ソウル大に500億寄付した90歳



「人工知能(AI)など将来の技術に多大な投資をしている海外の一流大学にソウル大が遅れてはいけないという考えで寄付をすることになりました。ソウル大でも建物の造成にのみとどまるのではなく、優れた内容を満たすために努力してください」。

年老いてさらに最近は健康まで悪化して病院の世話になっているが、情熱ひとつで母校に500億ウォンを寄付することにした中堅企業オーナーのキム・ジョンシク大徳電子会長(90)の淡々とした願望だ。母校に解凍先端工学院(仮称)を設立するために「寄付天使」として乗り出した90代の老企業家の低い声には、工学教育に対する愛情が深くこめられていた。

キム会長は18日午前、ソウル大学の冠岳キャンパス行政課を直接訪ね「寄付出捐協約」を締結した。

この席でキム会長は、「今回の個人寄付はとつぜん決めたわけではない。経済的困難を経験している学生のために、これまで30年近く奨学金や教育施設をずっと寄付してきた」とし、「今回のソウル大ヘドン先端工学院の建設は、海外有数の教育機関がAI技術などの新たな未来技術に多大な投資をしている傾向に合わせ、ソウル大学工学部の新しい跳躍の足場として活用されることを希望する」とした。キム会長はまた、「教授と研究者が研究に集中できる良い環境を提供しようと寄付を決心した」とし、「学生たちにもより多くの助けになるように願う」という暖かい心を伝えた。

この日の寄付協約を通じて、キム会長がソウル大に寄託することにした金額は500億ウォンだ。寄託された資金は基礎研究から応用研究までを総網羅した、目的指向の融合・複合研究や教育を通じて未来を拓く人材を育成し、自由にコミュニケーションできる尖端動作システムの構築に使用される。またAI技術をプラットフォームとして、国家競争力の強化に必要なロボット、半導体、エネルギー、バイオなど工学の全分野の超格差融合を旺盛に追求できる、新概念の研究教育空間を構築するために使用される予定だ。

個人寄付者として金会長はこれまでソウル大工学部電子工学科と化学工学やヘドン学術情報室など、ソウル内の10カ所の教育・研究施設の建設を助けてきた。この日、キム会長とソウル大のあいだの寄付協約が締結されることによって、キム会長がソウル大に寄付してきた累積寄付金は657億ウォンとなった。個人の累積寄付では最も多い。

キム会長のこのような寄付愛は、昨日今日のことではない。キム会長は1991年「ヘドン科学文化財団」を設立し、研究者や大学生のための支援を30年近く続けてきた。ヘドン科学文化財団は発足1年前の1990年から毎年、科学技術分野の研究者に「ヘドン賞」を授賞している。韓国工学翰林院、韓国通信学会、韓国マイクロエレクトロニクスおよびパッケージング学会など4つの学会を対象に、これまで合計282人の研究者に1人当たり2500万ウォンの研究費を支援した。

2010年からは経済的条件が厳しい大学生280人あまりに、奨学金約22億ウォンを後援した。収益性が低いという理由で出版社が理工系学術書の発行をきらうようになると、韓国工学翰林院とともに2001年から18億ウォン以上を投資して学術書70冊を発行することもした。

またソウル大だけでなく、延世大・高麗大・釜山大・全州大など全国20の大学の工学部の建物にヘドン図書館の建設を支援するなど、国内の理工系研究者と大学の心強い後援者として支援を惜しまなかった。ソウル大ヘドン館、高麗大ヘドン閲覧室、国民大ヘドンクリエイターズライブラリ(Kreator`s Library)などの主要大学の建物の名称として「ヘドン」をそこここに見出すことができることも、キム会長の特別な寄付愛を示している。

ソウル大のオ・セジョン総長は、キム会長を「韓国の電子技術の発展を導いてきた生き証人として、大徳電子を電子部品産業分野の中核企業として育成させた国家産業発展の先駆者」と紹介した後、「さまざまな社会貢献活動を通じて社会の鑑みになっている会長の、貴重な志をうけて資金をわが国の競争力強化に貢献できる優れた技術人材を養成するために大切に活用したい」と語った。

一方、1965年に大徳産業として始めた大徳電子は、国内の電子産業の歴史をそのまま歩んできたプリント回路基板(PCB)メーカーだ。過去にはラジオと白黒・カラーテレビに使われる部品を主に生産したが、現在ではスマートフォンや5G(第5世代)移動通信等などに必要なPCBを製造している。昨年の売上げは9600億ウォンだった。キム会長の息子であるキム・ヨンジェ代表は、2012年からサムスン電子の協力会社協議会の会長を務めている。
  • 毎日経済_キム・ヒレ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-02-18 17:52:02