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『ジョニーエクスプレス』のウ・ギョンミン監督インタビュー

ウ監督「韓国アニメの問題はストーリー」 

  • 『ジョニーエクスプレス』のウ・ギョンミン監督インタビュー

「韓国アニメーションの弱点は技術や視覚効果ではなくストーリー」。

4年前、約5分の長さの短編アニメーション『ジョニーエクスプレス』をYouTubeに公開し、国際的な関心を得たウ・ギョンミン監督(34)の第一声だ。当時、作品は公開5日で再生回数200万回を超え、国産アニメーションでは前例のない人気を集めた。平凡な会社員だったウ・ギョンミン監督が世界的なアニメーション制作会社イルミネーションからラブコールを受けたきっかけでもある。人気アニメ『ミニオンズ』制作で有名なこの会社のクリス・メレダンドリ会長は『ジョニーエクスプレス』に対し、「今まで見たアニメの中で最も好きな作品の一つ」だと絶賛した。

ウ・ギョンミン監督が受けた注目は、残念ながら韓国アニメーション産業に対する関心までには拡散しなかった。『ポロロ』と『レディーバグ』などの子供向け作品は着実に輸出されているが、全年齢層をターゲットにしたアニメーションのうちで世界ヒットを収めた事例は出てきていない。

約4年のあいだイルミネーションと『ジョニーエクスプレス』の長編化作業に集中していたウ監督に、「グローバルアニメーション制作会社の特徴」を尋ねたところ、「ストーリーに対する執着が強く、シナリオが出るまでは動かない」と答えた。「彼らがコンテンツ企画とストーリーに投資する時間とコストは、私たちの数倍になります。多作のハリウッドスタジオも、一つのプロジェクトを3~4年のあいだ行う。すべてがそうではないだろうが、韓国で企画・開発時間を1年以上とるのは難しいと思います」。

ウ監督の初作品『ジョニーエクスプレス』が世界の心を捕らえた力もストーリーテリングにある。宇宙宅配便の「ジョニー」が肉眼では見ることができないほど小さなものを運んで体験するエピソードを盛り込んだ。彼は届け先と表記された惑星で誰も発見できずそこを離れるが、肝腎のその惑星のすべての住民は「ジョニー」の存在を確実に知ることになった。塵のような小包を配達された惑星の住民は、実際にその小包と同じくらい小さいわけだ。「ジョニー」が何も考えず踏み出し足と投げすてたゴミは、惑星の住民には大災害だった。「易地思之(相手あいての立場で考える)」というテーマを宇宙次元に拡張した発想の斬新さが目立つ。

ウ・ギョンミン監督はこの作品を作る時、モーショングラフィックスの専門会社アルフレッドイメージワークスのデザイナーだった。この会社はアニメ監督の夢を実現するために退社するというウ監督をつかまえた。そして短編作業に専念できる環境を作った。彼は『ジョニーエクスプレス』作業にかかった時間を、「シナリオと企画を全部含めて約1年」と回想した。5分の短編が世界的ヒットを放つにも、長い待ち時間が必要だったのだ。

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  • ウ・ギョンミン監督短編作品『ジョニーエクスプレス』


去る17日、ウ監督に会った場所はソウル市麻浦区のワールドカップ北路に位置するCJ ENMアニメーション部門だ。ウ監督は4月からCJ ENMのアニメーションパートナーシッププログラムのA:labとともに、50話にも及ぶ3Dコミックアニメシリーズを制作している。8ヶ月から最大2年までの作品の企画・開発・制作のための費用を支援するこのプログラムの趣旨は、ウ監督のアニメーション制作哲学ぴったり合致した。ウ監督が2年前に設立した「ブリックスタジオ(Brick Studio)」の8人はこの4ヶ月間、A:labでずっとキャラクターを描いて修正し、企画に完全に没頭している。

ウ監督は幼い頃からアニメ監督になりたかった。暮らし向きが心配になってアニメーション学科ではなく視覚パッケージデザイン学科に進学し、モーショングラフィックス企業に就職した彼は、いつの間にか韓国で最も注目されるアニメーション監督になった。ブリックスタジオを通じてリリースしたシリーズ物『甘い人生』は、1回ごとに10万~20万回の再生回数を記録し、20代の女性をターゲットにしたアニメーションの可能性を見せたという評価だ。

アニメ監督を夢見る人々のためにアドバイスをと言ったところ、ウ監督はピクサー・アニメーションの『トイ・ストーリー』の話を取り出した。「『トイストーリー』ではおもちゃのバズは自分が宇宙人だと思い、翼をひろげれば飛ぶことができると言います。ウッディはあなたのおもちゃで飛ぶことはできないと現実を話して黙らせる。ところが最後に見ると、バズとウッディがロケットに乗ったが墜落するシーンが出てくるんですよ。ウッディはもう俺たちは両方とも死ぬだろうと言ったその瞬間、バズが翼を広げて飛ぶ…。私たちはどのように翼を広げたらよいのか知らないのです。だからやりたいことを追求し続けていけばと思います」。
  • 毎日経済_パク・チャンヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-08-27 21:05:25




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