[コラム] 新型コロナウイルスと反知性主義


車が渋滞したらどうしよう。
ちょっと遅くオフィスを出たので心配だったが、意外と道路が空いている。新型コロナウイルスも怖いが遅い梅雨で暑さまで押し寄せると、家にいるのがとても息苦しくなりバカンスへ行きソウル都心が静かになったようだ。

まだ新型コロナウイルスの猛威は続いている。韓国の状況もさほど愉快ではないが、世界最強の米国は深刻だ。

やっとの思いで大リーグが開幕したが、マイアミ・マーリンズの球団で選手とコーチを合わせて18人が新型コロナウイルスの感染者になり、チームを作るのも難しくなった。

新型コロナウイルスに関しては、米国は世界から嘲弄されても返す言葉がないほどだ。7月現在、感染者と死亡者の1/4がアメリカが占めている。暑い夏場に感染者が減るどころか、1日6万~7万人も増えているのが実情だ。死亡者数はすでに第1次世界大戦のアメリカ人の死亡者数を超えている。

世界最強国のアメリカが何故こんなに新型コロナウイルスに無力な姿を見せているのだろうか?。

専門家たちが分析する理由はこれだ。
ドナルド・トランプ(Donald J. Trump)政府の無能さ、コントロールタワーの混乱、大統領選挙を控えた政界の、低言論信頼度、質の低い公教育、蔓延した反知性主義、自由を盾にした放縦、医療システムへの不信と莫大な医療費、貧富の格差、人種葛藤…。

原因とみられる事案があまりにも多いため、どこから手をつけたらいいか、米国指導部も途方に暮れる。

ほとんどの専門家はトランプ大統領を最大の理由に挙げているが、ためらわないようだ。
「ワクチンを接種すると自閉症になる」、「殺菌剤を撒けばウイルスを防ぐ」、「マスク着用は沈黙であり奴隷になる」など、とんでもないことを言ったり、疾病統制予防センター(CDC)を混乱させた張本人でもある。

トランプ大統領のこのような行動、彼の性格はすでに大統領に当選する前からよく知られていた。
政治力に対する十分な検証もなく、彼がホワイトハウスの主人になった背景が気になる。テレビショーの進行でセレブになり、彼の言葉に多くの人が耳を傾けたからといって、世界最強国の大統領になれるだろうか?それでは、果たしてその秘訣は何だろうか。

筆者はその理由について、アメリカ社会に蔓延した反知性主義にあると考えている。
米ユーチューバーのオリバー・グラント(Oliver S、Grant)はいつかアップした映像で、「アメリカ人は皆さんが思ったよりずっと無知だ」と明らかにした。

アイビーリーグの大学は世界最高の知性人を輩出しているが、中流階級以下の庶民層の常識は先進国という言葉が恥ずかしく感じるほど低い。韓国、日本はもちろん、自分たちの母国であるアメリカが地球のどの辺にあるのか知らない人もたくさんいて、人口の1/4くらいは未だに太陽が地球を回ると信じているそうだ。だからトランプの奇怪な発言も支持されるのだろう。

大統領の発言を金儲けの機会と見て偽教会を運営し、漂白剤を新型コロナウィルスの治療剤として売ってしまい、数人を重体に陥ったり死に至らせたりした一味が逮捕された背景にも、このような無知がある。

問題はこのような無知を自慢に思う人が少なくないということにある。知性人を社会性の足りない人だと見下したり、さもなければ自分を抑圧する存在だという反感が反知性主義の温床だ。

フロリダのパームビーチで新型コロナウイルスの感染者が続出すると、マスクの着用を義務づけたが、地域住民が反発して掲げた理由を見れば驚くだろう。

「私は下着を着ない理由と同じような理由でマスクをしていません」


「医者たちは(マスク使用を強制したために)人類に対する犯罪で逮捕されるだろう」

「私は国家のために死に、憲法のために死ぬだろう」(マスク着用義務が憲法違反という意味)
さらには感染者を招待した後、先に感染した参加者に賞金を与えるパーティーまで登場した。しかし、テキサスのパーティーに参加した30歳男性が新型コロナウイルスに感染して死亡した。

「私がミスをしたようだ。 詐欺だと思ったのに違った」

反知性主義が米国の状況を最悪に追い込んでいるが…。 他の国だからといって安心することはできない。
知性人と自負する人々が学べない人、社会的弱者のために自分が享受する富と権威を下げない限り、反知性主義のしっぽを切ることは難しいだろう。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-07-31 00:00:00