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統一されれば南韓の不動産も大当り、統一後の不動産シナリオ


  • 統一されれば南韓の不動産も大当り、統一後の不動産シナリオ
  • 京畿道の西北部地域は統一の最大受益地に選ばれた。写真は京畿道坡州(パヂュ)の臨津閣から見た民間人統制線の様子。

「統一=大型好材料?」
韓半島が統一なれば、住宅価格はどうなるか?毎経エコノミーが不動産の専門家20人を対象に、統一が住宅価格に与える影響を調査した結果、専門家ごとに意見が異なった。1年以内の住宅価格上昇を予測する専門家らも、上げ幅については差異を見せた。住宅価格に変動が無いとか、むしろ下落するだろうという専門家もいた。ある専門家は予測不可能という答えを出した。「統一は経済・社会全般の分野の急変で、多様な変数がどのように市場に影響を与えるのか、事実上予想することは難しい」(キム・ヂェオンKDB大宇証券不動産チーム長)。

投資家の立場からは、どのリズムに合わせてダンスを踊るべきか悩ましい。あわただしく統一がなされたときに備え、短期(1年以内)の住宅価格上昇・下落に伴うシナリオを考えてみた。

1. 住宅価格の上昇シナリオ

北韓住民の南韓(韓国)移住→住宅の供給不足→住宅価格上昇

不動産の専門家13人は住宅価格の上昇を予測した。そのうちの専門家6人は、10パーセント以上急増すると見た。朴合秀(パク・ハプス)KB国民銀行不動産チーム長は、「統一されれば北韓の開発需要よりも、北韓住民の流入による南韓の住宅需要の発生がより大きなイシューだ。住宅は短期間内に供給することは難しく、2~3年のあいだ住宅価格が大幅に上昇し得る」と見通した。

韓国建設産業研究院のトゥ・ソンギュ研究委員は、住宅価格の暴騰(10パーセント以上の上昇)理由を大きく2つに要約した。

1つめに、住宅市場の経済外的変数のうちのひとつである、北韓からの脅威が消えるという点だ。北韓リスクが無くなると地政学的な不安が消えて、核心地域を中心に、抑えられていた住宅価格も上がるという論理だ。2つめに、北韓の崩壊後、相当数の北韓住民が南韓地域に移住して、需要対比での住宅不足が深化するだろうという点だ。需給の不均衡は北韓地域の住宅基盤が拡充されるまで持続する可能性が大きいため、当分のあいだ南韓の不動産市場は「ホット」な可能性が高い。

住宅価格が5~10パーセントほど上がると答えた専門家は4人。彼らは莫大な統一費用などによって住宅価格は過度に上昇しえないが、統一が好材料として作用しつつ住宅価格は上がるだろうと予測する。建国大学不動産学科のシム・ギョオン教授は、「すぐさま北韓で社会間接資本(SOC)施設と経済特区が並行して開発されるだろうが、相対的に基盤施設のよく整った南韓の不動産が人気を呼ぶしかない」と語った。靈山大学不動産金融学科のソ・ヂョンヨル教授も、「統一初期には通行が制限されるだろうが、自由通行と住居移転が限定的に可能な場合は移住者が増えつつ、住宅価格を押し上げるだろう」と説明した。

韓国創業不動産情報院のクォン・ガンス代表は、「住宅価格が上がるだろうが、上げ幅は5パーセント以内だろう」と見込んでいる。

「統一後、北韓の土地取引が許可されると投資需要が集中し、北韓の土地価格は1年以内に2倍以上あがるだろう。一方、南韓の土地は相対的に疎外され、住宅価格も小幅上昇勢を続けるところに終わるだろう」。

2. 住宅価格下落のシナリオ

莫大な統一費用→経済萎縮→住宅価格下落

統一後の住宅価格は落ちるという主張を広げる者もかなりある。専門家20人のうち5人が住宅価格の下落を予想した。なかには1年以内に住宅価格が10パーセント以上急落すると見る専門家もいる。とつぜん北韓政権が崩壊すると、莫大な統一費用が発生し、南韓経済が萎縮するだろうという展望だ。

漢陽サイバー大学不動産学科のヤン・ヂェモ教授は、「北韓経済を再建するところにかかる統一費用は4000兆ウォンに達するだろうことが分かった。韓半島の統一を好材料ではなく、リスクと見るわけだ。景気沈滞による不動産市場の萎縮で、当分のあいだ住宅価格が下がるだろう」と見通した。

南韓の不動産価格が北韓よりもはるかに高く、投資誘因が低下するという憂慮も出ている。北韓住民が基盤施設のより整ったソウルと主要大都市に集中する可能性が高い一方で、地方の外郭地域は人気を集めるのが難しいという見通しだ。

キム・シンヂョ内外住建代表は、「統一後の混乱する状況を収拾する過程で、政府が無分別な人口移動を統制すれば、南韓の住宅価格は特に恩恵を得られないだろう」とし、「多様な不動産規制政策があふれ出した場合、むしろ5パーセントほど住宅価格が下落する憂慮が大きい」と語った。

住宅価格には別に大きな変化はないだろうという主張も出ている。エフアールインベストメントのアン・ミンソク研究員は、「北韓住民の南韓移住が本格的に進行すると、住宅需要が増えるだろう。しかし、一部の産業と行政機能は北韓側に移り、関連人材の移動が不可避で、けっきょく住宅価格に与える影響は大きくないだろう」と予測した。

