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【韓国コラム】ソウルの不動産専門家たち


今では、ソウル~釜山(プサン)、ソウル~木浦(モッポ)の間に時速300キロを超える高速鉄道が走っているが、高速鉄道の建設は順調ではなかった。鉄道路線、駅、車両選定などの問題が山積だったが、何よりもそのお金で高速道路を建設するのがずっとマシだという反論と戦うのが急務だった。

今は社会的間接資本、中でも道路や鉄道、空港など交通に関わる業務が建設交通部に一元化されているが、高速鉄道の議論が始まった当時は、道路は建設部、鉄道は交通部に分かれていた状態だった。

自称交通専門家たちが二組に分かれて激しい攻防戦を繰り広げた。
外国で博士号を取得した自称、他称の専門家も意見が2つに分かれた。アメリカの大学で博士号を取得した専門家たちは主に道路側に加わり、ヨーロッパで学位を取得した人たちは交通機関の味方についた。

自動車製造業者の影響も大きかった。道路が建設されてこそ車を1台でも多く売ることができるので、当然、道路建設に財政が投資されるように世論を形成するのに力を入れるしかなかっただろう。韓国の数多くの建設業者は当時中立を守った。

道路でも鉄道でも、どうせ自分たちに仕事が与えられるので、むやみに意見を言って憎まれたくなかったのだろう。

もし道路建設側が建設業者に大きな利益を与えていたら、どんなことが起こっただろうか?
果たして京釜(キョンブ)高速鉄道が作られただろうか?こんな疑問さえ浮かぶ。

なぜこのような話をするのかというと、韓国政府の不動産政策について主要メディアが一様に否定的な記事を出しているからだ。

メディアが中立的な立場で客観的な報道をするなら、政府の政策を痛烈に批判するのが正しいことだ。政府の顔色をうかがって記事の水位を調節するなら正論紙と見ることはできないだろう。

しかし韓国の主要メディアの多くは、政府の顔色をうかがうのではなく自分の利害関係によって報道方向を定めている。

不動産市場で相当数のメディアがプレーヤー(Player)として参加しているという話だ。

かなり多くの建設会社がメディアを所有しており、そうでないメディア社の中で不動産情報事業や不動産講座などを通じて金儲けをしている。

そうでないメディアも、建設会社の広告がなければ支えることが難しいのだ。販売収益より広告収益がずっと大きい韓国メディアの経営環境で、20%に達する広告主の要求にそっぽを向くのは難しいだろう。

記事で自称専門家として出てきてあれこれ意見を述べる専門家もプレイヤーであることは同じだ。アナリストの投資を妨げる証券市場とは違って、不動産市場では専門家たちの行為を制限する法的、倫理的装置が皆無だ。

そのような不動産専門家と私的な利益にとらわれたメディアの報道により、不動産政策は方向を定めず、ソウルの住宅価格が東京や大阪よりはるかに高くなった。専門家たちの功だ。

ソウルの住宅価格を東京より高くした功績を立てた専門家と記者にどんな賞を与えればいいかよく分からない。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-08-14 00:00:00




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