ホームショッピングの完売女…キム・ドンウン

現代ホームショッピングのショーホスト、話の効果良すぎても困る 

何も考えずホームショッピングを見る時には、容易に聞こえる言葉がある。「私、最近これしか使いません」というショーホストの言葉だ。しかし、この言葉を信じる消費者は多くない。当然、その商品を売るために言う言葉だろうとみなし、チャンネルを変えてしまう。

現代ホームショッピングのキム・ドンウン(45・写真)ショーホストは、それでさらに「正直さ」で押し出ていく。「この製品を使って数日しか経ってないんですが」と堂々と話すようにだ。よりによって「ある点はあんまりだけど」と製品の短所までつねる彼女に、消費者は不思議なことに目をそむけることができない。放送10分余り後に3~4億ウォンの売上は軽く超えるキム氏に会い、秘訣について話を聞いてみた。

「消費者はみんな知ってます。ショーホストが演技をするのかそうじゃないのか。広報するブランドごとにそれだけ使うと言えば誰が信じるでしょうか(笑)。むしろ数日しか使ってないが本当に細かくあれこれ問い詰め、使用してみたという信頼を植えてあげるのが重要でしょう」。

年売上1000億ウォンを上げるキム氏は、自身の秘訣のうちのひとつとして正直さを挙げた。姉や親しい友達が使用する製品だと考えると、とうてい嘘をつけないというキム氏。彼女には、製品の短所を正直に話すもの、それ以上の長所を見せてくれるプロフェッショナルさがあった。

15分の間に完全販売(以下、完売)させた皮鞄がひとつの事例だ。

キム氏は、消費者が皮鞄に傷がつくのが嫌だと分かっているが、わざと放送中、自分の爪を利用し傷をだした。放送事故ともいえるその瞬間、傷のでた所をごしごしと擦った。まるで人の皮膚が再生されるように、たちまち本来の模様に戻ってきた鞄をおいて注文電話は殺到した。見た目だけつやつやとコーティングした皮でない、本当の質の良い皮であることが証明されたからだ。

「基本的に製品の質は保証された製品でした。フィレンチェで100年の伝統を誇り、商人がつくった製品でしたから。しかし、国内でよく知られないブランドなので心配が多かったんです。放送に入る直前までも『果たしてよく売れるだろうか』と半信半疑だったんですが...やはり正直さが武器だったということでしょう」。

キム氏はグッチ、プラダ、エトロ、バーバリー、セリーヌなど、他のホームショッピングではよく売れない名品ブランドを販売するファッション専門ショーホストとして有名だ。華やかな外貌ほどに華やかなレトリックで顧客を虜にするだろうと期待されやすい。しかし、いざとなると彼女は「話の効果が良すぎても困るのがショーホストです」と言い切った。

「製品をたくさん売ることも重要です。けれどもこれよりさらに重要なのが、まさに返品される製品数を減らさなければならないということでしょう。ショーホストの言葉に幻惑されて買ってから後悔するじゃないですか。それで結局返品して。返品率が高いと、いや、売ったことに及ばないのが事実です。放送に対する消費者の信頼自体を失ってしまいかねないですから」。

実際に現代ホームショッピングでは、完売より返品率を下げることをさらに重要に考える。返品率が高い製品は、放送時間から除外し、販売業者やホームショッピングなどの損害を最小化している。

消費者の心を盗まなければならないが、またあらわにし過ぎて盗むことができないのがショーホストの悩みだ。キム氏は、このような悩みを「生々しいストーリーテリング(storytelling)」で解き明かした。オーバーしない代わり、まるで自分の目の前で繰り広げられるかのように生々しく描写することで、消費者の心を自然に動かすようにする。

例えばこんなふうにだ。彼女は、赤色一つを説明する時も、決して赤い色という名称を使用しない。「インクに血が落ちたとき広がるその色相」、「ザクロ水が力強く広がった時、その感じ、きますか?」などカメラを超えて消費者が実際に触って見ていると感じるほどに詳細に表現する。

その時々流行するトレンドを把握することもやはり基本だ。放送する日の天気や折よく起こった社会的イシューも出してきて、製品に生命力を吹き入れる。「ある時は、私がまるでその製品を最初から開発してつくり、販売まで全てするような気分になる時があります。製品に対する感情移入が十分になったということでしょう。そんなふうに製品に対する愛情を持つ時『大ヒット』が出るんですよね」。

彼女は、製品だけでなく消費者に対する感情移入のため、百貨店販売職員を自任している。同じグループの現代百貨店売場に出て、直接消費者を対応し、彼らの疑問を解いてあげるのが代表的だ。キム氏は「最近は、生放送中にもソーシャルネットワークサービス(SNS)などを通じ、顧客とリアルタイム対話をすることができ、とてもよくなった」とし、「しかし、スタジオの外の顧客応対に対する惜しさがあり、百貨店売場に定期的に出て顧客に会っている」と話した。

今年ホームショッピング放送13年目にさしかかるキム氏は、完売女という修飾語が相変わらず慣れないとした。ショーホスト一人がうまくいって完売を達成できるのではないということをよく知っているからだ。商品企画者(MD)と放送PD、カメラ担当者などの苦労を忘れず取りまとめるキム氏は、ただ自分ができる最善の方法である正直さを追求するだけだと話した。真の意味の完売女誕生だ。
  • 毎日経済_バン・ヨンドク記者/イ・ガヒ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-01-23 08:28:41