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労働時間短縮…「夏季闘争」暴風の中に


◆ 労働時間短縮後の暴風 ◆

嶺南圏に所在するA中堅企業の経営陣は最近、労組側から基本給7.4%引き上げ要求を受けた。昨年の要求である4%台に比べて大きく高まったレベルだ。 7月1日から労働時間の短縮が施行されれば賃金が減るので、基本給を上げて保全して欲しいという要求だ。労組はオフシーズンに仕事がなくても、週52時間勤務で計算して給料を保証して欲しいとした。同社の関係者は、「過去に得た給与を無条件で保証してほしいという労組側の要求はとうてい受け入れ難い」と語る。

B建設会社は労働時間の短縮で工事が遅延することがおこりうるという予測に赤信号が灯った。建設現場では気象の悪化などの予期せぬ状況が発生した場合には、追加の延長労働を行って工期に合わせるが、労働時間が強制的に減少すれば計画に支障が避けられないとなる。 B社の関係者は「韓国の建設業に特有の、勤勉で他の国の企業よりも工期をよく守るという評判を得てきたが、このような競争力が一日で消えることになる」と心配した。

労働時間の短縮(最大週68時間→週52時間へ)実施がわずか二ヶ月先に迫ってきて、これによる後遺症が産業の現場を強打している。当初の目標であるウォーラベル(work and Life balance/仕事と生活のバランス)の達成と雇用創出という純粋機能ではなく、韓国企業の競争力を減少させる副作用がより大きく示されている。

まず労働時間短縮は今年の「夏季闘争(夏闘)」に、最大の伏兵として急浮上した。韓国労総は最近、各単位労組に「労働時間短縮のために減る手当を、賃金で保持されるように労使交渉を進める」という指示を下した。民主労総金属労組も各支部に公文書を送り 「企業側に賃金カットのない週52時間制を実施するように要求する」とガイドラインを提示した。

また雇用を増やそうという労働時間短縮の趣旨とは異なり、むしろ雇用が減る逆説的な状況も発生している。企業雇用の運転手など、庶民の雇用が代表的な例だ。週最大52時間に制限された労働時間に合わせることができないからだ。

中小企業の慢性的な求人難も、労働時間の短縮を契機にさらに深まるだろう。労働時間の短縮のためにこれまでの2交代勤務制を3交代制に変更すると賃金の減少は避けられないが、さらに少ない金を与えるとなると中小企業で働くという志願者がそもそも姿を消すだろうというわけだ。
  • 毎日経済_ソン・イルソン記者/ソン・ミングン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-05-02 18:03:03




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