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最悪の「受注干ばつ」…現代重工業、一部のドック稼働を中断

崖っぷちの造船業…現代重工、史上初の「ドック稼働中断」決定 

  • 最悪の「受注干ばつ」…現代重工業、一部のドック稼働を中断
△写真=一時は4~5隻の船が同時に建造されたが、いまでは3分の2が空いている世界最大規模の現代重工業3ドック(蔚山東区)の景色。 [蔚山=ソ・デヒョン記者]

最悪の「受注干ばつ」に苦しんでいる現代重工業は、効率の落ちるいくつかのドックの稼働を中断するという方針を決めた。造船所の心臓ともいえるドックの稼動を中断することは史上初のことだ。

現代重工業は9日に発表した「作業量不足に備えた競争力強化計画」で、「受注不振が長期化した場合に備えて、船舶建造の効率が落ちるドックから順次暫定的に稼働中断に入るつもり」だと明らかにした。世界最大の造船会社である現代重工業がこのような決定を下したのは、造船業不況が相当期間続くとの見通しに基盤したものであることから、造船業の構造調整の行方に関心が集まっている。

現代重工業は蔚山の海洋工場を除いて、蔚山造船所の9ヶ所と群山(クンサン)造船所1ヶ所の計10ヶ所のドックを持っている。現代三湖(サモ)重工業は木浦に3つの、現代尾浦(ミポ)造船は蔚山に4つのドックを運営している。

造船業界ではドックの稼働中断の対象地として、仕事量の枯渇が目前に迫った群山造船所が有力視されている。蔚山造船所は約2年分の仕事量を持っているが、群山造船所は状況が異なる。群山造船所で建造または建造予定の船舶は総13隻で、年内ですべての建造が終わる予定であることが分かった。

▶ 6年めに訪れた悲劇

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  • < 減る世界の造船・海洋プラント発注規模 >

現代重工業の群山造船所は、稼動を始めてからわずか6年にしかならない新生造船所だ。超好況期を過ぎる頃に誕生し、造船景気が墜落するやいなやまず最初に構造調整の台風を迎えることになった。この造船所は崔吉善(チェ・ギルソン)現代重工業会長が現代重工業社長だった時代に主に建設された。

全羅北道群山出身のチェ・ギルソン会長が故郷に建設した造船所で、チェ会長は愛着を持っていると伝えられた。蔚山造船所から仕事を一部移転して延命できるだろうが、追加受注がなければ人為的な生存延長に過ぎないという指摘がなされている。

現代三湖重工業と現代尾浦造船のいくつかのドックと、現代重工業蔚山造船所の海洋プラント関連ドックも一部稼働が中断される可能性が提起されている。ドック運営の中断は大量失業に直結する。群山造船所に勤務する従業員は協力社を含めて5000人を超えたが、最近は3700人に減少した状態だ。協力社をはじめとして、雇用者は減り続けざるを得ない。

世界の造船・プラントの発注量は2013年に1325億ドルを記録したが、昨年は701億ドルに落ち込んだ状態だ。今年の発注額は544億ドル規模だが、実際の発注はさらに減少するだろうという暗鬱な展望が出ている。受注干ばつが持続する時は、大宇造船海洋やサムスン重工業もドック運営の中断を検討することになる見込みだ。

▶ 重要資産の売却は消極的

政府は現代重工業の主債権銀行であるKEBハナ銀行に、債権団の共同管理に準ずる管理を注文したが、根本的な業況改善がなければ突破口を見つけることは難しい状況だ。現代重工業側は、早ければ今週にもハナ銀行側に自力救済案を提出する予定だ。現代重工業が保有している蔚山アパートの商店街なども売却する方針だ。

しかし最も重要な資産である現代オイルバンクの上場を通じた流動性確保に対しては、会社側は微温的な態度を見せている。

現代重工業の関係者は、「現代オイルバンクの上場は引き続き検討しているが、証券市場の状況を考慮すると時期尚早との判断だ」と語った。 KEBハナ銀行の関係者は、「現代重工業が提出した自力救済案に人員削減と資産売却は含まれると聞いている」とし、「部門分社をはじめとする、ほかの追加計画については現代重工業の回答を待っている状況だ」とした。

一部では現代重工業の造船事業と関連のない電気電子システム事業部・建設機械事業部の分社説が提起されたが、会社側は否定している。変圧器や高圧遮断器などを生産する電気電子事業部は昨年、2兆5073億ウォンの売上げを達成した。現代重工業側は当該の事業部の分社を全く考慮していないと明らかにした。

サムスン重工業は早ければ今週、遅くとも来週中に人員削減と組織効率化、資産の売却をはじめとする自力救済案を主債権銀行である産業銀行に提出する予定だ。

サムスン重工業は、比較的具体的なリストラ計画を持っている現代重工業や大宇造船海洋とは異なり、人材のリストラには消極的という評価を受けている。事業報告書によると、現代重工業と大宇造船海洋は昨年末の時点で従業員の数が前年比で減少したが、サムスン重工業は1万3788人から1万3974人に増えた。

昨年は1300人を削減した現代重工業は9日から、昨年に続いて希望退職の申請を受け付けるなど、3000人余りを削減することが分かった。大宇造船は年間700~800人ずつ削減して、2019年までに3000人を削減する予定だ。サムスン重工業の関係者は、「一時的な大規模な希望退職よりも、常時希望退職制度を運営中だ」と明らかにした。

▶ 進捗のない数千億台の資産売却

サムスン重工業は最近、海外のいくつかの支店を閉鎖したことが確認された。マレーシアのクアラルンプール支店、ブラジルのリオデジャネイロ支店を撤収して、海外支社は10ヶ所から8ヶ所に減少した。これらの支社を閉鎖したことは海洋プラント事業の縮小と無関係でないことが分かった。サムスン重工業は巨済サムスンホテルの売却に乗り出し、有価証券を含む2200億ウォン規模の資産を売却する予定だが、まだ可視化されたものはない。

大宇造船海洋は、どちらかというと進まなかった不動産の売却に速度を加える計画だ。ソウル本社や堂山洞の社屋などを売却し、2000億ウォン以上を調達する計画だ。中国の山東造船所は現実的な価格を提示されたならば51%の株式を手放す計画も持っているが、まだ具体化したことはない。

造船業界と債権団の一部では、今後1~2年が節目になるために縮小志向的な構造調整は能事ではないとの指摘も出ている。債権団の関係者は、「世界造船業界の再編過程は造船業の構造調整に欠かせない変数」だとし、「中国とのチキンゲーム状況で造船会社の構造調整を無理に推進することもまた負担だろうし、債権団も悩みが深い」とした。
  • 毎日経済_パク・ヨンボム記者/キム・ヒョソン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-05-10 08:06:12




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