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韓国バイオ産業の信頼を損なう

サムスンバイオロジクスの粉飾、受注に打撃 

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サムスンバイオロジクス事件は意図的な重過失による不正会計という結論が下されて、バイオ業界は内憂外患の憂いが深まっている。 14日、サムスンバイオロジクスの株価が6%をこえて上昇し、市場は不確実性を解消させたことによる安堵の様子を見せたが、業界は続く悪材料に落ち着かない。バイオ大将株のセルトリオンとサムスンバイオロジクスの第3四半期の業績不振が連続したうえに、サムスンバイオロジクスの会計不正まで確定し、技術的な反騰が持続されることは難しいからだ。

実際にサムスンバイオロジクスは今回の結で、経営上の打撃は避けられないように見える。サムスンバイオロジクスの主要事業である医薬品受託製造(CMO)は企業の倫理規定が厳格であり、今後の受注が難しくなることがありうる。昨年10月に稼働した世界最大規模(バイオタンク基準で18万リットル)の第3工場によって、グローバルで最大のCMO企業になるという願望に支障をきたすことになる。業界の関係者は、「大手製薬会社は委託生産メーカーの財務的安定性はもちろん、道徳性にまで受注の定規にする」とし、「サムスンバイオロジクスの意図的な不正会計による信頼喪失で、CMO事業の機会は減るだろう」と評価した。

問題は、バイオ市場が大きくなりつつ資金と技術力で武装した海外の競争相手が増えている一方で、国内では政府の規制が解けない中に今回の事件まで起こり、業界に困難を加えているわけだ。競合他社の増加で製品価格の引き下げによる収益性悪化が表面化しているが、政府と民間が頭突きどころかお互いの不信だけがあふれている。

国内のバイオ産業の潜在力と成長性はこれまでの製薬分野よりも高いが、海外に乗り出して市場を先行獲得できるようにするためには政府の関心と支援が不足しているという指摘だ。

韓国輸出入銀行によると、全世界のバイオ医薬品市場は昨年の2410億ドルから、来る2021年には3440億ウォンに50%近く成長すると予想される。一方、国内のバイオ医薬品は医薬品全体に比べて14~15%水準にとどまっている。とは言え、バイオ産業の高い成長性に注目したグローバルな大型製薬会社がバイオ市場に続々と進出し、国内の各バイオ企業は緊張している。

セルトリオンの第3四半期の営業利益が前年同期より44%も低下したことも、競争激化にともなう供給単価の引き下げからだ。いまだに莫大な資金を投じてバイオ新薬を開発することは難しい状況であることを勘案すれば、国内のバイオ産業はバイオシミラー事業に死活をかけざるを得ない。業界関係者は、「米国食品医薬品局(FDA)は製造特許のほかに各種の物質特許を掲げ、バイオシミラーの販売時点を遅らせようとしている」とし、「単純に製造特許切れだけを見て製品を準備したが、出荷時期の遅延でコストはふくれあがり、訴訟にまで巻き込まれることがありうる」と指摘した。別の関係者は、「2010年の初めまで、国内外ではセルトリオンのバイオシミラー事業の展望に対して否定的にみていたが、その市場を韓国企業が先導して開いた」とし、「今まさに芽生えたバイオ産業が、各国で目に見えない壁が高まっているだけに、政府もバイオ産業の海外進出ロードマップを新たに組まなければならない」と強調した。

しかし政府と政界は、バイオ産業支援については事実上、手をこまねいている。2016年3月にバイオ産業の成長を妨げる規制解消を掲げて政府が発足させたバイオ特別委員会は、2年のあいだに一件の規制も撤廃していないままに解散した。

バイオ業界があげるクモの巣規制の一つは、遺伝子検査の分野だ。米国と欧州では、個人が認知症や乳がんなどの疾病の遺伝子を持っているかどうかを、コンビニなどで購入した遺伝子検査キットを購入し、企業に検査を依頼することができるが国内では禁止されている。病院ではなく、遺伝子検査業者が実施する別名「消費者直接依頼(DTC/Direct to consumer)」を通じた検査は、2016年6月末にコレステロール、血糖値、血圧、脱毛、肌の老化など12分野で許容されただけだ。
  • 毎日経済_キム・ビョンホ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-11-14 17:46:02




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