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低金利時代、MMFに金が押し寄せる…史上最大値を記録

史上最低金利でも「投資不足」 …短期浮動資金MMF「史上最大」 

史上最低の金利で市中に金はたくさんばらまかれたが、資本市場への流入や実質投資につながらない「動脈硬化」現象が続いている。ブレクジット(英国の欧州連合離脱)以降、世界経済の不確実性と国内景気の萎縮で的確な投資先が見つからなかった市中資金が、「超短打(デイトレード)」商品に押し寄せている。このために代表的な短期浮動資金基準として使われるマネー・マーケット・ファンド(MMF)の純資産額は130兆ウォンで、史上最大値を更新した。積極的な投資を行うには不確実性があまりにも大きいと判断した投資家が、短期商品に金をつぎこんで顔色をうかがっているわけだ。 9日の金融投資協会によると、5日時点でのMMFの純資産額は前日よりも9448億ウォン増加した130兆1180億ウォンで、史上最大値を記録した。直前の最大値は米国発の世界金融危機直後の、2009年3月6日に記録した129兆6454億ウォンだった。 7年5ヶ月ぶりに記録を塗り替えた。

MMFとは短期金融商品に集中投資して、短期金利の騰落がファンドの収益率に迅速に反映されるようにした超短期商品だ。企業手形(CP)や譲渡性預金証書(CD)などの短期金融商品に集中投資して収益をあげる。

収益率は年1%台前半に過ぎないが、一日だけ預けても利息を付くので、随時入出金式の銀行普通預金よりもはるかに有利だ。 MMFの純資産額が増加したことは、ブレクジット後に世界的に不確実性が大きくまり、適切な投資先が見つからなかった資金が集まったことによるものと分析される。

東部資産運用のユ・ヒデ債券運用本部長は「ここ数年間、市中に莫大な流動性がばらまかれたが行き場がなく、MMFのような短期商品や債券に金が押し寄せている」とし、「債券に押し寄せた資金も、優良株中心なので偏り現象がはげしい」と説明した。

現代証券のナ・ジュンヒョク投資戦略チーム長は、「年内に米国の金利引き上げの可能性が残っているうえに、ブレクジットの不確実性も相変わらずだ」とし、「最近はサードの配置決定後の、韓・中関係の悪化懸念などの不安も高まった」と語った。ナ投資戦略チーム長は、「為替レートの水準も、われわれの証券市場に肯定的ではない」と付け加えた。対ドルでのウォンの予想範囲は1100~1200ウォンだろうという予測が多いが、いまウォンは上段にあるからだ。外国人が為替差益を狙って国内証券市場に投資する可能性は高くないという話だ。

最近、コスピが2000線を越えて差益を実現した後、底値で買い入れようとする待機性資金もMMFに押し寄せている。イ・ギョンミン大信証券研究員は、「コスピが2000線上で上がったり下がったりを切り返しているために、投資家らは国内証券市場の追加上昇を予想しない」とし、「このために低金利基調でも、資金の流れは危険資産には向かわないだろう」と説明した。

専門家らは、当分のあいだはMMFに資金が集まる現象が続くと予想した。ユアンタ証券のキム・フジョン研究員は、「ボックス圏の株式市場が持続するうえに、国内投資家らが国内外の景気回復に対して確信できず、当分の間はリスク資産を回避する心理が続くだろう」と展望した。ナ・ジュンヒョク チーム長も「場中の基準株価は年高点のレベルだが、ここからさらに上がる可能性は高くない」とし、「企業業績や経済見通しなどが株式市場の上昇を支えられない」と説明した。続けて、「下半期にも危険資産の回避心理が続き、個々の銘柄の場勢が続くだろう」と語った。

株式型ファンドから資金が離脱し、債券型ファンドに資金が流入する傾向も、この6月以降続いている。国内債券金利は既に1回、基準金利引き下げの見通しを反映したレベルであり、追加下落(債券価格の上昇)余力は大きくない。

株式の期待収益率と国債の利回りの差である「イールドギャップ」が、2013年以降で最大に開いたにもかかわらず、投資家は安全資産である債券のみに押し寄せている。

ファンド評価会社のエフアンドガイドが、年初以降から今月の5日までの上場投資信託(ETF)と、MMFなどを除いたファンドタイプ別の資金流動を調査した結果、国内債券型ファンドに最も多くの5兆7442億ウォンが純流入した。同じ期間の海外債券型ファンドは7932億ウォンが集まって、債券型ファンド全体に流入した資金は6兆5374億ウォンに達した。一方、国内株式型ファンドから5兆2943億ウォンが純流出し、海外株式型ファンドでも1802億ウォンが流出した。

オ・ウンス現代証券研究員は、「最近コスピと国債3年物との間のイールドギャップが、2013年以降で最も高い水準の8.8%ポイントまで広がったが、債券への資金流入が続いている」とし、「このような傾向は、企業の構造調整の本格化で下半期も続くだろう」と語った。
  • 毎日経済_キム・ヒェスン記者/キム・テジュン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-08-09 17:53:14




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