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零細商店中心だった地下鉄駅が主要商圏に変貌中

地下鉄駅商圏の特徴、千ウォンコーヒー・1万ウォン下着など実利商品が大人気 

  • 零細商店中心だった地下鉄駅が主要商圏に変貌中
  • < 地下鉄駅で80か所余りの売場を運営中の下着ブランド「ダブ」>

売店や女性アクセサリー売場など零細商店中心だった地下鉄駅が主要商圏に変貌中だ。化粧品売り場、製菓店などフランチャイズブランドが2000年代中盤から地下鉄駅内に増え始め、最近ではコンビニ、コーヒー専門店、下着売場など業種を拡大した。新盆唐線と9号線は、当初から商街入店を念頭に置いて設計され、快適で広い空間に通常1階商圏と変わりのない飲食店、カフェブランドが入店している。これまで流動人口は多いが主要商圏として注目を受けられなかった地下鉄駅に対する認識が変わっているわけだ。

最近、地下鉄駅内で最も攻撃的に店舗を増やす業種は、コンビニと低価コーヒーを売るカフェだ。コンビニ「セブンイレブン」はここ3か月間、地下鉄駅売場だけで22か所増やした。セブンイレブンは1~4号線地下鉄駅内に昨年10月末14か所、11月中旬8か所の新規売場を開いた。現在ソウル、釜山の地下鉄駅で運営するコンビニだけで合計137か所に達する。外食業者ミスターピザは、あえて地下鉄駅内の空間だけを狙ったブランド「マノフィンエクスプレス」を出した。このブランドもまた3か月後に売場を20か所増やし、合計27か所の地下鉄駅売場を運営中だ。

同種業界ブランド間の激しい競争が地下鉄駅内で繰り広げられもした。これまで街頭店の強者ダンキンドーナツは、2009年から地下鉄駅内に入店し始め、現在地下鉄1~8号線に25か所の売場を運営中だ。今年だけで新盆唐線の板橋駅店を含め、合計9か所の売場を増やした。これに対抗しミスタードーナツを運営するGSは、昨年下半期1~4号線の遊休空間18か所を確保し、売場4か所を開設した状態だ。これ以外にも、2004年地下鉄駅商圏に初めて進出したフランチャイズブランド「ザ・フェイスショップ」は、競争ブランド「ミシャ」とすでに一度激しい競争を繰り広げた。2つのブランドは相変わらずそれぞれおよそ70か所以上の地下鉄駅売場を運営し競争している。

業界の後発走者がブランド出資初期から地下鉄駅売場を戦略的に攻略する場合もある。代表的なブランドが製パンブランド「ブレッドアンドコー(Bread&Co.)」と低価下着ブランド「ダブ(dab)」だ。2008年新羅銘菓の新しいブランドとして出資されたブレッドアンドコーは、合計50か所余りの売場のなか、12か所が光化門(クァンファムン)駅、舎堂駅、江南区庁駅など地下鉄駅に入店した。低価下着で有名なダブは、あえて地下鉄駅商圏を念頭に置いてつくられたブランドだ。2005年設立当時から地下鉄駅商圏に食い込み、現在190か所の売場を保有した下着ブランドとして成長した。全体190か所のなか、80か所余りが地下鉄駅売場だ。

▶ 切符売り場・駅務室が売場へ変身


このように、地下鉄駅内の商圏が注目を受ける理由は、既存の商圏に対する競争が激しくなったうえに地下鉄駅内に快適な遊休空間が増えたためだ。または天気と関係なく流動人口が多く、権利金(※)などがなく相対的に賃貸料が安い点も業者の関心を呼んだ。

最近、地下鉄駅売場が立ち入る所は主に切符売り場、顧客案内センター、駅務室などとして活用されていた所だ。忠武路駅、景福宮駅、安国駅などには切符売り場があった空間にコンビニのセブンイレブンが入り、明洞駅、新村駅、舎堂駅などでは顧客案内センターがあった所にコーヒー専門店マノフィンが入店した。ソウルメトロ関係者は「交通カードが大衆化しながら切符売り場、顧客案内センターなどの空間が大幅に減った。空いた空間にフランチャイズブランドの入店が増えている」と明らかになった。

既存商圏の競争が激しくなった点も地下鉄駅売場が増えた理由だ。コンビニのセブンイレブンを運営する「コリアセブン」は、コンビニ業界の激しい競争の中で地下鉄駅内を新しい売場立地とするのにいち早く関心を持った。最初のコンビニを開いた時期が2007年8月で、業界で最も早かった。コリアセブンは着実に地下鉄駅コンビニを増やし、現在首都圏に119か所、釜山に18か所など合計137か所を運営中だ。コリアセブンのチェ・ミンホ課長は「地下鉄駅売場は流動人口が多く、高油価で大衆交通を利用する人が増えながら、売上が着実に増加している。地下鉄駅内97か所の売場の売上が昨年より15%以上増えた」と明かした。セブンイレブンが先だって出るやいなや、GS25とファミリーマートも地下鉄駅売場を増やしている。現在、地下鉄駅売場はGS25が52か所、ファミリーマートが34か所に達する。

▶ マノフィン990ウォンコーヒー、一日1000杯ずつ販売


マノフィンエクスプレスとダブコリアは、地下鉄駅商圏に合う商品を全面に出した。マノフィンの代表商品は990ウォンのアメリカーノだ。マノフィンのオ・ジヘ代理は「出退勤時間にコーヒー一杯を飲みたい需要があるが、実際に4000~5000ウォンのコーヒーを飲むのは負担に感じる。マノフィンの990ウォンアメリカーノは、よく売れる所で一日1000杯を超えて売れるほど人気が高い」と明らかにした。

