[韓国はコーヒー共和国 ③/⑤] 原豆コーヒー・ホームカフェ市場大きくなる

③ 20~30代女性、味と粋を求めてコーヒーを飲む 

  • < フランチャイズコーヒー業者の現況 *資料=月間COFFEE調査 >

国内コーヒー市場は、原豆コーヒー(インスタントではない、挽いたコーヒー豆から抽出したレギュラーコーヒーのこと)を中心に急速に大きくなった。過度な膨張と感じられるほどその成長速度が速い。なぜこのように大きくなり今後どれほどさらに成長するだろうか。

コーヒー市場が急速度で成長する理由は、人々の味覚が原豆コーヒーに素早く移っているからだ。最近の20~30代の若い人は大抵、原豆コーヒーを楽しむ。時間が経つほどに、この階層は徐々に拡散され、原豆コーヒー市場を拡大させる。全国にコーヒーを教育する私立教育機関が急増したのもここに一役買った。韓国コーヒー教育協議会会員のコーヒーアカデミーが全国に150か所を超える。毎月一つの場所で10~20名程度の修了生を排出すると見たとき、1500人余りから3000人程度が、コーヒー専門家として活動するようになる。彼らが原豆コーヒー市場を育てる役割をする。

最近は家と事務室でも容易に原豆コーヒーを飲む雰囲気だ。近所のカフェや大型マート、オンラインショッピングモールを通じて以前より容易に良いコーヒーを買うことができ、コーヒーを抽出する器具も多く普及したからだ。

最近、最も人気のある製品はカプセルだ。また、家庭用エスプレッソ抽出機であるモカポット、コーヒーを容易に淹れるフレンチプレス、ポットとフィルターと簡単なドリッパーさえあればできるハンドドリップコーヒー、抽出の面白みをさらに付加するサイフォンまで。これからは家と事務所でコーヒー専門店に劣らないコーヒーを楽しむことができるようになった。このようなホームカフェがコーヒー市場にもたらす影響は、今後さらに大きくなるだろう。コーヒー専門店とは異なり、ホームカフェは需要層が広く、コーヒーの味覚に本格的な変化を追及することで、コーヒー市場の成長を導くようになる。

コーヒーの品質高級化は、市場の成長をもたらし、これによるコーヒービジネスの付加価値がさらに上昇すると予想される。加えて、コーヒーをはじめコーヒー飲料と関連器具産業まで、市場は拡大し続けると展望される。原豆コーヒーの躍進は、インスタントコーヒー市場にも肯定的な変化をもたらすだろう。「プレミアムインスタントコーヒー」を前面に出した新しい食品会社が加勢しながらコーヒー産業をさらに育てるだろう。

▶ コーヒー豆の価格上昇、成長障害物作用

急に市場が成長したため、危険要因も多い。他の業種に比べて侵入障壁が低い反面「コーヒーが金になる」という期待感にむやみに創業に乗り出す人が増えた。このためコーヒーフランチャイズ本部が全国に100か所が超え、創業支援に必要な人力とシステムをきちんと持ち合わせない不十分なフランチャイズ業者も一部誕生した。これにより、加盟店主らは数千万から数億ウォンの創業資金を飛ばすことになる。また、新しいコーヒー市場を先行獲得したり、守るための企業間の過度な設備投資は、内需経済に否定的な影響を及ぼす恐れがある。

最近では、中国のコーヒー消費が大きく増えた。茶を中心にしていた中国のデザート文化が、若い人たちを中心に、コーヒーに移りながら需要が爆発的に増加したのだ。当然、原材料であるコーヒー豆の価格が上昇し、コーヒー価格に直接影響を及ぼすようになった。

このような憂慮にもかかわらず、国内コーヒー市場の上昇傾向は、10年以上持続されると予想される。その核心は原豆コーヒーだ。今後、原豆コーヒー消費が増加し、インスタントコーヒー消費比重が5対5水準に達するようになるものと見られる。

近い日本の場合、インスタントコーヒーと原豆コーヒーの消費比率が3対7になるほど、原豆コーヒーの強勢が続いている。韓国も長期的な見識で接近した時、大きく変わらないと予想される。現在コーヒーと関連した装備、原材料・付帯材料などを取り扱う業者らが多数発生しており、より良い品質の産業基盤が形成されると見た場合、今後コーヒー市場の展望は明るいと見通すことができる。

  • < コーヒー専門店は20~30代の女性に合わせた戦略で成功している >

#ITコンサルタントのパク氏はいつもコーヒー専門店を訪れる。フリーランサーで仕事をするパク氏は、プロジェクトがない時には個人事務所とコーヒーショップを往来し、個人的な仕事を処理する場合が多い。未婚であるパク氏は居住地の近くである弘大(ホンデ)のコーヒーショップを主に訪れる。パク氏はプロジェクトがない時には、昼間に少しずつ出てきてコーヒーを飲んだり、パソコンをしながら2~3時間程度を過ごす。最近、コーヒー売り場でノートブックとスマートフォンで無線インターネットを利用できるため、さらに頻繁に訪問する。彼は「最初は一人でコーヒーショップに座っているのがぎこちなくもあったが、今ではむしろ自然だ。コーヒーショップで出会い顔見知りになった人もできた」と付け加えた。

