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チョ・ソンホ、「日本の真ん中で受けた拍手喝采が忘れられない」

東京フィルハーモニーのクラリネット首席奏者チョ・ソンホ 

  • チョ・ソンホ、「日本の真ん中で受けた拍手喝采が忘れられない」
去る24日、朗報が聞こえてきた。日本最古の楽団であり世界的な名声を享受している東京フィルハーモニー交響楽団(以下、東京フィルハーモニー)の新任クラリネット首席奏者として、韓国のチョ・ソンホ氏(31)が前日の夜に任命されたというニュースだった。20年ぶりに空いた空席を獲得するためのオーディションの競争率はなんと200分の1。計180人余りの既存の団員の中で、外国人が2人に過ぎないほど、一種の「自国民純血主義」が強い日本トップクラスの楽団で、ひたすらに根気強い実力と個性で勝ち取った結果だった。

「信じられなかったんです。私は私の演奏がいつも気に入らないんですよ」去る29日、ソウル明洞(ミョンドン)のあるカフェで会ったチョ・ソンホに合格通知を受けた時の感想を聞くと、彼はしばらく沈黙して答えた。その時の驚きと感激がたちまち表情に染みこんだ。ウィーン・フィルハーモニーのように常任指揮者がいない東京フィルハーモニーは、首席選抜時に全団員がオーディションに参加する。「200人近い団員がじっと見ている前で1人1時間演奏しなければならなかった決戦の舞台が、最も記憶に残っています。まるで裸でいるような感じでした。この圧迫を耐えた後に200人の拍手を受けた時の気持ちは、一生忘れられないでしょう」

決戦に上がった4人の競争相手のうち2人が日本人だったため、むしろ期待が少なかった。巨大なクラシック市場と化した日本の3大オーケストラに数えられる東京フィルハーモニー・NHK交響楽団・東京都交響楽団のすべてが、自国団員比率が実質的に100%だ。「日本人、演奏が本当に上手です。だから言うことがないでしょう。彼らが頭を突き合わせた末、選択したのが私という事実が感動的です。韓国のオーケストラも完璧な実力の韓国人たちだけで満たすなら、本当にかっこいいのではないでしょうか」彼は繊細に調整された色とりどりで美しいサウンドで、有名な東京フィルハーモニーで「自由に変化に富んだ演奏を追求する」自身のスタイルが魅力的に作用した可能性も言及した。

バイオリンを専攻した祖父、ピアノを専攻した母親のもとで、常に音楽と生活していた少年は、学校で吹いてみたリコーダーがあまりにも簡単でおもしろく、小学校6年生の時に近所の教室でクラリネットのクラスに登録した。

以来、仙和芸術中学・高校を首席で入学し、韓国芸術総合学校とドイツ・ベルリンのハンス・アイスラー(Hanns Eisler)大学を経て、2007年に東亜音楽コンクールで1位、ウィーン国際音楽コンクールで2位をおさめるなどと頭角を表わしたが、いざプロ演奏者として足を踏み出す過程は容易でなかった。

昨年末、ソウル市響の修習首席に選ばれたが、チョン・ミョンフン前監督の突然の辞任で人事システムに混乱が生じ、舞台に立つ機会も少なく気苦労が大きかった。「より戦闘的で緻密に演奏するようになったきっかけでした。今は道が少し開けたと思います。止まらず走りたいです」

彼は日本語を話せず心配だと言いながら、「日本語勉強アプリケーション(app)を今まさにダウンロードした」とにっこりと笑った。「ドイツ留学時代に4年にわたって私の学校公演に来られたドイツ人老夫婦がいらっしゃいます。卒業演奏時は花束をいただき、泣いておられました。言葉が通じなくても、音楽は通じるということを感じました。私が音楽なしに生きられない理由でしょう」
  • 毎日経済 オ・シンヘ記者 / 写真=ハン・ジュヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-08-30 17:02:57




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