トップ > コラム > 人物 > 大成グループ金英薫会長「エネルギー革命導く第2のファラデーさがす」

大成グループ金英薫会長「エネルギー革命導く第2のファラデーさがす」


  • 大成グループ金英薫会長「エネルギー革命導く第2のファラデーさがす」
「新しいエネルギー革命をもたらす新技術を見い出す転機を用意したい」。

来る9日から13日まで、トルコのイスタンブールで開かれる「23回世界エネルギー協議会(WEC/World Energy Council)」総会で、次期会長として公式に就任する予定の金英薫(キム・ヨンフン)大成グループ会長(64)が明らかにした抱負だ。キム会長は2011年の選挙で、2016年から2019年までの3年任期のWEC会長に選出された。

1923年に英ロンドンで発足したWECは現在、世界93カ国のエネルギーの専門家らが参加している。 3年ごとに開かれる総会(World Energy Congress)は2013年に大邱、今年はイスタンブール、2019年はアラブ首長国連邦(UAE)アブダビで開催される予定だ。

キム会長は2016年を新たな飛躍の年と考えている。世界のエネルギー産業に従事している民・官・学の専門家らがすべて参加するWECを通じて、自分の夢を現実化してみたいという。

「沈清がシム奉事をさがすために宴会をひらいたように、第2のファラデー(電気の父)を見つけるための世界的なパーティーを開いてみたい」というのがキム会長の夢だ。

19世紀初頭に電気の原理を発見した人物であるマイケル・ファラデーのように、新たなエネルギー革命をもたらす人材を探したいということだ。キム会長の言う「第2のエネルギー革命」とは、代替エネルギーなどを意味するものではない。むしろ現在の代替エネルギーは、近いうちに限界に直面する可能性が高いとみている。キム会長は核心技術を韓国が主導することができれば、「エネルギーの辺境」の現実を離れ「エネルギー中心国」になることができると信じている。キム会長はその可能性を、バイオテクノロジー(BT)に求めている。このため大成(デソン)グループでも「大成海洋微生物研究所」を設置し、キム会長自身も積極的に関与している。

キム会長は大邱で国内初の練炭工場を建てた故金寿根(キム・スグン)大成グループ会長の6人の子供のうち第五子だ。長男のキム・ヨンデ会長が産業ガス部門(現大成産業)を受け継いだ。次男のキム・ヨンミン社長はソウル都市ガスを、三男のキム会長は大邱都市ガス(現大成エネルギー)を受け継いだ。 ファッションブランド「MCM」会長で韓国赤十字の総裁を務めている金聖株(キム・ソンジュ)会長はキム会長の妹だ。

以下は一問一答。

- WEC会長に就任することになる抱負は?

▶ エネルギー業界の最も重要な懸案は技術革新や新技術の開発だ。このためにまい進する。今までのエネルギーは安全保障(security)の問題だった。それが今では気候変動などによって環境問題まで加わった。伝統的な化石燃料がいくら多くてもだめな時代だ。

- 代替エネルギーの研究開発の強化か?

▶ 太陽光や風力は連続性を確保するのが困難だという難しさがある。いつかは矛盾が現われる。ドイツを見てみよう。天気がよければ太陽光発電が多くなり、周辺国に電力をあまりに安く売って問題になっている。また逆に太陽光発電が難しいときには、フランスの原発で生産された電気を買っている。こういうことから、フランスはドイツとの国境に原発を建設している。安全保障と環境問題の両方を超えるためには技術が必要だが、これらの技術は実際に先進国が掌握している状況だ。