#外国系企業に勤務するソン課長(34)は、対外協力部署におり外部約束が多い。食事の約束を取り付けるたびにソン課長が一番先にすることは、コーヒーショップの位置を確認することだ。新しくできた店や有名なバリスタがいるコーヒーショップを年頭に置き、食堂を見つけるという具合だ。ソン課長は「職場生活をしているとどうしてもバリスタやコーヒーショップを別途に探し歩くのは難しい。約束がある度に有名だというバリスタやコーヒー店の近所で会い、自然と訪問もし、評価もする」とした。ソン課長はこのようにコーヒーショップに立ち寄る度に写真を撮り、味を評価しブログやツイッターにあげる。ほとんどのコーヒー店はもちろん、コーヒーをうまく作るというバリスタの名前まで把握している。

パク氏とソン氏の場合のように、韓国社会を代表するトレンドとして定着したのがコーヒー文化だ。

原価の問題と市場飽和など数多い論議にもかかわらず、コーヒーを楽しむ文化は相変わらず拡散する一方だ。事務所で飲む100ウォンのコーヒーミックスから缶コーヒー、昼食後楽しむ数千ウォン台のコーヒーからタバンコーヒーまで。コーヒーなしでは業務はもちろん私生活を話しにくいほど。

「高宗スターバックスに行く」の著者で全北大のカン・ジュンマン教授は、このような現象をもって「コーヒーは美学であると同時に政治学の領域だ。コーヒーはいわゆる名品の心理学と類似した道を歩き、終わりない差別化の循環構造を見せてきた。コーヒーは一時は『お前たちが飲むなら私だって飲める』という平等主義という情緒の中で好況を享受し、これからはワナビー(wannabe・追従者)情緒を動力として春秋戦国時代を迎える」と説明した。カン教授は、他の飲料と異なり、コーヒーは飲み方をもって「やぼったい」とか「洗練されている」という表現を使うということを証拠として挙げた。タバンコーヒー(コーヒーに砂糖とミルクが入った、インスタントコーヒー)はやぼったく、原豆コーヒー(インスタントではなく、挽いたコーヒー豆から抽出したレギュラーコーヒー)を飲む人は洗練されたイメージを持つという具合にだ。

実際、コーヒーの味から大きな差を感じられなくても、あえて1000ウォンのコーヒーのかわりに、スターバックスのキャラメルマキアートを求める。高級ブランドバックに原価の数百倍を超える価格を支払っても満足感を感じる消費者心理と類似する。

漢陽大九里病院神経精神科のパク・ヨンチョン教授は「心理的に見るとコーヒーは高尚によく包装されている商品と似ている。コーヒーを飲む人はなぜか優雅で高級な感じを持つというイメージメイキングが成功したというわけだ。結局、コーヒーを飲みながら高級ブランド品を買うときと似た誇示欲、代理満足を感じる」ものと見る。

歴史的由来からもコーヒーと高級品の消費を連結させることができる。1890年を前後して韓国に入ってきたコーヒーは、西洋から来た文明の象徴だった。コーヒーを最初に飲んだ者が高宗だったという点も一脈相通じる。 韓国でコーヒーは最初から粋と贅沢を楽しむ方法だった。カン・ジュンマン教授はこれをもって「韓国人は常に西洋と疎通したがり、そのような熱望がコーヒー愛に続いた」と話した。

もちろん単純に誇示欲で韓国のコーヒー文化全体を説明するのは難しい。中央大心理学科キム・ジェヒ教授は「以前には一種の誇示欲がコーヒー消費を増やすことができただろうが、今は一部階層を除外すれば、誰でもコーヒーを飲めるため、高級ブランド品を消費するような誇示欲でコーヒーを飲む人はいない」と話した。

韓国社会で唯一コーヒーが脚光を受けるまた異なった理由を顧客層から探すのも同じ脈略だ。

▶ 高級品消費心理と類似

コーヒー業者や売り場が徹底して20~30代女性をターゲットにし、結局成功につながったという解釈だ。亜洲大心理学科のキム・ギョンイル教授は「コーヒーショップのマーケティングとメニュー、デザインは徹底して20~30代女性を対象にしている。若い女性がこれに対してしっかり反応した」と話した。20~30代の女性がコーヒーに注目し始めながら自然に流行として定着し、これがさらに男性をコーヒーショップに誘導するのに成功しているということだ。

