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米で「エコカー大戦」予告…現代自、100万台市場ねらう


  • 米で「エコカー大戦」予告…現代自、100万台市場ねらう

  • 去る4日に開幕した「中国国際輸入博覧会」で、現代自動車の関係者が電気自動車などのエコカー戦略について説明している。 [写真提供=現代自動車]


次期米国大統領にジョー・バイデン民主党候補が事実上確定し、同氏が打ち出した経済・通商関連の公約が注目されている。バイデン次期大統領もまたドナルド・トランプ政権と同様に、自国産業の保護と同盟国との連携強化を通じた対中国強硬政策、保護貿易主義の基調を維持する見通しだが、産業面では親環境(環境にやさしい)再生可能エネルギー分野が最大の恩恵を被ることが予想されている。

その中でも自動車産業は電気自動車(EV)などバッテリー業界の生態系と相まって、バイデン時代に最も高い成長を続ける部門にあげられている。世界の自動車メーカーは世界最大の市場である米国で、電気自動車を取り巻く「乾坤一擲」の舞台に上がる準備を急いでいる。

バイデン次期大統領の環境部門での公約は、「2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにする」に要約される。同氏は環境に配慮し、産業インフラの構築に在任の4年間で2兆ドルを支援するという公約を掲げた。具体的な方策として、米国内に50万ヶ所の電気自動車充電ステーションを2030年末までに建設すると発表した。スクールバス50万台と連邦政府の車両300万台も、電気自動車などのエコカーに置き換える予定だ。

トランプ政権が脱退していたパリの気候協約にも再加入することが予想されるだけに、環境に配慮した分野の国際協力も強化される見込みだ。このことで自動車業界は米国内の電気自動車の販売台数が今年から2025年まで毎年18%以上ずつ増え、2025年には現地だけで計100万台の電気自動車が走るだろうと期待する。

バイデン次期大統領は電気自動車を購入する消費者へのインセンティブも大幅に拡大すると予想される。ただし「アメリカの中産階級」消費者は「米国で生産された」電気自動車を購入する場合だ。この条件でのみ課税控除を拡大するとバイデン次期大統領が明らかにした点は、いくつか示唆している。

特に現地生産条件を整えるための自動車メーカーの奮闘が始まる見通しだ。世界1位の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、内燃機関車の開発を中止して電気自動車市場を集中攻略するために、来年から電気自動車の生産量を2倍に増やす一方で、2022年までに全27種の電気自動車を出荷する計画だ。フォルクスワーゲンは、米国テネシー州南東部のチャタヌーガ工場を拡張して電気自動車の生産センターを建設した後、2022年初めから本格的な電気自動車の生産に入る予定だ。このセンターでは米国で組み立てる電気自動車に搭載するバッテリーを直接開発するために高電圧の実験室も稼働する。

GMは先月、米国内の電気自動車の生産のために計22億ドル規模の投資計画を発表して業界を驚かせた。昨年からGMが発表した電気自動車関連の投資規模は45億ドルを超える。フォードはメキシコやカナダなどでいったん北米での電気自動車の生産を増やし、米国市場の攻略に乗り出す方針だ。

現代自動車グループは最近、文在寅(ムン・ヂェイン)大統領の蔚山工場訪問の際に、自社の電気自動車の生産専用のプラットフォームである「E-GMP(Electric-Global Modular Platform)」の実物を世界初で公開して関心を集めた。 E-GMPは現代自動車の電気自動車における基本であり、床にバッテリーを敷くスケートボード形態で、顧客の要求に応じてバッテリー容量を変えることができ、バッテリーパックの着脱も可能だ。これによって部品単価の下落が収益性の増加を、そして価格競争力の確保と生産ラインの効率化、新車開発速度の向上などが期待される。

現代・起亜自動車はE-GMPを適用した電気自動車2種(現代自動車「アイオニック5」と起亜自「CV」)を来年上半期に出荷し、2025年までに11モデルの電気自動車を含む全44の電動化車両を運営する計画だ。今年の世界の電気自動車市場で4位を記録した現代自動車は、2025年には100万台を販売して世界市場シェアで10%以上の達成を目標としている。

カギは現代自動車も他の自動車メーカーのように、米国現地に電気自動車の生産設備を備えるかどうかにかかっている。トランプ政権は米国現地に工場を新・増設した企業には減税特典などのニンジンを与えたが、バイデン次期大統領は法人税を上げる可能性が大きいため、韓国企業が現地に工場を建てて生産するとなると負担は大きくなるしかない。このために電気自動車業界では、バイデン候補の当選が「ニンジンであり、鞭」として作用すると予想する。

韓国自動車研究院のイ・ハング専任研究委員は、「米国内の電気自動車市場が大きくなることだけは、現在予想できる最も明白なシナリオ」だとし、「しかし現代自動車が米国現地に電気自動車の生産設備を新設するなら労組の同意を受けなければならないうえに、法人税負担もそうとうなので慎重に決定する必要のある事案だ」と語った。
  • 毎日経済_ソ・ジヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-11-08 20:09:20




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