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モニュエルの共同代表… パク・ホンソク、ウォン・ドギョン

売上1兆ウォン、隙間家電に「韓国の愛」 

  • モニュエルの共同代表… パク・ホンソク、ウォン・ドギョン
△写真=(左)パク・ホンソク代表/1962年生まれ/ワシントン大学コンピュータ情報学科/BenQアメリカ副社長/サムスン電子米州法人営業総括理事/(株)DIGNLAB代表/2007年MONEUAL代表(現)
△写真=(右)ウォン・ドギョン副社長1971年生まれ/弘益大産業デザイン学科/(株)DIGNLAB代表/MONEUAL副社長(現)/MONEUAL ONKYO LIFESTYLE代表(現)

「エンターテイメント用PCをつくるMONEUALのような会社に注目しろ」


マイクロソフト(MS)創業者ビル・ゲイツが、去る「2007 CES」の基調演説で語った言葉だ。当時、売上560億ウォン台の中小企業だったMONEUALに注目する者は本当に多くなかった。しかし、大家の選球眼は人並みはずれていた。MONEUALはわずか7年の間に売上1兆ウォン台のグローバル総合家電業者に急成長した。

ホームシアターPC・TV・コンピューター・ロボット掃除機など多様な生活家電をつくるMONEUALは、「韓国のアップル」と呼ばれる。アップルと類似した点が多いからだ。製品の大部分をOEM(注文者商標付着生産方式)で生産し、プレミアム戦略で利益率(10%内外)が高く、隙間市場を狙ったアイディア型製品を追求し、感性的なデザインでマニア顧客が多いという点などがそうだ。毎年、世界家電博覧会(CES)で2~6個の革新賞を受賞するほどの「革新型企業」だという点もアップルと瓜二つだ。革新賞の数だけを比べてみても、サムスン・LG電子に次ぐ成績だ。

平均年齢35歳・職員230人の若い強小企業を率いる「ツートップ」は、パク・ホンソク代表(52)とウォン・ドギョン副社長(43)だ。ウォン・ドギョン副社長が2004年4月にMONEUAL(当時の「AHANIX」)を創業した後、パク代表が2005年に会社に合流しながら手を組んだ。以降、有償増資を通じてパク代表が資本の97%を確保したが、二人の役割分担は依然として明確だ。製品の技術開発はデザイナーのウォン氏が、経営全般と(主に海外)営業はパク氏が引き受ける。

パク代表は、「オーケストラの指揮者が2人いるようなものです。二人が毎日うんざりするほど争う」と冗談をいうが、業界では「幻想的なコンビ」として通用している。ウォン副社長が差別化したアイディア製品をつくると、パク代表が海外で走り回りながら売りさばくという具合だ。

パク代表は、サムスン電子の北米営業総括理事を務めたサラリーマン出身だ。サムスンに在職していた当時、一人で受注した金額が、南米支社全体のそれよりも多かったほど卓越した営業力を誇る。海外バイヤーの間で「ヘラルド(パク代表の英語ネーム)が売る製品は失敗したことがない」という話が回ったほとだ。「販売王」タイトルも6年連続で彼が占有した。MONEUALの売上のうち90%が海外で生まれるという点だけを見ても、パク代表の寄与度がどの程度なのかが分かる。

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  • < 垂直上昇するMONEUAL実績 >


ウォン・ドギョンがつくるとパク・ホンソクが売る「分業」


パク代表に対する評価は「オープンマインドの所有者」に要約される。MONEUALのオーナーになった後も、彼は付き人1人もつけずノートブック一台とパンフレット数枚だけを持って海外を飛び回る。職員には常に尊称を使い、実力さえあればサムスンでともに仕事をしていた「上司」も迎え入れた。会社名の「MONEUAL」は、パク代表の家庭的な性格をあらわしている。MONEUALは「私の」という意味のフランス語「moi」と、パク社長の二人の娘「ニュリス」「エリス」の頭文字を集めた名前だ。パク代表は最近、日本の日本経済新聞が選定した「今年注目されるアジアの代表経営者8人」にあがった。

ウォン・ドギョン副社長は内省的な性格で対外活動をほとんどおこなわず、「隠遁の経営者」と呼ばれる。製品の企画と開発能力は天才的だという評価だ。彼女が2000年代中盤、世界で初めて開発した「ホームシアターPC」は、今もMONEUALの売上のうち80%を占めている主力商品だ。ビル・ゲイツが「MONEUALに注目しろ」と語ったのも、ホームシアターPCのためだった。MONEUAL製品の競争力の源泉が、彼女の頭の中から出てきたということだ。パク代表が1年の3分の2を海外で滞在するのも、ウォン副社長に対する全幅的な信頼があるからこそ可能だという分析だ。

