「キム秘書がなぜそうか」原作のウェブ小説で薬剤師から売れっ子小説家に


モバイル世代の浮上は小説の終末を意味するのか。最近、ソウル市龍山区のカカオ漢南オフィスで会ったチョン・ギョンユン作家(40)によると必ずしもそうではない。彼女が2013年に出版した『キム秘書がなぜそうか』は国内のすべての書店でロマンスジャンルで1位になってからずいぶん後の去る2014年から2017年までカカオページにウェブ小説として連載にもかかわらずアクセス数5000万件を突破した。プラットフォームのロマンスジャンルの売上で1位だ。

「『キム秘書がなぜそうか』が最初に出版されたのがずいぶんと前で、オフライン書店で1位になった後だったので読む人はあまりないと思いました。だから同じ作品で再び連載することがカカオページ側に申し訳なかったんです。ところがカカオページで連載して得た収益がオフライン本の販売で収めたものより多かったんです」

既存のロマンス小説の読者ではない人までがプラットフォーム連載を通じて『キム秘書がなぜそうか』ファンとして流入したという意味だ。実際に最近チョン作家は、50代と60代のファンと出会うことが多くなっている。

彼女の作品を楽しむ読者が既存の10代~30代から中高年層に大幅拡張されたもの。「サウナでカカオページを開き『キム秘書がなぜそうか』を読んでいる50代の女性の方を見ました。私は趣味であちこちの教室に通いながら人と交流します。だから私のカカオトークのプロフィールを見て『キム秘書がなぜそうか』の作家だったの?と尋ねる方もいます」

『キム秘書がなぜそうか』は財閥企業のユイルグループの次男イ・ヨンジュンと彼の秘書キム・ミソの恋愛を描いたロマンス小説だ。事件は9年間イ・ヨンジュンを随行していたキム・ミソが突然秘書の仕事を辞めたいと宣言してから始まる。キム秘書と離れ離れになる状況になってからようやく自分の恋心を悟ったイ・ヨンジュンはいろいろな方法で彼女を引き留める。「私の話には財閥がたくさん登場するんです。私も読者も自分がよく知らない世界を不思議がりますから。別の話で見た財閥のイメージを参考にしてキャラクターを構成します。 『キム秘書がなぜそうか』を発表する前には映画『アイアンマン』を見ながらカッコイイと考えて、そのイメージをイ・ヨンジュンに反映したようです」

『キム秘書がなぜそうか』の人気の要因は複合的だ。恋愛ものにオフィスストーリーが加わって、ここにガールクラッシュ(Girl Crush・女性が同性に感じる強い好感)を誘発する主人公キム・ミソキャラクターがポイントとなった。ウェプ漫画、ドラマなど様々なフォーマットでリメイクされた理由だ。現在まで連載中のウェプ漫画は累積460万人が読んだ大韓民国代表ロマンス漫画として定着し、来月6日にtvNでの放送を控えたドラマ版は主人公にパク・ソジュン、パク・ミニョンがキャスティングされ注目を集めている。「キャスティングが確定した後、私の本を読むとパク・ミニョンさん、パク・ソジュンさんの顔が浮かびました。最近、カカオページ用に外伝を執筆する際に頭の中で俳優を描いて作業しました(笑)」

  • ウェブ漫画にリメイクされた『キム秘書がなぜそうか』の一場面。 [写真提供=カカオページ]



薬剤師だったチョン作家は苦しい薬局生活の脱出口として小説作業を選択した。「薬局という空間にいると毎日が同じなんです。小説はストレスを解消するための窓口でした。一人で書いていたのですが2003年ごろにロマンス小説コミュニティ『ロマンチック』に連載を開始したんです。構成が不足して未熟だったのですがメンバーたちが「おもしろい」「早く続きを」と話をしてくれ元気を得て、一日に1本ずつ書いていた気がします」

現実逃避先だった小説は現在では本業になった。2010年から現在までに出版した作品だけでも10作以上あり、5年前からは薬局に出勤していない。新しいウェブ小説の連載を準備している作品は初期作『クリスマスの男』だ。

ユーチューブとツイッターの時代にウェブ小説が消費される理由を尋ねると、彼女は「小説の渇きは深まるのに、紙の本を読んでいる余裕はない」と答えた。

「世界はますます熾烈になっています。忙しい日常に時間が余ると見るのがモバイルコンテンツで、その中で考える余地を作ってくれるものはあまりありません。ウェブ小説の文章が軽いとはいえ映像で話を消費するのに比べてゆっくりと想像しながら読まなくてはいけません。そのような部分は人々に余裕を作ってくれるように思います」
  • 毎日経済 パク・チャンヨン記者 / 写真=ヤン・ユチャン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-05-20 05:04:55