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韓国は高齢者の貧困率と雇用率が同時に最上位圏の「奇妙な」国

博士もCEO出身も…高齢者は警備・清掃しかやることがない 

  • 韓国は高齢者の貧困率と雇用率が同時に最上位圏の「奇妙な」国
  • < 29日、ソウル老人福祉会館就業訓練センターでひとりの高齢者が求職票を作成している >

ブレクジット(英国のEU離脱)のもう一つの裏面は、高齢化した英国内の「世代間戦争」だ。昨年を基準にして65歳以上の人口の割合が韓国(12.9%)よりも高い英国(18%)で、数的優位を占めた高齢者は大英帝国の郷愁にひたり、移民反対などを叫んで歴史の流れを変えた。若い世代は「われわれの未来を高齢者が決定した」と激しく反発している。英国の現在の姿は韓国にとっても遠くない未来だ。

高齢化の危機を控えて、毎日経済メディアグループと保健福祉部、韓国経営者総協会は4月、高齢者問題の打開のために「100歳時代の新成長動力キャンペーン」を実施することで手を組んだ。老後の準備と年金所得が不足している現実で、解決策は最終的に良質の「高齢者雇用」の確保だ。このとから毎日経済新聞は企画シリーズを駆使し、高齢化解決策としてあげられる「高齢者雇用」をめぐる多様な問題を探って解決策を提示する。

3年前に中堅企業の管理職を引退したパクさん(仮名、65)は、退職後の暮らし向きが大きく苦しくなった。工学博士出身で工場設備管理の分野での専門知識を積み重ね、再就職が可能と思ったが、「低い生産性」を理由に高齢者を雇用しようとする企業はなかった。劣悪な給与の警備や清掃がパクさんの年齢層に対する求人のほとんどであり、資材・倉庫管理員がそれでもまだレベルの高い職場だった。パクさんは「なんとか古紙を集めなくてもすむから」と自らを慰めた。

韓国は高齢者の貧困率と雇用率が同時に最上位圏の「奇妙な」国だ。

2014年を基準に、韓国の高齢者貧困率は47.2%でOECD加盟国の中で最も高い。しかし、逆説的に65歳以上の高齢者の雇用率も31.3%で、OECD 2位に上がっている。 OECDの平均13.4%を優に超えている。 75歳以上に基準を上げると、働く老人の割合は19.2%でOECDで最も高い。 OECD平均(4.8%)の4倍に達する。

今でも高齢者の雇用率が高いが、「働きたい」という高齢者の割合はさらに高い。 2014年を基準に65歳以上の高齢層の労働を希望する割合は34.7%で、218万人が労働の意思を示した。老後を支える年金所得や老後の所得をまかせられる水準の「まともな」仕事が不足しているためだ。

実際に福祉部の高齢者実態調査によると、働く高齢者の10人中8人(79.3%)は「生活費を用意するために」仕事をするとした。

韓国老人人材開発院のチ・ウンジョン副研究委員は、「1次的には年金収入をはじめとする老後の所得保障策が先進国に比べてかなり不足している」とし、「それにもかかわらず労働の能力と意思のある高齢者のための、きちんとした民間の仕事が不足している点が老年貧困の主な要因」だと指摘した。

高齢者のための「まともな」仕事を見つけることは夢のまた夢だ。

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  • < 韓国の高齢者(65歳以上)の雇用率 / 韓国の高齢者(65歳以上)の貧困率 >

韓国老人人材開発院によると昨年を基準にして、65歳以上の高齢者の34.8%は警備と清掃のような単純労務職に従事している。農・漁業従事者(29.6%)まで加えると、高齢者の10人中3.5人だけが専門・管理職に従事しているという分析が出ている。

65歳以上の働く高齢者のうち、雇用契約期間が1年を超える常用職労働者の割合は12.3%に過ぎなかった。国民年金の受給年齢をこえても、チキン屋のような企業経営者に身を置いている高齢者の割合は40%に迫った。

彼らはしかし幸せなケースだ。最小限の資産もなく、毎日新しい職を探している臨時・日雇い老人の割合が35%に達する。さらに、依然として「働く高齢者」のうちで4.5%の8万2000人は古紙を集める高齢者だ。

あるいはまた65歳以上の高齢者の10人中で7人(68.7%)は、賃金と福利厚生の劣悪な5人未満の職場に勤務していることが分かった。「働く高齢者」全体の85%に達する「パートタイム」労働者は、月に平均48万4000ウォンを受け取っている。

特に高齢者のための良質の雇用の不足は、わずか5年後に迫ったベビーブーム世代(1955~1963年生まれ)の高齢化と相まってゆれ幅を大きくするだろうという観測が出ている。

2020年に高齢者人口の7.9%を占めるベビーブーム世代は、わずか7年後の2027年には高齢者人口の半分を超えて52.2%に達すると推定される。学歴と引退前の所得が現在の高齢者層に比べて相対的に高かったベビーブーム世代と、既存の高齢者雇用との「ミスマッチ」はさらにひどくなるしかない。

学歴だけを見ても、ベビーブーマーのうち大卒以上と高卒の割合はそれぞれ22%と45%に達する。前の世代(1946~1954年)の11.4%と28.9%に比較してはるかに高い。

現在50代のベビーブーマーは平均資産が3億5113万ウォンで、月平均の家計所得が346万ウォンで高い専門性と比較的豊かな生活を享受してきた。このような彼らに単純労働が気に入るはずがない。

チェ・ソンジェ韓国老人人材開発院長は、「高齢化によって高齢者犯罪などの社会的副作用が増加しているが、福祉支出を増やして高齢者を扶養するシステムも限界を見せている」とし「結局、企業と連携して知識と経験のある高齢者のため良質の雇用を設けることを急がなければならない」と説明した。
  • 毎日経済_チョン・ジョンホン記者 / 写真=イ・スンファン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-06-30 08:01:42




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