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人件費に足首つかまれた韓国IT企業…利益率の減少に


  • 人件費に足首つかまれた韓国IT企業…利益率の減少に

最近、電子商取引(イーコマース)のスタートアップA社は、初級開発者の年俸をこれまでの5千万ウォンから6千万ウォンに引き上げた。中堅情報技術(IT)会社やゲーム会社に開発者が離職する事例が増えている。 A社の代表は「私たちよりも大きい企業さえもさらに大きな企業に人材を奪われる、連鎖作用が広がっている」とし、「人件費の負担でストックオプションも掲げているが、今すぐ上場が可能なわけでもないので大きな誘因にならないのが現実」だとため息をついた。

ビックテックの双頭馬車であるネイバーとカカオの人件費上昇は、IT業界全体の生態系問題に広がっている。ビッグテックが人材拡充に乗り出すと、中堅IT会社や中小・ベンチャースタートアップが順番に人材に穴ができる、いうなれば食物連鎖構造が形成されているからだ。実際にネイバーは昨年、従業員539人を補充して4526人を確保し、カカオは556人をさらに選抜して3303人に拡大した。全体の人員が20%以上も増加した状況で、平均賃金も上がった。ネイバーの平均賃金は2020年の1億247万ウォンから昨年は1億2915万ウォンに、カカオは同じ期間に1億800万ウォンから1億7200万ウォンに上昇した。

特に役職員のインセンティブ拡大政策で、ストックオプション費用は3倍ほどに増えた。ネイバーは同じ期間に290億ウォンから734億ウォンで2.5倍に、カカオは433億ウォンから1480億ウォンに3.4倍増加した。両企業とも今後の株式報酬をさらに増やす計画であり、株式インセンティブの費用はますます増加する見通しだ。カカオは今年の年俸財源を15%増やし、さらなる人件費上昇に対応している。今年、カカオの職員の年俸は平均500万ウォンほど引き上げられる見通しだ。カカオのナムグン・フン代表内定者は、来年の年俸予算も追加で6%以上増やすと明らかにした状態だ。

アマゾンウェブサービステックのユン・ソクチャン エヴァンジェリストは、「ネイバーはストックオプションを配らずに現金で補償してくれることで有名だ」とし、「最近になってネイバーがストックオプションもしくは外国系会社のRSU(譲渡制限条件付株式)概念の自社株を分配し始めたのはカカオの影響」だと分析した。 RSUは、特定の価格で会社の株式を購入する権利であるストックオプションとは異なり、従業員が特定の期間に目標を達成した場合に株式で支払う報酬システムだ。カカオの関係者は「ネイバーは現金報酬でカカオは株式報酬というインセンティブ体系が、最近になって互いに混ざり合いながら背くらべをしているようだ」とした。

問題は連鎖効果で中堅IT会社とスタートアップの負担が大きく増えているという点だ。核心人材が抜け出すことを防ぐために、これらの企業も年俸引き上げと株式報酬を掲げた。例えばクラフトンは開発者年俸を一括で2千万ウォン引き上げ、新入社員の初年俸も6千万ウォンに上げた。ネクソンは全職員の年俸800万ウォン引き上げと新入初年俸5千万ウォンを提示し、ネットマーブルもネクソンに合わせ、同じ割合で賃金を上げた。ユニコーン企業に成長したフィンテック企業のトスは離職時の年俸を最大1.5倍まで提示し、1億ウォンのストックオプションを掲げた。ある中堅ゲーム会社の関係者は「ネイバーとカカオに人材が流出するのを防ぐために、すぐさま大きな賃金引き上げを提示するしかない」とし、「賃金引き上げに加え、株式報酬まで要求する雰囲気に応じてストックオプション政策も考慮されている」とした。

ネイバーとカカオも人材食物連鎖の最上段ではない。あるIT業界の上級関係者は、「ビックテックでは開発者を連れて来て申し訳ないという言葉とともに、われわれもシリコンバレーに人材を奪われているので仕方ないという話を聞いた」とし、「在宅勤務の拡散でソウルや盆唐で働きながら、グーグルやメタ(旧フェイスブック)などのシリコンバレーのベンチャー企業にスカウトされる人材も多いと聞いた」と語った。続けて「企業が持続的に成長すれば大丈夫だが、負けた時には固定費が大きくなりすぎたのは負担になるだろう」と指摘した。

実際に証券業界ではネイバーとカカオのマージン鈍化を懸念する。シンヨン証券のソ・ジョンヨン研究員は「ネイバーはすべての事業部が均等に成長中だが、投資拡大が続いており、マージン鈍化は避けられない」とし、「今年は8兆4千億ウォンに達する売上げを期待しながらも、営業利益率は昨年の19.4%から18.9%に下がることがありうる」と展望した。同氏はカカオの営業利益率についても、今年は昨年の9.7%より低い8.8%を提示した。人件費の上昇とともに、マーケティング費用や研究開発費が増加している点が考慮されたものと見られる。昨年、ネイバーのマーケティング費用は5794億ウォンで36.1%、研究開発費は1兆6550億ウォンで24.2%増加した。
  • 毎日経済 | チン・ヨンテ記者
  • 入力 2022-03-23 08:02:39




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