サムスン李副会長、現場経営再開


「経営権承継・無労組経営」を放棄し、これまでの経営慣行を謝罪した李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長は今週、現場経営を再開して「非常経営」の手綱を締める。

サムスン電子は、△コロナ19の不確実性と実績鈍化、△中国などの牽制と追撃、△米・中貿易紛争の再発可能性、△各種裁判と捜査にともなう組織の混乱などに囲まれて「複合危機」にあるというのが専門家らの分析だ。このことから李副会長は昨年7月以降、緊急経営を続けている。

李副会長は「国格に合った超一流のサムスン」を作るという意志を固めたが、これを実現するために、△危機管理、△大型買収・合併(M&A)と超一流の人材迎え入れ、△成長動力の発掘と大型投資、△システム半導体など戦略事業の育成、△グローバルネットワークの拡大など、多くの課題を解決していかなければならない。

特にグローバルな各企業はコロナ19以降の市場主導権を握るために、M&Aなどのさまざまな準備を行っているだけに、サムスンと李副会長もすばやくて果敢な投資や意思決定を通じて競争力を高めなければならないという声が多い。

12日の財界によると、李副会長は6日にこれまでの経営慣行を謝罪した後、今週から現場経営を再開することが伝えられた。外部には公開されなかったが、李副会長は4月中旬以降も現場を訪問したり主要社長団との会合を続け、危機的状況を点検し、コロナ19以後の新しい市場秩序のための戦略などを策定したことが分かった。李副会長は先週、対国民謝罪で事業と関連し、危機の要素、果敢な新事業への挑戦、人材迎え入れ、国格に合ったニューサムスン達成などを提示しただけに、今後の経営の動きの中でかなりの部分はここに焦点を当てているようだ。これによって非常経営を通じた危機管理と大型のM&Aを模索し、新規投資の検討などに積極的に乗り出すものと見られる。李副会長は昨年7月から緊急経営を続けてきて、「複合危機」克服のためのさまざまな試みをしている。

サムスン電子はコロナ19事態によって、全事業部門で高い不確実性に直面している。家電・テレビ・スマートフォンなどは先月、グローバルな販売網と多くの生産ラインが麻痺し、第2四半期の業績が悪化するだろうという懸念が大きい。支えの半導体さえも、今年の業況見通しは悲観的に流れている。市場調査会社のIDCは、今年の世界半導体市場は前年比4.2%逆成長するという見通しを出した。またメモリ分野では中国の半導体企業が追撃の速度を高めている。最近、中国のCSIC(Changxin Storage Integrated Circuit)は17ナノメートル工程のDRAMを年内に量産する計画を発表したが、これが実現するとサムスン電子との技術格差は3年ほど縮まるというのが業界の分析だ。

しかしサムスン電子などは2016年から国政壟断事件、2018年からはサムスンバイオロジクス粉飾会計疑惑、労組瓦解疑惑などで捜査と裁判を受けている。この過程で、主要経営陣が数十回召喚されており、主要系列会社の家宅捜索も数十回続いて組織の雰囲気は動揺する状況だ。

カイストのイ・ビョンテ経営学教授は、「コロナ19危機が世界経済とサムスンなどにどれほど大きく襲うか分からない状況」だとし、「サムスンは中国企業の激しい挑戦と牽制まで受けており、複合危機に近い」と説明した。同氏は続けて、「サムスンがコロナ19以後を準備するためには、新技術と新事業のM&Aに乗り出して果敢かつ迅速に投資すべき時に、さまざまな捜査と裁判などで主要経営陣が召還されるなど、組織が混乱を経験して意思決定が遅くなるかと心配になる」と付け加えた。同教授は「いま企業にはコロナ19以降に跳躍を準備できるゴールデンタイムであるだけに、将来の準備をして、迅速・正確な意思決定を行うことができる企業環境を作るのが重要な時点」だとし、「企業経営を動揺させたり政治化しようとする雰囲気は望ましくない」と指摘した。

財界では李副会長の核心課題として、成長動力育成のための果敢な投資とM&Aなどをあげる。米インテルは最近、コロナ19状況でもモビリティ事業強化のためにイスラエルの会社「ムービット」を9億ドルで買収すると発表した。これに比べてサムスン電子は2017年、米の電装企業ハーマンを約9兆ウォンで買収した後、大型のM&Aに乗り出していない。コロナ19で技術企業が流動性危機によって売りに出てくる可能性があるだけに、サムスン電子もM&Aに乗り出す必要があり、このプロセスでは李副会長と主要経営陣の迅速・正確な意思決定と実行力が重要だと財界は分析する。

ソウル大経営学科のイ・ギョンムク教授は、「サムスンはM&Aを通じた成長動力の発掘が必要な状況だが、成功のM&Aのためには李副会長のグローバルネットワークを積極的に活用しなければならない」と語った。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/チョン・ギョンウン記者/ファン・スンミン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-05-12 21:35:32