「微細粉塵解決伝道師」チン・デジェ元長官

チン・デジェ前情報通信部長官 

  • チン・デジェ元情報通信部長官が2日、光化門広場で微細粉塵のステータスが表示されたスマートフォンのアプリを見せてくれて微細粉塵の問題を解決するための方案を説明している。チン元長官は「タバコの煙はさけて通り、火力発電所の近くに行かなければ良いが、ソウルを覆った微細粉塵10トンはどうしようもないのか」とし、「子供たちにきれいな空気を譲るために、できるかぎり最善の努力を尽くさなければならない」と述べた。 写真:イ・スンファン記者



「さいきんの数年間、大韓民国の人々の日常を最も大きく変えた主犯が何であるかを知っています?国民の10人中で7人が大統領とソウル市長の最優先課題としてあげたことが何でしょう?まさに微細粉塵(PM2.5)です。全世界の微細粉塵フローチャートを見ていますが、中国、インド、サハラ砂漠などのごく一部を除いてわが国が一番ひどい…。これを解決せずに、いかにして大韓民国の未来を語ることができますか?」

2020年の新年にも間違いなく微細粉塵が襲った。ほとんどの企業が仕事始めを行った去る2日、もやのような微細粉塵が落ちた光化門広場で、チン・デジェ前情報通信部(現科学技術情報通信部)長官に会った。チン元長官はソウル大と米スタンフォード大学院で電子工学を専攻し、サムスン電子代表取締役と情報通信部長官を務めた国内最高の半導体専門家の一人だ。

昨年まで韓国ブロックチェーン協会の初代会長を務め、現在はスカイレイク・インベストメントという投資会社を経営している最高経営責任者(CEO)でもある。昨年は毎日経済新聞の名誉記者を務め、「週52時間制」の一括的な適用がもたらす弊害を辛辣に指摘する記事を書くこともした。そんな同氏は最近、「微細粉塵解決伝道師」を自任して乗り出した。「社団法人微細粉塵フォーラム」を組織してソウル市革新成長委員長を務め、微細粉塵を解決するための多様なプロジェクトを主導している。この1年のあいだ全国を歩き回って毎週専門家に会って研究したという同氏は、いつの間にか「微細粉塵博士」になっていた。

チン元長官はこの日、光化門広場で記者と会ってすぐにスマートフォンで見ていた世界の微細粉塵フローチャート(EarthNullSchool)を示し、心配ごとを吐き出した。

「人々は火力発電所が吐き出す汚染物質を心配するが、しかし実際にそれはいくらもない。ソウル市全体の面積が600平方キロメートルほどになるが、南山の高さなみの300メートル上空にある微細粉塵をすべて集めればどれくらいか知っていますか?なんと9~10トンです。 10トンがソウル市全体を押さえつけているんです。韓国全国で計算してみるなら、はるかに多いでしょう。細かい汚れがひどい日は中国の影響が大きいけれど、私たちが自分たちで作るものも多い。1・2次発生を根本的に防ぐことができる長期の研究を開始し、すぐに今日から空気を浄化できる緊急対策を整えるべきです」。

チン元長官は科学技術で微細粉塵を解決することができるし、必ず解決しなければならないと強調した。 277ヶ所に達するソウル市内の地下鉄駅に空気浄化装置を設置して、「微細粉塵避難区域」を作るという奇抜な構想も打ち出した。「微細粉塵解決」を国の研究課題として人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)など、第4次産業革命時代の新技術を取り入れたならば、それは大韓民国の将来の有望産業になるともした。次は一問一答。

- 世界的な半導体の成功神話を書いて韓国情報通信技術(ICT)政策を主管していた方がとつぜん「微細粉塵解決伝道師」になった?

△ 「微細粉塵のために移民する」という言葉をあまりに頻繁に聞いて負けん気が起きた。二度とそんなことを言えないように、私が解決すると決めて研究を開始した。サムスン電子の社長時代の半導体クリーンルームのシステムを覗いて回った。その原理を適用するとどうだろうかと考えたが、充分に効果を得ることができるみたいだ。パク・ウォンスン市長も微細粉塵に対する悩みが多かったところ、ソウル市内の地下鉄駅から変えてみようと意気投合した。1000万人が利用する「市民の足」でしょう(ソウル交通公社によると地下鉄一日の利用者は725万人に達している)。

- 半導体クリーンプロセスシステムを地下鉄の駅に適用すると?

