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「パリバケット」SPCホ・ヨンイン会長のディテール


  • 「パリバケット」SPCホ・ヨンイン会長のディテール
ソウル良才(ヤンジェ)洞SPCグループ本社に位置する研究開発(R&D)センター「イノベーションラボ」は、1週間に1回ずつ、パリバゲット(Paris Baguette)などの系列会社の新製品の試食行事が開かれる。曜日は流動的だが、試食時間は午後2時と同じだ。「空腹時は何を食べても美味しいため、新製品を正しく評価できない。昼食後の満腹状況でも、さらに食べたい味を出さなければならない」試食にはほぼ欠かさずに出席するホ・ヨンインSPCグループ会長(67)が、行事の時間を直接定めながら伝えた言葉だが、細部まで気を遣う彼の経営スタイルを垣間見ることができる。

ホ会長が、高級パン市場を開拓するために設立したパリクロワッサンが去る17日に30周年を迎えた。数多くの製パン会社が明滅する中で、会社が継続的に成長した背景には、ディテールな部分まで入念に気を遣ったホ会長の役割が大きかった。彼は大学で経済学を専攻したが、製パン会社を経営するには「パンのすべてのこと」を経験しなければならないと考え、1981年に米国AIB(American Institute of Baking)に入学した。パン博士になった彼が自身の真価を発揮した逸話がある。ホ会長はフランス正統バゲットを開発しようとしたが、どうしても本来の味が出なかった。原料と製造過程を顕微鏡で覗くように見ると、すべてのことが問題だった。彼はフランスから小麦(原麦)を輸入して製粉技術者まで招聘してバゲット用小麦粉を作った。パンを焼く時も、フランスの石オーブンを使用した。すべてのディテールを満足させた結果、フランスで味わったバゲットが誕生した。

2005年11月に着手して11年ぶりに結実を見た韓国産天然酵母の発掘も精密なことまで気を遣わなければならないという信念から出た。酵母は、パンの味を決定する核心原料だが、独自開発が容易ではなかった。しかし、ホ会長は1万種以上の微生物を分析した末、天然酵母を探し出し、今年、製品化にも成功した。

彼は三立食品を設立した故ホ・チャンソン会長の次男で、2世経営者だ。三立食品系列であるシャニを受け継いだが、ここに満足せず、1986年にパリクロワッサンを設立して、創業1世代に劣らない挑戦に乗り出した。彼はフランチャイズ経営で頭角を現わし、10年後に業界1位に上がった。パリバゲットの成功を牽引していた2つの軸は、綿密な管理システムとR&Dだった。このうちホ会長がより気を遣う分野はR&Dだ。製品の品質と完成度は、R&Dから出るためだ。 「パンを数百万個作っても、消費者はパン1個を買う。1個であっても良くないパンが出れば、それを買って食べる人はパンが悪いと言う」ホ会長が金科玉条とする亡父の遺言だが、最高経営責任者は小さなこと1つでも見逃してはならないという意味として読まれる。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-10-23 09:16:29




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