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割引イベントにだけサイフを開く消費者

割引幅の大きいオンラインモールに押し寄せる「Sale Seeker」全盛時代 

  • 割引イベントにだけサイフを開く消費者
京畿道盆唐(プンダン)に住む主婦キム・ジンヒさん(41)は先月の旧正月以後、10日間、大型マートを訪問しなかった。旧正月直前にギフトセットをはじめとする各種生活必需品を大量に安く買ったからだ。そうするうちに、去る12日、ある大型マートの在庫処分行事の時、再び生活必需品のショッピングに乗り出した。衣類や雑貨も均一価格で売るので、もののついでに夫と子供の下着までこの機会に一気に変えた。

キムさんは「このころ大型マートの在庫処分行事が多く、その機会を最大限に活用している」とし、「景気が良くなったと言うが、私たちのような庶民の体感ではまだ冷たい」と語った。

▶ デパートのセールスイベント時だけのイベント特需

不動産景気がうごめいているが、借金にあえぐ家計が増え、体感景気は依然として寒い。これに、消費者の中には割引イベントにのみ集中する「セール・シーカー(Sale Seeker)」が急速に増えている。

デパートは今年に入っていったん伸びを続けていくように見える。1月から今月中旬まで、ロッテ・現代・新世界の各デパートの売上は、前年同期よりそれぞれ7.5%と6.8%、6.3%ずつ上昇した。その直前の昨年12月(2.1~4.8%)よりも最高で3倍以上跳ね上がったわけだ。しかしその内幕を見てみると、例年より早く訪れた旧正月と、過去最大の物量を披露したブランドフェアで享受した側面が強い。

今月初めに開かれたデパートの海外ブランド品フェアは最高割引率70%をうち出した。現代デパートは昨年のイベントよりも80%も売上が増えた。一方、イベントと関係のない既存商品は、販売不振から抜け出せずにいる。イ・デチュン現代デパート・マーケティングチーム長は、「デパートで売り上げボリュームが最も大きい女性服は今年に入って2%台の小幅伸びにとどまった」とし、「本格的な景気回復傾向に転換したと見るのは難しい」と説明した。

消費者の金離れが例年に比べて良くなり、デパート消費全般が活気を得たのではなく、大きな割引幅を掲げたイベントにのみ顧客が殺到しているという意味だ。このような現象は、昨年から繰り返されている。昨年8月の主要百貨店3社は合計1000億ウォン分の物量を安価に放出した海外ブランド品フェアの時、ロッテ・現代各デパートの売上伸び率はそれぞれ12.2%と11.2%で、通年で最初の二桁を記録した。

しかしその後、特別な行事がなかった9月にはすぐさま実績が落ち込んだが、時ならぬ寒さに合わせてアウトドア・雑貨など、防寒用品を最大70%安く出した11月には、パディングの売上高が前年より2倍以上増えた。12月には売上高が再び落ち込むなどの「W型」の売上げの伸びは、昨年下半期のあいだずっと続いた。昨年の消費者物価上昇率(1.3%)を勘案すると、実質的にゼロ成長にとどまったわけだ。

これは毎月前年対比で二桁の売上成長を続けた過去の姿とは異なる。2011年に主要デパートは、1月だけで24~29%ずつ売上が跳ね上がったのを皮切りに、1年を通して10%の中・後半台の強固な伸びを続けている。定期セールの実績増加率も20%に迫った。

あるデパート関係者は、「今年のデパートの売上高が増えたのは、最近、顧客が集まるアウトレットの売上が含まれたから」とし、「純粋に既存の百貨店だけでみれば、事実上は昨年よりもマイナス成長にとどまるだろう」と吐露した。

最近、ロッテ・現代など各デパートが予備夫婦のための婚礼イベントを宣言し、新世界百貨店がワニ皮ハンドバッグフェアを業界で初めて企画するなど、デパート業界は再びオフイベントを通じ、イベント特需を狙っている。

大型マートの場合、旧正月の影響が消費不振につながっている。Eマートの今年1月から今月13日までの売上は、前年同期対比で1.7%減少した。1月には旧正月のギフトセット販売が好調で、売上が25%近く増えたが、連休が終わった後は急激に減少し、2月にはマイナス26.7%の伸び率を記録した。ロッテマートやホームプラスも、今年の1月から最近まで集計した売上は、昨年よりも3~3.5%ほど減ったと現れた。

Eマートの関係者は、「最近、売り場での均一価格やイベント商品を探す客が引きもきらないことを見ては、まだ消費者はサイフをぱっと開いていないようだ」と語った。

▶「近隣消費」コンビニエンスストアもそのまま

消費回復が社会全般に広がっていないのは、「近隣消費」の代表格であるコンビニエンスストアの売上が、今年に入って足踏みしているという事実にもよく表れている。1月から最近まで、コンビニCUの既存店の売上は前年より4.5%上がったことを含め、GS25(2.1%)とセブンイレブン(2.5%)も弱い成長勢にとどまった。これらも物価上昇率を勘案すると、実質的には停滞状況だ。

一方、独身世帯が増えて価格比較の購買パターンが普遍化し、オンライン・モバイル通販部門では、消費者の「手」は減っていない。商品価格がおおむねオフライン売り場よりも安いうえに、配送の利便性まで備えており、生活必需品もオンラインで購入する消費者が多い。オープンマーケット「11番街」が今年1月から今月16日までに集計した取引額は、前年同期より21%ほど増えた。何よりもこの期間に歯ブラシ・洗剤・トイレットペーパー・ミネラルウォーターなど、生活必需品の売上高は前年より40%上昇し、全体伸び率の2倍を記録した。

このように、流通チャネル別で食い違う実績に対し、オ・セジョ延世大経営学科教授は、「オンラインショッピングの伸びは、けっきょくは大型マートや在来市場の売上低下に伴うバブル効果」と説明した。
  • 毎日経済_キム・ジュヨン記者/ソ・ジヌ記者/キム・テソン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-02-18 17:01:03




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