トップ > コラム > 人物 > カン・スジンのために『蝶々夫人』を作った

カン・スジンのために『蝶々夫人』を作った

スペインの振付師バルガ&カン・スジン国立バレエ団長インタビュー 

  • カン・スジンのために『蝶々夫人』を作った
2日、ソウル芸術の殿堂。姜秀珍(カン・スヂン)国立バレエ団長(47)とスペインの振付師エンリケ・ガサ・バルガ(38)は、バレエ『蝶々夫人』のリハーサルルームに向かう。昨年、オーストリアのインスブルックでこの作品を初演した二人は4~6日、ソウルの「芸術の殿堂」オペラハウスで再公演を行う。インスブルックバレエ団の芸術監督であるバルガは、カン・スヂン団長からインスピレーションを受けてこの作品を振付した。インスブルックでの10回公演は売り切れて、4回公演を追加したほど成功した。ソウル公演の4回チケットはすでに完売した。

バルガは、「カン・スジンでなければ『蝶々夫人』を作らなかっただろう。若い年齢で外国に出て頂上に上がるまで多くの犠牲を払った彼女は、愛する人と息子のために命を捨てた芸者蝶々さんと似ている。カン・スジンは繊細ながらも強靭な鉄の蝶々夫人」と語る。

爪が潰るほど血のにじむ練習と徹底した自己管理でバレリーナの定年(40歳)を超えたカン団長は、「鋼鉄蝶」という愛称を持っている。14年前にスペインで二人が一緒に踊ったガラ公演を見たバルガの母も「蝶々夫人だ」と息子に言った。

カン団長は、「私だけの蝶々さんを作れると自信があったし、結果にも満足している。一人の女性として私が持っているすべての面を見せることができてとても楽しかった。蝶々さんに集中する瞬間、また別の世界に入ることができるということ自体が幸せだ」と語った。バルガの『蝶々夫人』は蝶々さんの内面の葛藤に焦点を合わせる。善と悪を象徴する二つのダンサーが、互角に対立しながら激烈なダンスを踊る。米軍将校のピンカートンが他の女性と結婚した後に戻ってくるやいなや、その葛藤のバランスが崩れて蝶々さんは死を選択する。

バルガは、「蝶々夫人は運命の終わりを決めるときにも二面性との戦うが、けっきょくは犠牲を選択する。カン・スジンは深い内面と魂から湧き出るダンスを大衆にうまく伝えることができる特別なダンサー」と絶賛した。

カン団長は、「蝶々さんが自殺する直前に踊るソロのダンスがいい。胸が引き裂かれる。心の中すべてを吐き出す美しい芸術」だと説明した。『蝶々夫人』の舞台のまん中には危険な崖が置かれている。悲劇の序奏を知らせる太鼓の音が騒がしく聞こえ、カン団長が白い服を着て出て蝶のように踊る。カン団長はポイントシューズ(point shoes)を履いて、他のダンサーたちと差別化される。

バルガは「カン・スジンは蝶のように見えなければならないので、足が床にそっと触れるようにした」と説明した。来年の3月25~28日に、国立バレエ団がこの作品を公演する予定だ。バレエ団の休暇が終わる21日、バルガが配役を決める予定だ。

カン団長は、「昨年、10回公演したが蝶々さんの役は私だけにキャスティングされた。私が調子が悪くなるとどうするのかといっても、他のダンサーをキャスティングしなかったので、この方もほんとうに変わっている。とは言え、国立バレエ団員を見ながら、新しい蝶々夫人を選択できるだろうと信じている」と語った。

一方、カン団長はデビュー30周年を迎える2016年7月20日、長く身を置いたドイツシュツットガルト・バレエ団の公演を最後に引退する予定だ。来年には国立バレエ団とともに舞台に立てる公演も準備している。
  • 毎日経済_チョン・ヂヒョン記者/写真_イ・チュンウ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-07-02 17:04:57




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア