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韓国と中国のFTA、開放の速度遅く幅は狭い…「低いレベルのFTA」に


  • 韓国と中国のFTA、開放の速度遅く幅は狭い…「低いレベルのFTA」に
  • < 韓・中両国の商品譲許結果(関税撤廃期間別の金額) >

▶ 韓・中FTA仮署名、譲歩案を見てみると

韓国と中国の両国が25日に仮署名した韓・中自由貿易協定(FTA)は、昨年11月に合意した内容を今後、紛争の素地とならないように具体化したものだ。したがって、いくつかの条件の変更以外には大きな枠組みの変化はなかった。「輸出拡大」という「攻撃」よりは「農産物市場の保護」という「守備」に重点を置いた交渉だったことから、政府の主張とは異なり「低いレベルのFTA」に仕上がった。

産業通商資源部がこの日、FTAホームページ(www.fta.go.kr)を通じて公開した韓・中FTA協定文(英語版)によると、中国は全体交易項目の90.7%である7428品目の、韓国は92.2%の1万1272品目の関税を20年以内に撤廃することにした。金額ベースでは、中国は1417億ドル規模で韓国は736億ドルだ。これは3年以内に90%以上の関税を撤廃することにした韓・米FTAや韓・EU FTAに比べ、開放の速度が遅くて幅の狭いレベルだ。産業研究院の関係者は、「両国の経済は相互関連性が高く、否定的効果に神経を使ったことから開放の速度と幅を調整することになったようだ」と語った。

▶ 石油化学は恩恵…高付加鋼は抜け落ち

最大の恩恵を見る業種としては、対中主力輸出品の鉄鋼と石油化学分野だ。鉄鋼産業の場合、韓国はほとんど無関税である一方で、中国は全体の鉄鋼製品のうちの1.2%だけが無関税品目であるだけに、FTAで韓国の鉄鋼メーカーの輸出拡大が期待される。中国は韓国の鉄鋼輸出の14%、輸入の36%を占める最大の鉄鋼貿易相手国だ。主に韓国が中国に高付加価値の鉄鋼製品を輸出して、鉄筋などの低付加価値製品を輸入する仕組みだ。

今回のFTAで中国は冷延鋼板、ステンレス熱延鋼板、厚板、熱延鋼板などを開放した。冷延鋼板とステンレス熱延鋼板は、韓国企業が中国の現地工場で素材として使用するため、関税撤廃の効果が大きいとみられる。しかし、中国が自国産業の育成を理由に、亜鉛メッキ鋼板や電磁鋼板などの高付加価値製品を開放品目から除外したことで、中途半端な成果だという指摘も出ている。対中輸出額が輸入額よりも13倍以上も多く、2013年時点で217億ドルの貿易黒字を記録した石油化学業種も、韓・中FTAが新たな飛躍のチャンスになる見通しだ。

中国はイオン交換樹脂、高吸水性樹脂、ポリウレタンなどの一部の尖端高付加価値製品と、中国国内の供給が不足しているエチレンやプロピレンなどの基礎原料が市場開放対象に含まれ、韓国企業の恩恵が予想される。

一方、中国はパラキシレン(PX)やテレフタル酸(TPA)などを譲許品目から除外したり部分削減を選んだ。中国企業が新・増設を進めている製品は、市場を保護するわけだ。韓国は中小企業の生産製品である酢酸エチルや、対中貿易収支の赤字が大きい酢酸などは譲許から除外して、国内市場を保護した。主に低付加価値の合成樹脂や合成ゴムは市場を開放し、中国製品の国内浸透が増えると予想される。

▶ Kファッション・化粧品韓流の追い風に乗って「翼」

ロッテデパートによると昨年、韓国を訪問した中国人観光客が最も多く購入した製品は、中低価格ファッション・化粧品ブランドの「スタイルナンダ(STYLE NANDA)」だった。それだけ韓国のファッションと生活用品に対する中国人の需要が大きいということだ。韓・中FTAを通じて繊維・生活用品産業の伸びが期待される理由だ。

繊維の場合、中国は化繊生地、ニット、機能性衣料品、ベビー服などを含め、ほとんどの項目を開放するが、化繊糸などは譲許から除外した。

韓国は純綿糸、織物・ニット製衣類、毛糸、綿織物などの敏感な品目を関税撤廃対象から除外して、国内で大量生産が難しいジャケットやコート、セーターなどの衣類を中心に開放した。

生活用品の場合、中国はコンタクトレンズ、キッチン用ガラス製品をはじめとする、大部分の品目を開放することにした。韓国は国内生産量が少ない品目を中心に開放するが、高級消費財は対中輸出増大のために、大部分を10年以内に開放することにした。対中輸入額が大きいハンドバッグ、ゴルフクラブなどの一部は長期的な撤廃の対象に含ませた。

▶ 「自国の自動車産業の保護」の探索でドアを閉める

FTAでの最大受恵業種として、ふつうは自動車産業が挙げられる。しかし、韓・中FTAでは自動車分野はほとんど除外された。市場開放による影響を予測しにくく、政策的レベルで自国産業を保護する必要が大きかったためだ。韓・中FTAの効果が半減した理由だ。中国は乗用車とギアボックス、ハンドル、クラッチなどの主要部品を関税撤廃の対象から除外したし、一部のバスと貨物車は長期関税撤廃(10~15年)、ショックアブソーバーなどは10年以内の関税撤廃対象に決めた。韓国は乗用車、貨物車、バンなどの完成車を関税撤廃対象から除外し、中国から輸入する主要な自動車部品の大部分を長期撤廃対象に含めた。

電気・電子の場合、中国は大型家電製品、二次電池、OLED(有機発光ダイオード)パネルなど、競争力が劣位の項目を長期撤廃または譲歩の除外対象として定めた。ただし、いまのところは韓国の競争力が優位だが、中国の供給能力が拡大しているLCDパネルは、両国ともFTA発効後9年目から関税を下げ始め、10年以内に撤廃することにした。

▶ 農畜産物の保護に重点…唐辛子など548品目を除く

農畜産は韓・中FTAで韓国が最も神経を使った分野だ。コメは韓・中FTA交渉の対象から完全に除外された。唐辛子、ニンニク、牛肉、豚肉、りんご、みかん、梨など、国内農畜産物の3分の1の水準の548品目が関税撤廃の対象から除外された。大豆、ゴマ、小豆など一部の品目は低率の割り当て関税(TRQ)対象に、キムチなどは部分関税削減の対象に定めた。

一方、中国は農産物品目のうちの91%で関税を撤廃することにした。

水産物の場合も対中輸入水産物のほとんどが超敏感品目群に含まれた。イカ、ヒラメ、イワシ、タチウオ、海苔、サバ、カニ、アワビ、チョギ(イシモチ)など、国内の20大生産品目は超敏感品目群に入った。
  • 毎日経済_キム・ギチョル記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-02-25 22:01:02




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