しかし、このような短期の住宅価格の下落を予測した専門家の大部分は、「長期的に混乱が整理されれば、住宅価格は緩やかな上昇に転じるだろう」という但し書きを付けた。

3. 統一前後の投資戦略は

北韓に接する地域の道路面の土地が有望

専門家らは統一後の注目すべき地域として、京畿道と江原道をあげる。特に京畿道が圧倒的だ。

複数応答を含む結果、専門家らの大多数が京畿道を推薦した。都市別では、坡州(パヂュ)・高陽(コヤン)・金浦・漣川(ヨンチョン)などが投資有望地として挙げられた。特に坡州を挙げる専門家が大多数だ。坡州はこれまで「軍事都市」のイメージが強く、雲井(ウンヂョン)新都市や橋下(キョハ)宅地開発地区の開発にも不動産価格は沈黙したが、今後統一されれば地政学的位置が浮き彫りになるだろうという展望だ。シム・ギョオン教授は、「パヂュは新義州(シニヂュ)からピョンヤン・ケソンを経て、ソウルに向かう京義軸の中心になる可能性が高い。また、統一後の非武装地帯(DMZ)の開発が可視化すれば、最も大きな恩恵を受けるだろう」と語った。

商品別ではアパートよりも、土地を推奨する専門家が大多数だ。ドクターアパートのクォン・イル チーム長は、「統一が具体化すればするほど京畿道の西北部地域など、北韓に隣接する地域の土地価格が上昇するだろう。道路面や京義線鉄道駅の近隣土地に注目する必要がある。半端な土地でも小額で購入しておけば良い」とした。「既に好材料に乗って価格が急騰した土地が多く、早期に買っておくべきで、できないならば余裕資金を持って市場を見守るのも方法」だと付け加えた。

現金を確保しておいて、統一が迫っているか、実際に統一なされたときに投資に乗り出せという助言も降り注ぐ。専門家20人のうち9人が、統一前は現金を確保するのが重要だと語る。クォン・ガンス代表は、「南韓の流動資金が北韓の土地投資に集中すると、相対的に南韓の林野価値が下落するかもしれない。開発可能性が低下する土地は事前に処分して、投資資金を確保する必要がある」と語った。

江原と京畿道北部が有望だが、だからといって該当地域の土地を鷲づかみに買い付けるのは禁物だ。北韓との接境地帯を中心に急売物を改めてみて、道路へのアクセスが容易か、工場や商業施設など、どんな用途で開発されるのかを確かめてみるのが順序だ。キム・ジェオン チーム長は、「北韓で産業団地の開発が活性化すると、相対的に南韓の開発活力は低下するしかない。開発需要の減少で土地市場には否定的な影響を与えることがあり、北韓との接境地に限定して投資物件を選ぶべきだ」と説明した。

これと合わせて、北韓住民に賃貸できるオフィステル・商店街などの収益型不動産に投資しろという者もあった。北韓住民に賃借した場合は期待したほどの高い家賃を得ることは難しいので、賃貸収益率を最大限保守的に設定しなければならない。

専門家らは「統一=テバク(大当り)」という幻想に捕らわれて、「どこでも投資」に乗り出すと困ることになるだろうと呼びかけた。コ・ヂョンワン韓国資産管理研究院長は、「統一後、新しい首都がどこに造成されるのか、北韓人口の移動方向がどのようになるのか、貨幣改革が成功するかどうかによって、初期の統一韓国の経済状況が変わるしかない。すべての変数を考慮した後、投資に乗り出しても遅くない」と語った。

4. 北韓に投資する際に留意する点

所有権の問題を解決した後、投資しなければ

統一されればあえて南韓の不動産だけに投資する必要はない。まんいち、北韓に投資する場合はどの地域が有望だろうか。

今回のアンケートでは中国と対面している新義州(シニヂュ)を選択しろという専門家(10人)が最も多かった。その次としては開城(ケソン)とピョンヤン(各7人)の順だ。ケソンは産業団地が位置しており、ピョンヤンは北韓の首都という点が浮き彫りになったと思われる。コ・ヂョンワン院長は、「ピョンヤンをはじめ、シニヂュやケソンなど、大規模開発の可能性が高い地域に生産可能人口が移動するだろう。開発プロジェクトが降り注ぐ北韓地域の土地に注目する必要がある」と主張した。

北韓地域に投資しようとするには、法的な問題から解決されなければならない。まず、土地の所有権問題だ。北韓地域の土地のもとの所有者は、大部分が南韓に居住することが知られている。北韓で土地改革を行う時、地主らが大挙して南韓に下って来たからだ。いったん統一されれば北韓は収復地区になる。去る1950年の韓国戦争以後、鉄原(チョロン)一帯を収復したときは、もとの所有者に返したことがある。

東ドイツでももとの所有者に土地を返したが、この過程で膨大な訴訟が発生した。韓半島でもこのようなことが起らないなという保証はない。解放前の土地書類を持っていれば、誰でも所有権を主張できるからだ。トゥ・ソンギュ委員は、「北韓地域の場合、所有権の帰属をめぐる葛藤と法的論議が大きくなる可能性が大きい。一定期間は所有権を認めず、使用権のみを付与する臨時措置が取られるかもしれないことに留意しなければならない」と語った。

また、互いに異なる経済体制のせいで、多様な紛争が発生しうることも念頭に置かなければならない。シム・ギョオン教授は「統一の好材料に浮かれて、初期に北韓に直接投資するのはリスクが大きい。SOC投資などの公共開発計画がどのように進められるのかを念頭に置いて投資するのが有利だ」と語った。

ヤン・ジェモ教授の意見も同じような脈絡だ。ヤン教授は「統一後の北韓に対する一般人の投資は、相当の期間統制される可能性が大きい。北韓不動産の購入が許容されるとしても、確実な開発好材料があるところでなければ、土地への投資は慎重になる必要がある」と主張した。
  • 毎経エコノミー_キム・ホンジュ記者、チョン・ダウン記者
  • 入力 2014-04-11 18:22:37




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