△ それほど精密にはできないが、似たような装置でも効果は大きい。超微細粉塵が小さいと思うが、たったひとつだけが半導体に落ちても「岩の塊」レベルになる。 10ナノメートル単位の現在の半導体プロセスでは、超微細粉塵の100分の1ほどの大きさのホコリだけでも品質には致命的だ。半導体クリーンルームシステムは、微細粉塵よりもはるかに小さい物質まで濾過している。特にクリーンルーム内では空気を循環させてフィルターで濾過し、生産機械そのものも汚れが発生しないように特別な管理を行う。クリーンルームの空気中に漂うホコリはなくはないが、あってもサッカー場の砂の粒のひとつかふたつほどだ。

- 現在の単純な空気排出口の役割をする地下鉄換気口を、一種の浄化フィルタとして利用する?

△ そうだ。十分に実現可能だ。計画通りにうまくいけば、微細粉塵のひどい日には地下鉄駅に「避難」しても良いほど空気の質が良くなるだろう。ソウル市がいま地下鉄の駅内の空気浄化に多くの努力を傾けているが、これは単純な換気方法では限界があり、細かいホコリがひどい日はむしろ空気の質が悪くなる。国民が微細粉塵の解決策はないと絶望していないだろうか。まずは地下鉄浄化装置で時間を稼ごうということだ。誰でも利用できる地下鉄駅の空気がきれいになると、「何か少しずつ良くなってる」という期待を植え付けることができる。

- 本当に可能だろうか、という気がする面白いアイデアだ。読者が理解できるように簡単に説明を。

△ 地下鉄は電車、駅舎、乗り場(ホーム)、トンネルの4空間に分けられる。電車の中の空気は集塵機があり、悪くはない。微細粉塵が「ふつう」の日は大気中の粉塵濃度が40~50?/?だが、駅舎の内部はこれと似ていて、乗り場は80~100?/?と見れば良い。ところが電車が行き来しながら金属性の汚れを吹き出すトンネルの中は常時200~300?/?だ。このほこりが電車が入ってくる時に、いっしょに乗り場に押されて入ってくる。このトンネルの中の微細粉塵をどのように濾過するか。ブレーキをかけるときに金属性の汚れが集中して発生するから、そこに取り付けることができる粉塵低減装置を開発して、ソウル全域の地下鉄駅が277ヶ所で換気口がトンネル・駅舎を含んで2231ヶ所あるのでここに集塵機をつけようということだ。入ってくる空気から微細粉塵を除去し、出て行く空気も微細粉塵をろ過する双方向集塵機だ。実際にシミュレーションしてみると、非常によくはじき出す。短い時間の中で微細粉塵の濃度を、いまのほぼ半分に減らすことができる。

- ソウル市と微細粉塵を解決する企業を見つける「ソウルグローバルチャレンジ」も開催している。世界中の企業がさまざまなアイデア製品を持ってきたらしいが。

△ いま2段階の審査を進めているさいちゅうだ。 1等賞金が5億ウォンだ。今は実際の製品をソウル駅に設置しておいて、効果を検証する段階だ。 A社は車に使うガソリンに汚れがあるといけないので、自動車に装着するガソリンフィルターを製造する会社だ。グローバル市場での占有率が60~70%だ。これを微粒子フィルタとして使おうと再び開発しているが、一部が今回のチャレンジに乗り出した。 B社は韓国のトンネル内の微細粉塵を除去する装置を作る会社だが、それを地下鉄駅に使ってみることはできないかと言ったらびっくりしていた。彼らもできなかったアイデアだったわけだ。他にも興味深い製品が多く出品された。結果が期待される。

- 長期的な問題の解決も重要だと指摘した。中国の影響は3分の1の水準だという言葉は正しい?

