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【韓国コラム】一生の仕事とギグ(Gig)


「ギグ(Gig)」
大衆音楽家やコメディアンの公演という意味の英単語だ。
公演が終わると歌手や俳優は退場する。そして次の作品を準備するだろう。

文化芸術人に当てはまるかと思われたこの言葉が、仕事を探す一般人にも広範囲に渡って適用されるとは想像もしなかった。

IMF(通貨危機)に見舞われて以来、韓国で一生の仕事がなくなり、20年以上経った今は、会社が一時的に上がる舞台のように認識されている。

公演が終わった後、甘い休息を取りながら余裕を持って次に登る舞台を構想することができたらどれほどいいだろうか?もちろんそんな人達もいるだろう。会社で奴隷のように働くより生活の余裕を求めながら短期アルバイト形式の仕事を好む人ももちろんいるはずだ。年を取って引退した後も企業のプロジェクトに諮問役として参加することができれば、この上なく嬉しいだろう。

コンサルティンググループのMckinsey&Companyの調査によると、アメリカとヨーロッパの成人20~30%が独立労働者で、彼らは大体現実に満足しているそうだ。

韓国の独立労働者も自分の人生を幸せだと思っているのだろうか?

まだそうではないようだ。
韓国雇用情報院が推定した韓国のプラットフォーム労働者は、約54万人。スマホの助けで得た仕事は、Uberドライバー、宿の提供者、買物ヘルパー、家政婦、マッサージ師、調理師などだ。

アメリカや中国と同様、労働市場の隙間を狙う企業は、新市場を創出し、莫大な利益を上げているが、韓国で経済に参加する労働者は、幸福感よりも不安が大きいようだ。

ギグエコノミーの拡散により「ずっと会社に勤めることができるだろうか?」という不安感だけが増すという意味だ。

これはアンケートでも明らかになった事実だ。

トレンドモニターが16~65歳の男女1000人を対象に実施したアンケート調査で、半分以上(55.2%)の回答者が「仕事を続けることができるか?」と不安を訴え、会社で長く持ちこたえることができるか心配(56.3%)した。特に子育て、家族扶養など負担を負う30~40代の悩みが深かった。

大部分(81.5%)の回答者がギグエコノミーよりは安定した職業を希望する。私をきちんと待遇して、年俸をたくさんくれるならいつでも転職する覚悟ができているが、移りたいところは安定した職場だ。

AIとロボットが労働力に代わる第4次産業革命とともに訪れたギグエコノミーが避けられない流れだが、韓国の雇用労働者たちは、自分たちがその流れに陥らないことを願っている。変化の渦に巻き込まれてじたばたする自分の姿が悪夢として描かれているようだ。

変化の流れをよく読み取り、アイデアが光る少数の能力者には、ギグエコノミーは富を手にするチャンスだろう。やむを得ず流れに加わったギグウォーカーたちは、彼らが成功する足がかりになるはずだ。新自由主義がもたらした両極化現象がギグエコノミーで最高潮に達するのではないかと心配される部分でもある。

辞書で調べてみたらGigには「減点」という意味もある。
望まずにギグウォーカーになった人たちは、なぜ減点を受けたのだろうか?手からスマートフォンを取り外すことができない対価だろうか?
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-08-07 00:00:00




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