチンを強要する(?)社会の雰囲気もやむを得ない現象と思われる。

市場調査専門企業のトレンドモニターによるアンケート調査でも80%近くの人がワクチン接種が必要だという認識を共有した。「自分が行く所にワクチンを接種した人だけいてほしい」と率直に答えた人も66.6%に達していた。

しかし、ワクチンの副作用に対する懸念が共存しているのも見逃せない事実だ。ワクチンを打ってから体のあちこちが痛くなったとか、元気な息子が死にかけているなどの話は絶えず流れている。副作用を経験したという被害者の統計は政府が公式的に発表した数字の数十倍に達する。

周りでワクチンの副作用を経験しなくてもワクチンの副作用は心配の種だ。前回の調査でも「ワクチンの安全性を担保できない」という意見が73.6%と支配的だった。ワクチンを打たない理由も「安全性が担保されない注射を打つのが怖い」(55.2%)ためだ。

未接種者の権益を侵害する、という意見は減らない新型コロナウイルスの感染者によって埋もれてしまう。新型コロナウイルスが今のように羽振りを利かせる限り防疫パスは拡大せざるを得ない状況だ。もしかしたらレストランに行って1人でご飯を食べることもできないかもしれない。

新型コロナウイルスが人間社会にワクチンを接種しろという適者生存を強要し、人間社会は新型コロナウイルスの威勢に屈服し適者生存の原始的な道を歩むわけだ。

ややもすると新型コロナウイルスの社会が多数の公共善のために少数の幸せ、いや基本的な暮らしまで踏み潰すのではないかと心配になる。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-12-17 00:00:00




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