キム・ギョンイル教授は「コーヒーショップの主な顧客は女性だ。心理学的に見ると、結婚適齢期の男性は女性が多い空間に関心を持つようになり、このような男性の本能がコーヒー文化に自然と関心を持つよう誘導する」と付け加えた。

国内バリスタ1号であり、仁川文芸専門学校バリスタ科のイ・ドンジン教授も似たような脈略でコーヒー文化を見つめる。イ教授は「文化的観点からコーヒー消費増加に火をつけたのはドラマ『コーヒープリンス1号店』だ。それ以前には、一般人になじみの薄かったコーヒー豆、ロースティング、新鮮なコーヒーなどの概念がドラマを通して一般化された」と紹介した。「コーヒープリンス1号店」風のトレンディドラマの主な消費層もやはり20~30代女性だ。

社会学的にはコーヒー専門店の人気を、韓国社会がそれほど個人化したという証拠として見る。コーヒーショップとは空間自体が事務所や家庭とはある程度距離を置き、自分だけの欲求を充足させる役割をするためだ。実際、コーヒー専門店で注文する時、カフェモカ、アメリカーノ、キャラメルマキアートなど、各自味覚に合うコーヒーを注文する。ここでシロップなど各種添加物を入れ、除くのも個人の選択だ。コーヒーを飲むときだけは徹底して個人の好みを積極的に反映するのだ。

社会学専攻のK教授は「韓国社会が基本的に集団文化があるのに、最低限コーヒーを飲む時ぐらいはこのような負担から抜け出すのだ。一方では私たちの社会が個人の好みについて尊重する余裕を持つようになった点としても見ることができる」と話した。女性がコーヒー文化を主導するのも似たような現象と見ることができる。K教授は「20~30代女性が個人だけの時間と空間を楽しむため、40~50代男性を避ける空間としてコーヒーショップを選ぶようだ。根本的には個人化した消費者が享有できる消費財や場所がコーヒーショップに限定されているともいえる。20~30代の若者たちが1~2時間ずつ干渉を受けず過ごすことができる所がコーヒー専門店売り場以外あるだろうか」と付け加えた。

コーヒー専門店の拡散が、完全に新しい文化現象ではないという説明もある。韓国人が基本的に集まって話をしネットワークを積むことが好きで、コーヒーショップが自然に出会いの空間を作っているというものだ。イ・ドンジン教授は韓国のビビンバ文化をコーヒーに移植した。

「国外を見ると、イタリアはエスプレッソ、日本はハンドドリップ、ベトナムはベトナムコーヒーなど固有の抽出法が発達しているが、韓国は世界各国の抽出法を全て受容し混合した。有名なコーヒー専門店に行くと、ラテアート、エスプレッソ、ハンドドリップなど多様な抽出法を介して異色な見どころと多様な味をビビンバのように混ぜ合わせている」

▶コーヒーを享有する韓国人の心理や文化現象は持続されるか

市場の持続的な成長に一票を投げる専門家らが多い。パク・ヨンチョン教授は「コーヒーは今では日常の文化として定着した。会って酒でも一杯飲もうではなくコーヒー一杯飲もうに変わっている」とし「カラオケも始めはすぐになくなるだろうという予測が多かったが、今では一つの文化として定着しているように、コーヒーもそのような過程を歩んでいる」と話した。

▶ カフェイン中毒性も無視できない要素

一部競争力が劣るブランドはなくなる可能性があるが、韓国社会に装備され始めたコーヒーインフラを無視できないという分析も出る。イ・ドンジン教授は「韓国にバリスタ学科だけで10か所が超え、コーヒーアカデミーは200か所以上ある。ここで教育を受けた者たちとインフラが韓国のコーヒー文化を先導しながら、今後も数多くのコーヒーマニアを量産し出すだろう」と話した。経済的にも高価のコーヒー一杯を楽しめるだけの水準に登りつめた点もまたコーヒー市場には青信号だ。

もちろん、現在のコーヒー専門店文化が若い女性層だけを中心に形成されたことは短所として挙げられる。若い女性たちがコーヒーショップ文化に興味をなくすようになると、一瞬のうちに市場が小さくなる可能性もある。キム・ギョンイル教授は「人は他の人と同じものを消費すると安定感を感じながらも空しさを感じる。自己消費の理由を挙げることができないなら、無視される可能性もある」と見通した。キム教授は、最近人気が急降下した「ファミリーレストラン」を類似した例として挙げた。

もちろん一つ注意点がある。カフェイン中毒だ。「コーヒーにはカフェインがあり中毒性がある。一度味わうと続けて探すようになる。身体的、生理的にもコーヒーに惹かれるほかない」というパク・ヨンチョン教授の説明だ。
  • 毎日経済エコノミー_ホン・ソンデ記者 (月刊COFFEE 発行人) | (C) mk.co.kr
  • 入力 2011-06-08 06:00:32