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[モノの哲学] エアコン、人工的なデュアルシーズン(dual season)


  • [モノの哲学] エアコン、人工的なデュアルシーズン(dual season)
自動車に乗って車内の温度計を見ると38度を指している。温度計がおかしくなったのかと思い、携帯電話で天気を調べてみると、1907年の気象観測以来の最高記録という記事が目に入る。一瞬、驚いたが、それでも安心できるのは車内に「ありがたい」モノがあるからだ。ボタンを押すと、「ス~」という音とともに涼しい風が車体から軽快にあふれ出てくる。荷物を運びながら、しばらくの間流れていた汗がすぐにさらさらと乾き始める。

地球の温度が急激に上昇しているという話はずいぶん前からされている。溶けてしまった氷河の上に浮かんで、どこかに流されているホッキョクグマのドキュメンタリー映像を見たこともある。その話が事実であることは正しいようだ。ここでも春が省略されたまま、冬から夏にすぐつながり、夏の気温が6月初めに35度を上り下りしているためだ。しかし大丈夫だ。エアコンというモノがあるからだ。

いまや都会人にとって夏とは、2つ季節「デュアルシーズン(dusal season)」だ。屋外は夏だが、室内は晩秋か初冬だ。他の季節を強制的に召喚するエアコンのおかげで、体は2つの季節という超現実的「ファンタジー」を経験する。このファンタジーの極端性はさらに強化される。ファンタジーの劇的な演出のために、このモノは、屋外にさらに強力な熱気を吐き出しているからだ。

「地球温暖化」という「科学用語」は、私たちを欺瞞させる。まるで「温暖化」が、宇宙の不可抗力的な摂理によって発生する現象であるかのように思わせる。事実、地球温暖化は室内に「寒さ」を呼び込むために、このようなモノが噴き出す巨大な「熱気」から生じた現象だ。

エントロピー(entropy)の法則というものがある。宇宙に無料はないという法則だ。宇宙において、エネルギーは新たに生まれず、エネルギーはエネルギーのごみが大きくなる方向にのみ向かうという法則だ。このモノが室内に人工的に召喚した「秋-冬」の対価は、肉を刺して燃え上がる夏だ。「人工」となるのは、室内や室外も同じだ。

しかし、厳密に言えば外気と遮断された室内を楽しむ都会人に、いまや「自然」なのは、室内の人工的な季節であって、外の夏ではない。エアコン本来の名前は、空気を自然に循環させるという意味である「エア・コンディショナー(air conditioner)」だ。しかし、実際にこのモノは、2つの季節を作るために内外の空気を完全に「分離」する。
  • 毎日経済_ハム・ドンギュン文学評論家 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-12 16:03:26




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