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地球温暖化によりサンゴ礁が北上中…30年間で100キロメートル


# 済州島の西帰浦市ムン島近くの軟質サンゴ(Soft Coral)の群生地は、スキューバダイバーの集まるダイビングスポットだ。西帰浦海域7041万688平方メートルと松岳山(ソンアクサン)海域2222万9461平方メートルの岩盤の上にイシサンゴやツノサンゴなど、ユニークでカラフルなサンゴ礁92種が水深3~18メートルに「花園」をなしている。 2004年に天然記念物に指定された。サンゴ礁は1990年代は済州島の南海岸地域にのみ棲息していた。しかし地球温暖化に伴う水温の上昇で、済州北部と南海岸にまで棲息地を広げつつある。

海面温度の上昇で、国内沿岸にサンゴ礁の群生地が増えている。

21日、韓国海洋科学技術院によると、韓国はサンゴの棲息限界である「冬季水温18度の等温線」の位置が、この30年間で100キロメートル北上した。これによって、亜熱帯種サンゴのベニウミトサカは済州島の南側海域から北上して済州島西部に生息地を拡張し、ニホンアワサンゴは北部地域で大規模な群生地を形成している。これまでにはなかったベニボヤも済州島南部に出現し、大規模な群生を形成し始めた。特に赤黒いトゲトサカは済州島から北上し、釜山の南兄弟島一帯に群落を形成した状態だ。ハナヤサイサンゴ類も可居島一帯からはみだして楸子島などの南海岸に生息地を広げている。韓国も亜熱帯サンゴ礁の形成の初期段階に入ったわけだ。

鬱陵島と浦項沖に分布していたイソバナやヒダベリイソギンチャクとともに、わが国の海にはいまや約164種のサンゴ類が生息していると推定される。

わが国は世界7大気候変動のホットスポットの一つにあげられる。黒潮などの影響を受けて、内陸の気候はもちろん海洋生態系が急速に変化している。日本で過去70年間にサンゴを監視し、ツノサンゴ類の生息地が毎年14キロメートルずつ北上していることを確認したことと同じ脈絡だ。

サンゴ礁はイソギンチャクやクラゲと親戚関係の動物だ。小さな針をうって餌をとる特性のため、生物分類学上は刺胞動物に区分される。一見硬い石のように見えることから固い植物だと考えるのは誤解だ。

オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)のような巨大サンゴ礁の観光地が生じることも遠い未来のことではないわけだ。世界の観賞魚産業の市場は年間45兆ウォン規模であり、国内市場規模は4100億ウォンと推定される。サンゴ礁が広がるとサンゴ礁に沿って亜熱帯の魚も、ともに生息地を移して移動する。国内で販売される亜熱帯観賞魚はほとんど輸入だが、輸入代替効果もある。

オーストラリア政府はサンゴ礁の代名詞であり、ユネスコの世界自然遺産に指定されたグレートバリアリーフの管理のために、今後10年間に100億オーストラリアドル(約8兆6000億ウォン)を投入する予定だと明らかにした。グレートバリアリーフの年間生態系サービスの価値が2倍の200億ドル(約17兆2000億ウォン)に達し、十分に投資する価値があるという判断だ。

チャン・マン海洋環境管理公団理事長は、「サンゴの価値は医薬や新素材や新物質の抽出など、海洋生物資源として活用されているのはもちろんのこと、サンゴの生態系を構成する熱帯魚や甲殻類などとともにエコツーリズムの開拓に大きく貢献するだろう」とし「45兆ウォンと推定される将来の新成長動力である観賞魚産業の市場に高付加価値を創出し、温室効果ガスの削減に貢献するなど、サンゴ礁の管理・活用のための体系的管理と投資計画を立てなければならない時」だと語った。

サンゴ礁は昨年末に締結された「パリ協定」に基づく、温室効果ガスの削減目標達成にも寄与するものと予想される。現在、政府はパリ気候変動枠組条約に基づいて、2030年までに温室効果ガスの排出見通し比で37%の約3億トンを削減目標としているが、サンゴ礁が海洋生態系の温室効果ガスの削減に認められた炭素、すなわち「ブルーカーボン」として指定を受ける可能性が高まった。海洋環境管理公団の関係者は、「韓国も近くの海域が急速に亜熱帯化しており、サンゴ礁産業の体系的研究と投資が当面の課題」だと語った。
  • 毎日経済_イ・スンユン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-10-22 15:03:18




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