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サムスン「湖巌賞」を拡大…韓国版ノーベル賞に


  • サムスン「湖巌賞」を拡大…韓国版ノーベル賞に

科学・医学・芸術などに大きく貢献した人に授与されてきたサムスンの「湖巌賞」は、「韓国のノーベル賞」の基礎を固めるという目標で拡大・改編される。

故・李秉喆(イ・ビョンチョル、1910~1987)サムスン会長の「人材・技術」重視の経営をたたえ、30年のあいだ続けられてきた「湖巌賞」は科学・工学・医学・芸術・社会奉仕の5つの部門で運営されているが、李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長(写真)と専門家が出した提言にしたがって、これまでの科学賞を「物理・数学」と「化学・生命科学」部門に細分化することにした。

基礎科学・研究開発能力や生態系の構築を通じた「トンヘン(同行)」を強調してきた李在鎔副会長は、「産業生態系の基盤をさらにしっかりとさせて、最終的に国家競争力の向上に寄与しよう」と、科学部門への授賞拡大を提案したことが分かった。

湖巌財団は4日、2021年から既存の科学賞を物理・数学部門、化学・生命科学部門に分離して拡大・改編することにしたと発表した。これにより、湖巌賞の授賞部門は既存の5つから6つに増えることになる。受賞者には賞状とメダルおよび賞金3億ウォンが与えられるが、今回の改編によって来年からは総賞金も従来の15億ウォンから18億ウォンに増額される。湖巌財団は今回の授賞部門の改編が、韓国内の基礎科学研究を奨励する一助になることを期待している。

湖巌賞は1990年に制定され、1991年に第1回の授賞式が開催されたが、授賞部門の改編は28年ぶりだ。当初は科学技術・医学・芸術・社会奉仕などの4つの部門で出発したが、1993年に技術研究を奨励するために科学技術部門を科学工学部門に分離した。そして今回発表された改編は約28年ぶりに行われるもので、これも科学技術研究の支援に力点がふられている。

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特に今回の改編は李副会長が最初に提案したことが分かった。

サムスンの関係者は、「李副会長は工学や医学などに比べ、相対的に条件が良くないと評価されている基礎科学分野への支援を拡大し、生態系の基盤をよりしっかりとさせて国家競争力の向上に寄与しようという趣旨で提案をした」と説明した。湖巌財団はこのような提案を受けて、歴代の湖巌賞受賞者と審査委員やノーベル賞受賞者など、国内外の多数の学術専門家の意見を収斂して改編案を確定した。多数の専門家らは科学賞を区分・拡大することは基礎科学の発展にも寄与すると評価し、国際科学界の流れにも合致するという意見を出したことが分かった。スウェーデンのノーベル賞は科学賞を物理・化学などの2つの部門で授賞している。湖巌賞で科学部門が拡大されたことは、基礎科学研究を支援してきたサムスン電子の活動と「生態系・社会と同行」を重視してきた李副会長の経営哲学と軌を一にする。

サムスン電子は2013年から未来技術育成事業を通じて、物理・数学などの基礎科学分野の革新的な研究を直接支援している。現在までに計601件の課題に、総7713億ウォンが支援された。またサムスン電子は国内の大学の研究活動などのために、今年の産学協力に1000億ウォン以上を投資することにした。李副会長は2018年2月に経営復帰後に「未来に向けた挑戦」などを強調し「一緒に成長することこそ、世界最高に向けた挑戦を続けようとする力」だという所信を明らかにした。

サムスンの関係者は「基礎科学研究などを土台に、学界と中小企業、協力社、大手企業などが生産的な生態系を作って同行することが、持続可能な発展のために重要だという李副会長の考えだ」と語った。

湖巌賞はサムスンの創業者である湖巌(湖巖)イ・ビョンチョル会長の人材第一の社会公認の精神をたたえ学術・芸術と社会の発展と人類の福祉の増進に功績を成し遂げた人のために、1990年に李健煕(イ・ゴニ)サムスン会長が制定した賞だ。今年まで計30回の授賞で152人の受賞者に271億ウォンの賞金が授与された。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/ファン・スンミン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-08-04 20:46:39




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