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[コラム] 違うなら、それでいい


北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は死亡したのだろうか?それとも、歩けない重体だったり植物人間になったのだろうか?
筆者は知らない。分からないから、答えられないのだ。

北朝鮮のニュースに本当に詳しい一部の消息筋を除いては、ほとんどキム・ジョンウン委員長の状態について真偽を知らないはずだ。

それなのに死亡説、危篤説が飛び交っている。
自称「北朝鮮専門家」という人たちが口にした言葉だ。

北朝鮮体制に嫌気がさしたとして亡命した元駐英北朝鮮公使の太救民(テ・グミン 、本名=泰永浩)、世界と北東アジア平和フォーラムの張誠珉(チャン・ソンミン)理事長の発言を様々なメディアで取り上げて、継ぎ合わせながら拡散している。

いわゆる北朝鮮問題の専門家の彼らは自分たちの発言に責任を負うことができるだろうか?
そうではないから、問題だ。

太救民は金正恩の身辺異常説について「1つ明らかなことは、金正恩委員長が自ら立ち上がったり、まともに歩けない状態だ」と主張した。具体的な根拠は示さなかった。身辺異常説が出回っても、大衆に姿を現すことができない状態から類推したのだろう。

張誠珉理事長は中国の消息筋から聞いた内容だとし、金正恩委員長の死亡可能性を言及した。張誠珉理事長が掲示した文を見ると、張誠珉理事長も真偽を確信することができないようだ。「100%確認することはできない。そのため、この問題を非常に慎重に扱わざるを得ない」と付け加えた。

死亡説を記者に流すのが愼重な姿勢なのだろうか?

これらの専門家たちの発言で終われば 、せめてもの救いだ。
多くのメディアが彼の言葉を引用したり、こっそりねじりながら金正恩委員長の身辺異常説を取り上げている。
「 金正恩は事実上、死亡状態」、「金正恩は意識不明のコマ状態」、「中国医療陣を急派」

さらにクッキーニュースは「単独」という文章までつけ、「対北朝鮮消息筋、 金正恩は事実上死亡したようだ…回復不可推定」というニュースを流した。

2011年12月に金正日(キム·ジョンイル)委員長が死去したと報道した「朝鮮中央通信」を金正恩に変えた偽ニュースも出ており、統一ニュースはこれを引用して「金正恩委員長、25日に逝去--- 金与正労働党第1副部長が継承」という記事を掲載し、偽ニュースだと知って緊急削除する騒ぎも起こった。

インターネットメディアには「チョンデスプ(全国の大学生コミュニティサイト)の第2次朝鮮戦争が勃発するという予言が金正恩重体説によって再照明される」というタイトルで、根拠の薄いウワサを大きく扱った記事も登場した。

4月25日、ニューヨーク・ポストに掲載された記事、「北朝鮮の独裁者、金正恩は死んだか、脳死したか、何ともないという噂が広がった」(North Koreandictator Kim Jong Unrumored to be dead、 brain dead or just fine)と比べると、無責任で、混乱を加重させる記事だ。

専門家たちは自分の影響力(?)を守るために、そうしたとしてもメディアはなぜ検証もされない記事を広めているのだろうか?

この質問に対する回答は1つしかないようだ。嘘に反論したり、名誉毀損などの損害賠償請求をする人がいないからだ。
幸い本当の話ならスクープして意気揚々と「違うなら、それでいい…仕方ないさ」という根性だ。

だから、一部でこのような無責任な記事を書く記者は黙らせようという話も出ている。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-05-01 00:00:00




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