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【韓国コラム】夜間通行禁止令の思い出


  • 【韓国コラム】夜間通行禁止令の思い出
夜遅く駅に降りた乗客に発給した夜間通行証だ。1982年に解除されるまで韓国の大半の地域で夜の12時が過ぎてから街を歩くことができなかった。

クリスマスイブは夜間通行禁止令が一時的に解除されたため、この日は若者たちが街に溢れ出た。

ソウルの明洞(ミョンドン)通りはあまりにも人が多くて隣の人とぶつからなければ歩くことも難しいほどだった。解放された空間だった。

居酒屋やカフェは午前0時が過ぎても明かりをつけ、通行禁止の時間に合わせて別れていた恋人たちは別れ際に涙を流さなくてもよくなった。聖なる日を迎え、かなり多くの新しい生命が宿ったりもした。クリスマスベイビーという言葉が出るほどに。

街中で鳴り響くクリスマスキャロルは夜の12時を過ぎて杯を傾ける酒飲みたちにも福音だった。

体を支えられないほど酔って疲れた人々は休む場所を探して一晩中開いている教会に入り込んだりもした。

あの時代、教会に通わなくてもクリスチャンを悪く見る人はあまりいなかった。「教会のお兄さん」は「まじめで勉強も熱心で色気も無い」、つまり娘が恋愛をしてもいい相手と見なされていた。

キリスト教をケドッキョ(プロテスタントを嫌う蔑称)と卑下する声は全くなかった。

ドラマ『イカゲーム』に登場するキリスト教の否定的なイメージが大衆に刻印され始めたのは、皮肉にも夜間通行禁止令が解除された1980年代以降だ。

ドラマ『イカゲーム』だけではない。2000年から2020年にかけて韓国映画やドラマ27本に登場したキリスト教は、映画『ワンドゥギ』(2011)や『1987、ある闘いの真実』(2017)を除き全て否定的な姿だった。

海兵隊の服装で「イエス天国 不信地獄」を叫ぶ狂信的な行動、権力との癒着、サイコパス、性的少数者嫌悪、貪欲など偽善的な姿はご愛嬌と言えるほどだ。

「神を信じれば金持ちになり健康になり天国に行く」という牧師たちの叫びがこだまするほど、悪いイメージは強化された。

プロテスタントの教会は衆生のために十字架に自分をかけたイエスの代わりに豊穣の神バアル(Baal)に追従しているのではないかという疑念まで抱かせるほどだ。

クリスマスイブに、この記事を書く理由は教会を非難するためではない。新型コロナウイルスで人々の心身が引き裂かれるように痛いこの時期、教会がイエスの行跡に従ってほしいという願いから書いているのだ。

韓国初の大型教会である永楽(ヨンラク)教会を建てたハン・ギョンジク(韓景職)牧師は、臨終を控えて訪ねてきた牧師に遺言のように残した。

「牧師様、イエスを信じてください」
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-12-25 00:00:00




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