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同じ物、異なる感じ「商品差別化」

チャネル間シナジー効果を得ることのできる戦略 

  • 同じ物、異なる感じ「商品差別化」
#1 国内で人気のA浄水器会社は、主に販売員を通じて浄水器を市場に出し売っていた。販売員は継続して増やして管理するところに限界を感じたA社は、インターネットを通じた直接販売方式を検討し始めた。しかし、販売員が自分の領域を犯されることに対して強い反発を見せた。また浄水器販売後の管理など、深刻な問題が発生することを考慮した経営陣は、けっきょく苦悶に陥り始めた。A社はインターネット販売を開始するべきだろうか。もしそうであれば浄水器の管理問題、既存の販売員との葛藤はどう解決すれべきだろうか。

#2 主に町内のスーパーマーケットや割引店を通して粉ミルクを販売していたB社は、最近受けとった資料を見てあっと驚いてしまった。「オークション」や「Gマーケット」「11番街」などのオープンマーケットで販売されている粉ミルクの販売量が全体売上の30%を超えていた。インターネットで販売中の大部分の粉ミルクは、大型割引店のセール期間中に個人業者が購入し販売したものと明らかになった。B社はインターネットの個人業者をどのように扱わないといけないだろうか。価格を割引価格で続けて維持販売し、市場価格をかく乱させている彼らをどのように打破できるだろうか。

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最近になってオンライン売上が全体売上に占める比重が大きくなるにつれ、多くの企業がオンラインを重要な販売または顧客との疎通チャネルとして認識し始めた。しかしオンラインチャネルは、既存のチャネルと色々な面で異なる点が多い。単純に既存の販売チャネルにオンラインを加えると、考えることもできなかった多くの問題点に直面することになる。A浄水器会社とB粉ミルク会社が苦悶に陥った理由でもある。

しかし、企業は否応なしにオンラインチャネル、さらにモバイルチャネルを既存のチャネル上に加えるしかないケースが発生している。これによって既存チャネルの葛藤を解決し、チャネル間のシナジー効果を創出し、どの商品をどれくらいの価格で、どのチャネルに持って行くのかを決定しなければならない状況になった。

実際に、このような状況を賢く解決していった会社も多い。 例えば米国の多くの衣類業者は、オンライン販売チャネルが生まれた初期にはオンラインと既存の代理店間の葛藤、価格政策の混線などの問題を味わったが、多くの試行錯誤の末に代理店とオンライン商品の見えない差別化戦略を導入し、成功した。

しかし、チャネルの変化というものは単純な問題ではない。会社が大きな混乱を経験する場合も多い。IBMはチャネル政策を変えるため全体販売政策、すなわち販売地域割当と販売組織に関する補償と評価問題、これに伴う在庫問題など、全てのイシューを一度に処理しなければならなかった。この渦中で組織変化がうまくなされず、一時は危機まで行ったこともある。既存の販売方式ではコンピュータ販売量あたりの手当が最も重要な補償方法だった。

しかし、大型コンピュータから個人用PCに商品が変わったことにより、販売員の能力に依存する既存のコンピュータ販売方式を変えなければならなかった。これは組織改編の問題につながり、当時多くのIBM組織と戦略に巨大な混乱を招いた。

インターネットでは商品を、企業が直接または異なる中間商人を通して売られるが、チャネル間の葛藤を最小化するため最も多く使用する方法が「商品差別化」と「市場差別化」戦略だ。

商品差別化戦略は言葉どおりインターネットとオフラインで売る商品をそれぞれ別にすることで、チャネル葛藤を減らす方法だ。米国の有名ワイン生産業者ケンダルアンドジャクソン(Kendall&Jackson)は、一般のワインは既存の代理店で、珍しいワインはインターネットで販売する戦略を選び、既存ワインの代理店と葛藤を味わうことなく、インターネットチャネルを構築することができた。

現在も多くの企業がインターネットで売る商品と、異なるチャネルで売る商品を少しだけ別にし、他の商品コードを付けて出す場合が多い。しかしこれは、全体的なチャネル戦略というよりは企業管理の側面が強い。

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2番めの戦略は、市場を細分し、市場によって異なるチャネルを通して出す戦略だ。インターネットチャネルと既存チャネルの調和を通じ、全体的な販売網でシナジー効果を創出しようという戦略だ。これを通じて米国衣類業界は、インターネットチャネルと既存チャネル間のシナジー効果を作り出すことに成功した。本来、米国衣類業界は主に百貨店などの代理店販売網を持っていた。若干のチャネル葛藤にも成功的にインターネットチャネルを構築し、オンラインでも衣類を販売し始めた。しかし、インターネット売上が既存オフライン売上を蚕食する「カニバリゼーション」問題が発生し、これによって新しいチャネル戦略を考えなければならなかった。

米国衣類業界が考え出したモデルはこうだ。衣類産業は流行と季節に敏感な産業だ。米国衣類業界は先に販売される製品を、既存オフライン店舗で販売した。

この時、短期間別に商品別全国売上を集計し、市場で反応が直ちに来ない商品は、できるだけ早くオンライン販売に移した。オンライン顧客は旬の服をオフラインより割引された価格で購入できて満足するようになった。結果的に、衣類会社は主要販売網であるオフライン売場の製品回転率を画期的に高めるだけでなく、あまりよく売れず、今後低価格でダンピング販売をしなければならないかもしれない商品を、オンラインを通じ少し安い価格で販売することができた。

在庫処理費用にともなうリスクを減らしたわけだ。

このように、企業はインターネットチャネルを、既存のオフライン販売チャネルに単純に追加していた戦略から、チャネル間シナジー効果を得られる戦略に対して苦心している。米国電子製品販売企業は顧客がオンラインで商品を購入した後、オフライン売場で物を受け取るようにしたり、自動車会社では新しい色の車両をオンラインだけで販売し、少ない費用で市場性をテストする方式でシナジー創出戦略を追求している。
  • 毎日経済_イ・ジュンギ ヨンセ大学情報大学院教授 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2013-03-22 12:00:00




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