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[コラム]「土亭秘訣」を見ただろうか?


朝鮮時代の奇人、土亭(トジョン)イ・ジハム(李之咸)は、自分の墓の上にいつも雷が鳴るという予言を残し、この世を去ったと伝えられている。後代に彼の墓の近くに送電塔が出来たそうですから、予言が的中したのだ。

イ・ジハムは、親友のアン・ミョンセが権力争いで命を失い、海と島を渡り歩きながら草野の中で 暮らした。妻の実家に災いが訪れるという予言も、官職に就いていた兄に予め聞かせていたそうだ。

もともと奇人であるため、数多くの文献に登場する人物だが、韓国の民衆は『土亭秘結』を作った人物だと考えられている。言い換えれば、イ・ジハムは知らなくても、 土亭は知っているという話だ。

土亭秘訣は生年月日を計算して運勢を見る図書だ。全体144卦*でチュヨクの424卦に比べたらはるかに少ない。
*人の運勢を144種類に分類したという意味。

年末年初には、書店に『土亭秘訣』が並べられ、ウェブサイトにも「土亭秘訣」または「新年の運勢」という名でサービスされている。

陰と陽が和合すると、万物は生気を得るだろう。夫婦の場合は貴い子を得る慶事があるだろう。名が高い上に権勢があるから、ますます万事が上手くいくだろう。恩人がいつも助けてくれるから財物運が上がり多くの財物と利益を得るだろう。駅馬が門に着くから門の外に出れば成功するだろう。常に心に徳を積み、その徳を人々に施すと、すべての人々が仰ぎ、福禄が自ら訪れるだろう。

その中のあるウェブサイトから選んだ筆者の「新年の運勢」だ。合ってるかって?
当たるか当たらないかとは別に、とんでもない文句が多い。この歳で子供だなんて、笑ってしまう。しかし、一度は読んでみる価値はある。

常に徳を積んで、その徳を人々に施せという言葉は耳を傾けるべきでしょう。

儒学者としての土亭イ・ジハムのあらゆる面を重視する人々は、イ・ジハムを『土亭秘訣』の著者として認めようとしない。彼の死後、雑学や占いに長けた人が名前を借りて出した本だという主張が強く支持されるほどだ。

『土亭秘訣』が人々を惑わす図書なら、そのような主張が正しいのかもしれない。しかし、『土亭秘訣』を細かく読んでみると、図書というより、人々に警戒心を呼び覚まし、生き方を指導し、希望を抱かせるという意図が強いことが分かる。

土亭イ・ジハムは、56歳に田舎の学者に与えられる官職を受け、抱川県監になった。しかし、食べ物がなくて飢えている国民を救おうという上訴が無視され、直ちに辞職した。5年後、再び牙山県監に任命されると、乞人庁を立てるなど、国民を救うことをしてから、この世を去った。

貧しくて飢えた国民、官吏と土豪に怯えて暮らす貧しい国民に対する憐憫の心を込めて希望のメッセージである『土亭秘訣』を書いたのかもしれない。

彼のメッセージは働き口、所得、家、愛と結婚、赤ちゃんすら持つことができない5無世代を慰労している。希望だけは捨てずに、西の方から、いや、東西南北から、すぐ奇人が来るだろうから、我慢して耐えなさいと応援しているのだ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2019-12-31 00:00:00




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