実際に舎堂駅ではアメリカーノが一日平均1000杯を超えて売れ、新林駅では平均700杯以上が販売される。新林駅マノフィン売場は、コーヒーと手製マフィンなどを合わせ、一日売上額が300万~400万ウォンに達する。マノフィン側は「マノフィンは、競争が激しいコーヒー専門店市場で後発走者として入ってきたため、地下鉄商圏の利点を活用してブランド認知度を高めようとし、地下鉄利用客は目的地に向かって移動するためテイクアウト売場が適切だとみなされた」と説明した。マノフィンは地下鉄駅全ての売場を直営で運営中だ。

全国190か所の売場を保有する下着ブランドとして成長したダブコリアは、最初から地下鉄商圏に合う実用的な価格帯を出してきた。販売台には1万ウォン内外の下着を陳列して消費者を誘引し、売場内にも最も高い製品が3万ウォンを超えない。ダブコリア関係者は「地下鉄で販売するにはまず安くて実用的でなければならないと判断した。2つの条件を全て充足した品目がまさに下着」だと説明した。

業界関係者も「地下商街では、以前からブランドのない女性衣類、アクセサリーなどが多く販売されるなど、女性の消費者を掴むことが重要だった。下着は百貨店に行って買うには少し高く、そうかといって別の所で買うにはふさわしくなかったが、接近性の良い地下鉄駅でブランド下着を安く販売するという戦略が功を奏した」と分析した。

2008年に1号店を出した新羅銘菓の系列社ブレッドアンドコーは、初期より地下鉄駅売場と一般の地上売場をともに開設する戦略を駆使した。ブレッドアンドコー側関係者は「地下鉄駅に入る理由は2種類だった。1番目は、未だパリバケットとトゥレジュールが入らない商圏だったという点と、2つ目は今後、競争のためブレッドアンドコーのブランドを知らせるためだった」と説明した。新羅銘菓は、新しく披露したレストランブランドBRCDの売場4か所を地下鉄駅に開くほど、この商圏に力を入れている。

店を開く費用が、地上売場より安いことも地下鉄駅商圏の長所だ。地下鉄駅売場は、地上売場より月の賃貸料が安く、権利金が存在しない。実際に、マノフィン20店舗を3年間賃貸する費用が合計40億ウォンだ。ひとつの店舗あたり月の賃貸料が550万ウォンということだ。そのかわり権利金はない。ミスタードーナツを運営するGSもまた、18か所の店舗を3年間33億ウォンで賃貸する条件でソウルメトロと契約を締結した。やはりひとつの店舗あたりの賃貸料は500万ウォンラインだ。トップエスティーシー創業コンサルティングのチュ・ソンホ室長は「地下鉄駅は公開入札形式で入るため、権利金がない。おかげで売場ひとつを開くたびに数億ウォンがかかる地上売場よりはるかに開店費用が安い」と明かした。

▶ 商圏が活性化しながら利権争いも熾烈


地下鉄駅商圏が浮上しながら発生する問題点もある。既存の商圏と同様に売場確保をめぐった競争が激しくなり、これを決定する権限がソウルメトロ(地下鉄1~4号線)、ソウル都市鉄道公社(5~8号線)にあるため、ロビーや不正疑惑があらわになっている。

昨年12月、ソウル中央地方検察庁特殊2部は、地下鉄商街賃貸事業をするWグループ会長のシム氏(58)を、ソウルメトロとソウル都市鉄道公社の幹部に数億ウォンのロビー資金をまいたという疑惑で拘束した。ソウル都市鉄道公社は、5~8号線電鉄駅の遊休空間を開発する1兆ウォン台の工事事業である「ハッピーゾーン」を造成しながら、民間委託業者と法廷攻防を繰り広げている。2010年7月、ソウル都市鉄道公社は該当業者を優先交渉対象として選定したが、該当業者に対する特恵疑惑があるとソウル市が特別監査を断行した。監査の結果、一部法令違反の事実があらわになり、結局ソウル都市鉄道公社は該当業者に契約解約を通告した。

現在、この業者が解約通告が不当であると訴訟を提起し、1年以上裁判が進行中だ。ソウル都市鉄道公社側は「高等法院判決までは勝訴し、今年第1四半期内には大法院判決が出ると予想している」と明かした。現在、遊休空間が多い5~8号線の地下鉄駅開発は、ハッピーゾーン事業をめぐった法廷攻防により全面中断された状態だ。

ブランド売場が地下鉄駅で飲料、スナック、新聞などを販売していた既存の零細販売店を萎縮させたという点もまた異なる問題点だ。この販売店は、ほとんど零細商人が運営するうえに、販売品目までコンビニ、カフェなどと重複する。忠武路駅で新聞・飲料販売店を運営するキム氏は「企業型スーパーマーケット(SSM)が地域商圏に進出し、そうでなくとも生計型自営業者の生活が難しくなっているのに、コンビニなどが地下鉄商圏まで蚕食している」と声を高めた。

▶ 地下鉄駅商圏の特徴


1.天気に関係なく多い流動人口
2.安くて実用的な商品人気
3.即席食品と飲食品販売量多い

  • 毎日経済エコノミー_ユン・ヒョンジュン記者/写真パク・ジョンヒ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2012-02-04 13:45:14




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