  • 大成グループ金英薫会長「エネルギー革命導く第2のファラデーさがす」

- 解決策はないのか。

▶ 蒸気機関と電気を経て、エネルギー革命が続いてきた。これに匹敵するほどの技術が出なければならない。そのために必要なものが投資だ。問題は、一般的な投資家は長く待てないということだ。 2006年にシリコンバレーのベンチャー投資家などが投資に乗り出したが、当時彼らが考えた投資期間は5年だった。 5年以内に結論が出るエネルギー技術というものは存在しない。昨年12月にパリ気候変動枠組み条約の億万長者たちが、2020年までに200億ドルを投資する計画を明らかにした。しかし、この程度では足りないという考えだ。だからWECを通じて長期的な投資が可能な政府系ファンド、年金基金、ビル・ゲイツのような富豪の投資を誘致しようと思う。名前も考えておいた。インベント(invent/発明)、インベストメント(investment/投資)、エンカウンター(encounter/出会い)の「3イン」運動だ。目標は次期エネルギー総会のアブダビ総会だ。沈清がシム奉事を探すために宴会をひらいたように、私は「第2のファラデー」を見つけるためのパーティを開いてみるというわけだ。

- 韓国がエネルギー産業の中心になるための条件は?

▶ 原油価格は長期的に、バレル当たり40~60ドルの間で上下すると思う。従来は中東などの生産者中心市場だったが、今は再生可能エネルギーなどが現れて需要者中心市場になった。需要の多いところが韓国や中国、日本などの北東アジア諸国だ。それだけに今後はわれわれの声が強まるだろう。ただし、再生可能エネルギーをはじめ、新たなエネルギー革命が現れたなら、石炭・石油中心の時代は終わるだろう。石器時代が石がなくなって終わったのではないように、石油がすべて無くなって石油の時代が終わるわけではない。新しい技術が現れて変化をもたらすわけだ。産油国が価格の下落にもかかわらず積極的に増産に乗り出すのもこのためだ。私たちは技術だけを先取りすることができれば、いくらでも新しい時代をリードすることはできる。ただしこれは政府が乗り出してできることではない。企業が取り組まなければならない。

- 韓国のエネルギー政策を評価するなら?

▶ 政権が変わるたびにリストを作って投資を執行する現在の方法では、金と時間を無駄にすることになる。特に時間の無駄が一番残念だ。 2006年からエネルギー新技術に400億ドルが投資された。半分が失敗に終わった。さらにわれわれは集中もできないでいる。毎年チェックし3年単位で再計画を推進するようにできることはない。

- どのように変えることができるだろうか。

▶ すべて政府でできることではないが、専門家が集まって階級章をはずし、1~2ヶ月ほどブレーンストーミングをしなければならない。これによって何が「正しい質問」なのかに対する合意がなされなければならない。そして、そのように決定された問題については、制度的に支援をするべきだ。この技術は持続可能で(sustainable)、適合(adequate)する必要があり、高価であってはならない(affordable)という基準を立てて、国内外の技術者がすべて飛びついたなら、エネルギー問題は解決できるだろう。

- 大成グループの目標は?

▶ 代替エネルギーを超えて、食糧問題まで解決できる技術を探している。北韓であれば北韓、モンゴルであればモンゴルに合った技術を提供することができる総合技術会社にしたい。そのために安定した都市ガス事業から得ている収益と、文化事業を通じて得られた事業などを基盤に技術開発に乗り出している。 (大成グループは最近、映画『仁川上陸作戦』『鳴梁』『国際市場』などに投資して利益を得た)。最も注意深く見ているものは微生物だ。化石燃料は単語でも分かるように、死んだ微生物からエネルギーを得るものだ。いま生きている微生物からエネルギーを得る方法をさがしている。そのために大成海洋微生物研究所も建てた。

エネルギーは長期的な投資などが必要なだけに、最高意思決定者である私が直接勉強しながらアイデアも出してしている。また、研究者ではできない部分もある。事業化だ。このような部分を行うことができる人物を見つけるために、多くの時間を費やしている。

■ He is ...

△1952年生まれ、△京畿高卒、△ソウル大行政学部(1971~1975)△ハーバード大学神学修士(1984~1987)△大成グループ会長(2000~)△8・9対韓国都市ガス協会会長(2002~2008)△第3代韓国文化産業交流財団理事長(2009~2012)△世界のエネルギー協議会会長(2016~)
  • 毎日経済_チョン・ウク記者/写真=イ・チュンウ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-10-04 19:54:09




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア