韓、崩れる自動車産業の生態系


  • 韓国自動車産業の年間生産量の推移


国内の自動車産業の基盤が急速に崩れている。「コロナ19」の拡散をきっかけに崩壊の速度はいっそう速くなったという診断だ。 15日の関税庁によると、7月初めの(1~10日)全輸出額は133億ドルで前年同期との比較で1.7%の減少に抑えたにもかかわらず、同じ期間における自動車部品の輸出は34%も急減した。これによって今年1月から7月10日までの累積での自動車部品の輸出規模は、昨年の同期よりも28.5%減少した。

世界的な「自動車需要の絶壁」が連鎖的に部品メーカーの輸出不振につながる局面だ。韓国の部品メーカーは1次協力会社850社と、2・3次協力会社8000社の計1万前後と推算される。誘発する生産額はすべて100兆ウォンで、直接雇用人員は26万人に達している。すでにほとんどの部品メーカーは経営難に苦しんでいる。

毎日経済が最近、自動車部品メーカー55社に経営環境に対する緊急調査(3つの項目複数回答)を実施した結果、現在の企業環境で最大のリスク要因としては「海外輸出量の減少」(38社・23% )があげられた。米国・ヨーロッパ・中国など世界の主要市場にコロナ19が拡散して、世界的な自動車メーカーの工場の稼動中断とともに消費心理までが萎縮したためだ。国際格付け会社のムーディーズによると、今年の全世界の自動車販売台数は7200万台で、前年(9026万台)に比べて20%以上も急減する見通しだ。

これと関連して、今年の韓国の自動車生産量も約20%減の320万台レベルにとどまる見通しだ。また部品メーカーは「最低賃金引き上げによる人件費の負担加重」(32社・19.4%)、「新規資金調達の隘路」(29社・17.6%)、「週52時間制の本格施行」(18社・10.9%)などが経営上の問題点だと答えた。輸出の道がふさがってしまったせいで工場を停めなければならない局面だが、毎年上がる最低賃金と銀行融資の高い敷居、週52時間制の全面施行などで苦痛が加重しているという声だ。このほかに「銀行融資の返済」(7社・4.2%)、「完成車企業の電気自動車への転換が加速」(5社・3%)、「労組が経営を圧迫」(4社・2.4%)などもともに議論された。

自動車産業協同組合のコ・ムンス専務は、「部品メーカー1社が不渡りを出して工場を停止したら、完成車メーカーまでが工場を停めるしかないのが、わが国の自動車産業の現実」だとし、「政府で金融支援機関が自動車部品メーカーの未来価値などを反映して、滞りなく対応しているかどうか調べてもらいたい」とした。

韓国の部品メーカーは自動車産業の生態系を生かすためには、△最低賃金の引き上げ速度を調節、△自動車産業への流動性供給の拡大、△週52時間制の施行例外適用、△企業税の猶予と減免拡大、△雇用維持時に政府支援金の条件緩和などを政府で優先的に実施しなければならないと要求した。国内業界全体の雇用の7.1%である190万3000人を占める自動車・部品産業が崩壊した場合、その波紋は想像できないほど大きいからだ。

専門家らは政府が部品業界のための緊急対策を整えるとともに、産業構造の調整とパラダイムの変化にともなう業種転換支援などを総合的に検討しなければならないだろうと声を集めた。韓国の部品メーカーが垂直下請け構造制度の下で、低営業利益率と研究開発投資の不十分などで競争力を失ったせいでここ数年のあいだ危機的状況が繰り返されているからだ。

産業研究院のイ・ハング選任研究委員は、「韓国はずいぶん前から専属取引き制度が定着しており、自動車メーカーの成長期には部品メーカーも同伴成長したが最近は低迷に転じ、部品メーカーが最初に打撃を受けている」とし、「韓国の部品メーカーは特定企業への依存度が高いうえ、自立経営能力さえ不足している状況だ」と指摘した。

産業研究院によると、2018年を基準に韓国の自動車産業のR&D投資規模は、ドイツ49兆ウォン、日本32兆ウォン、米国27兆ウォン、韓国8兆4000億ウォンと集計された。ドイツの自動車部品メーカーのボッシュが一年に7兆ウォン以上投資する一方で、韓国の各部品メーカーの研究開発費は2兆5000億ウォン水準に過ぎない。

イ・ハング選任研究委員は、「米国は過去の金融危機をきっかけに、大規模な自動車産業の構造調整を行いながら、尖端技術企業を1200社以上も育成し、日本でも2014年に系列社を中心に垂直下請け構造から脱却し、電装部品企業が大挙増えた」とし、「国内ではさらに一歩を進めて、自動車産業の構造改編と事業高度化にまで知恵を集めなければならない時点」だと強調した。

韓国自動車産業協会のキム・ジュンギュ運営委員長は、「今年はコロナ19で輸出の道がさえぎられて生産量が30%以上も減ったうえに最低賃金の引き上げ、週52時間勤務制などまでが加わって、赤字を出したり事業を放棄する部品メーカーが続出する可能性が高い」と語った。同氏は続けて「韓国の部品メーカーは営業利益率が2~3%程度に過ぎないため、これまで研究開発分野にはほとんど投資していない」とし、「米国・日本の部品メーカーと競争するためには産学協力などで専門研究人材を養成し、水素電気自動車へのパラダイム転換に合わせて事業構造を転換しなければならない」と診断した。

2016年に中国の「サード(THAAD/高高度ミサイル防衛システム)」事態以降、国内の完成車・部品メーカーに経営上の困難が加重されている状況で、競争力に応じて玉石を選り分けなければならないという指摘も出ている。サムスン証券のイム・ウンヨン研究員は、「中国のサード事態以後、現代・起亜自動車の中国工場の稼働率が低下し、国内部品メーカーもこれまで3~4年のあいだ経営上の困難を訴えてきた」とし、「いまや退出させるメーカーは退出させ、生き残るメーカーはさらに大きくしてやる構造改編が急がれる状況だ」と説明した。
  • 毎日経済_カン・ゲマン記者/パク・ユング記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-07-15 18:13:31