△ 冬に西風が吹くから、韓国に多く来る。ひどい日は中国からのほこりが70%ほどになる。 1年平均で30%を超え、家庭で褐炭を燃やす北韓の影響も10%ほどになる。残りは私たち自身が作るわけだ。泰安火力発電所にも直接行ってみた。そこの10本の煙突から一日中出るホコリをすべて合わせても200キログラムしかない。ところがソウルの空には一日で10トンが浮いている。泰安火力発電所の微細粉塵が飛んできても、ソウルの微細粉塵とは次元が違う。なぜ違う?ほこりが空気中の水分、オゾン、有機物質、金属物質と合わさるからだ。微細粉塵が空気中に出てきて10倍ほどにふくれるわけで、これは2次発生だ。微細粉塵と化合物がどのように結合するのかはまだわからない。ディーゼル車規制などの1次発生の低減も正しいが、この2次発生の原因を研究することが重要だ。この結合は化学的に強力ではない。発生と消滅のメカニズムを理解することで解決できる、これが私の持論だ。

- 実際にはソウル市ではなく、国が乗り出すべき問題だ。

△ そのとおり。政府が研究課題に多くの支援を行ってAIも育成すると言うが、具体的な社会問題の解決プロジェクトを多く行うと良いのだが。例えばさまざまな微細粉塵の原因があるが、具体的にどこでどれだけ粉塵が発生するのか、どこにとどまってどこに移動するのか、空気中に残っているかどうか消えるのか、消えるならばどのような方法で消えるのか、このような研究にAIとIoT技術が融合されるべきだろう。

- テドロス・アドハノンWHO事務総長が「大気汚染は新種のタバコ」だと言っていた。 2015年の時点で大気汚染による早期死亡者が880万人に達するという、ドイツのマックスプランク研究所の研究結果もある。

△ タバコの煙は避けることができるだろうが、微細粉塵は避ける道理がない。地球全域に視点を広げてみると、中国とサウジアラビアなどのわが国と同じくらいの緯度(38度前後)の暖かい近所はたいてい微細粉塵がひどい。 2019年3月5日に大韓民国が世界最悪だったとき、ソウル市の微細粉塵濃度は195?/m3だった。インドのような場合、重度の日は1000?/m3を超える。ヨーロッパはいくつかの都市を除いてきれいで、米国と日本もそのような悩みがないためにこの分野の研究には消極的だ。中国はすぐにも自分たちが暮らせないので熱心に研究しているわけだ。韓国がこの問題を解くことができれば、それが4次産業革命であり、革新だ。抽象的で途方もない概念ではなく、すぐにでも私たちが必要なものを作ればいいのだ。

- ソウル革新成長委員長の資格でパク・ウォンスン市長とラスベガスで開催されるCES展示にも参加するというが。

△ 以前はテレビが主力だったが、今ではモビリティとAI、5G、デジタル革新コンテンツが多くなったらしい。まったく解決されないような問題を解決するには「特別な想像」をできなければならない。そのような考えをたくさん得てこようと思っている。

- 2019年には週52時間制の例外許可に先駆けとなったが、2020年には微細粉塵を解決するために乗り出した。

△ 研究者出身だから、はっきりと見える問題を解決できないと腹が立つ。全国民を脅かす「サイレントキラー」が大手を振っているのに、どんなことをしてでも何とかなくす方法を見つける必要があるだろう。子供たちはこの汚れのツボの中で生きるのか。私には孫が6人いて、妻は呼吸器が弱い。今すぐできることを先に行い、根本的な原因にさかのぼって問題を解決しようという考えだ。その開始が地下鉄だ。私が引退すると地下鉄に乗って通うのに、その時はきれいな空気を吸うことができたらいいねえ。

▲ チン・デジェ元長官は...

△ 1952年慶南・宜寧生まれ、△京畿高卒、△ソウル大学電子工学修士号、△米スタンフォード大学院電子工学博士、△IBMワトソン研究所研究員、△サムスン電子米国法人首席研究員、△サムスン電子中央研究所長、△三星電子代表理事、△情報通信部長官、△韓国ブロックチェーン協会長、△スカイレーク・インベストメント会長、△ソウル市革新成長委員長
  • 毎日経済_シン・チャノク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-01-08 06:48:40