二人のシナジーのおかげでMONEUALは売上が毎年垂直上昇している。2008年に739億ウォンだった売上は、2012年に8251億ウォンと10倍以上大きくなった。同じ期間の営業利益も100億ウォンから860億ウォンへ跳ね上がった。営業利益率10%内外は製造業者の中ではめずらしく高い数値だ。まだ集計中の昨年の売上は、「夢の数字」の1兆ウォンを越えると確信されている。

MONEUALは、海外売上の割合が90%に達する「輸出企業」だ。とくに、ホームシアターPCは米国だけで5000億ウォン以上売れるほど人気が高い。リビングの真ん中に置かれるエンターテイメントPCが、米国特有の家族中心の文化にうまく合致したという分析だ。MONEUALはまた、中国・日本・ドイツなどに支社を置き、40か国余りに製品を輸出する。今年はロシア・インドネシア・ブラジルなどの新興国へ活動の舞台を広げる計画だ。

MONEUALの「輸出DNA」は、これまでCESに着実に単独ブースを出し好評を受けているところで推し量ることができる。MONEUALがCESに初めて参席し、ビル・ゲイツの激賞を受けたのはわずか創立3年後のことだった。以降、2008年からCESにこつこつと参加し、「革新賞」受賞の行進を続けていった。とくに今年は、CESの主要展示場の「セントラルホール」に初めて511㎡(155坪)の大型単独ブースを出し入城した。サムスン電子とわずか20坪しか差がない規模だった。「セントラルホールは、ブース費を多く出したからといって入れるものではない。CES革新賞受賞の実績など会社の信頼度と評判が積もらなければならない。バイヤーと参観客の行き来が絶えなかった」というのがMONEUAL関係者の説明だ。

ただし、国内では依然として認知度が低い方だ。去る2011年末、「半額TV」で名を知らせたことはある。「太っ腹TV」という名前でロッテマートで売れたこの製品は、準備した物量2000台が2時間後に品切れになるほど「大ヒット」を打った。しかし、プレミアムブランドの戦略を追求するMONEUALとしては、安いイメージとして刻印されることを憂慮し、大々的に広報しにくい事例だ。かわりにロボット空気清浄機・美容保湿機・製パン機など、国内の消費者をとりこにするだけの隙間市場製品の開発に拍車をかけている。ほこり感知センサーと水ぞうきんがついたロボット掃除機・タッチスクリーンとPCが内臓され、座っている席で注文・決済のできるタッチテーブルPC・植木に水をやる時期を知らせてくれる植物管理機などは、すべてCESで革新賞を受賞したアイディア製品だ。

最近では、創立10周年を迎え、アーティスト4人がデザインした一体型PCを400台限定数量でつくった。180万ウォンという高価にもかかわらず100台余りが事前予約で売れ、業界でも話題になった。

子会社も2社設立し、それなりに「グループ会社」になった。2011年7月に買収したPC周辺機器専門企業「ジャルマンテック」と、昨年4月に設立した日本3大オーディオ家電企業「ONKYO」との合作法人「MONEUAL ONKYO LIFESTYLE」(MOL社)だ。

ジャルマンテックは、コンピューターPCが作動する時、CPU熱気を冷ます「クーラー(Cooler)」で売上の70%を収める。騒音が少なく冷却効果が優れ、一般のクーラー製品(5000~1万ウォン)より価格を10倍以上受けるだけに、プレミアムを認定されている。2012年に1080億ウォンの売上をあげた。ONKYOは、アンプ・スピーカー・ヘッドフォン・イヤフォンなどのハイエンド級オーディオ製品を販売する会社。昨年10月、清譚洞に複合売場「Casadel sonido」をオープンし、第一歩を踏み出した。国内で初めて名品音響機器市場でリース(レンタル)制度を導入し、実利型の消費者を掴むという計画だ。

MOL社の代表を務めているウォン副社長は、「高くて近寄れなかった高級音響機器を安い価格で家庭・法人などで使用できるようにする」とし、「音響機器市場でも"マステージ(実利型名品)"の消費者層を発掘する」と抱負を明らかにした。

MONEUALは、来る上半期に本社を済州島に移転する予定だ。職員の60%に達する研究開発人材の感性を高めるためだ。MONEUALがどれだけ製品開発に力を入れているのかが分かる要素だ。500億ウォンをかけて済州島に先端技術団地のJDCに建てた総面積2万2534㎡(約6820坪)規模の社屋工事が、現在仕上げ段階だ。迅速な意思決定のため、上場は当分の間計画にない。

パク・ホンソク代表は、「日本と張り合えるだけの家電大国の韓国で、規模でない質で輝く中堅企業として存在感を高めている。今年の売上の70%以上を米国と中国からもたらす計画」だと語った。MONEUALの過去より、未来がさらに気になる理由だ。
  • 毎経エコノミー_ノ・スンウク記者/イラスト:キム・ミンジ
  • 入力 2014-03-10 10:21:10




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